川島武宜のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
西欧諸国の法律にならって作られた明治の法体系と、現実の国民生活とのあいだには、大きなずれがあった。
このずれが今日までに、いかに変化し、あるいは消滅しつつあるのか。
これらの問題を、法に関連して国民の多くがどのような「意識」をもって社会生活を営んできたかという観点から、興味深い実例をあげて追求する。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時 -
Posted by ブクログ
1967年の本なので掲載データは古いが、エッセンスは現在でもほとんど通用するのであろう。
現行の日本の法典は、明治期に西洋から日本に「移植」された。当時の起草者は、西洋の法意識が本来の日本の生活秩序とは異質であることを承知していた。その上で、列強に伍して「文明化」を促進するためやむなくそうしたのである。
しかし、法の執行はその社会状態を離れてはありえない。それゆえ著者は、日本人が法をどのように扱おうとしてきたかを、「法意識」として分析する。
「権力」は実力を持って強制できる力であり、「権利」とは異なる。明治以降、日本人に権利、所有権、契約、訴訟の意識は希薄であった。 -
Posted by ブクログ
『日本人の法意識』と題しているのでひろーい考察かと思いきや、
「この調停事件の経験 - 西洋的法思想に立脚する私の法意識にショックをあたえた……(中略)……調停委員の発言 - は、私をして、調停制度の歴史やそれを支える法意識の探究にむかわせた……(後略)。」(p.192)
この一文から明らかなように、日本に蔓延る調停至上主義を解明するのが本書の狙い。多分。
--雑な要約--
明治以前から日本には仲裁と調停とが未分化の方法で紛争を解決することがあったらしい。調停と仲裁とはともに第三者の介入がある点で似ているものの、調停はあくまでも紛争当事者双方を最終的に相互合意させることが目的であるのに -
Posted by ブクログ
探している「法は人間のためにある」という定義は、この本の中にはなかった。
ただし、以下2つの論点が面白かった。
法は西洋においては権利と同一の概念だが、日本には伝統的に義務はあっても権利の概念はなかった。
理想と現実をはっきりと二元化してとらえる西洋の考え方に対して、日本では現実への妥協が「なしくずし」的に行われる。
日本でのコンプライアンスを考えるにあたって、非常に興味深い。
以下、1~2章
前近代的な「法意識」について
「社会行動の次元における法」と「書かれた法」との間の深刻重大なズレ
法律は、政治権力の発動に関する一定の思想ないしイデオロギーの表明である
法律は社会生活を現実的にコ