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西欧諸国の法律にならって作られた明治の法体系と、現実の国民生活とのあいだには、大きなずれがあった。このずれが今日までに、いかに変化し、あるいは消滅しつつあるのか。これらの問題を、法に関連して国民の多くがどのような「意識」をもって社会生活を営んできたかという観点から、興味深い実例をあげて追求する。
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Posted by ブクログ
明治期に10年足らずで急いで西洋由来で形成された法は、西洋的な法意識とは異なっていて、日本人の生活の実態とかけ離れていた。権利や裁判という基本的な概念さえ、西洋人の意識や感覚とは異なっている、というのが趣旨。前半は読みやすく後半で具体例を説明する感じだが、今日の日本人の感覚を考えても全く古びないとこ...続きを読むろがすごい本。 西洋的な文書文化ではなくて、契約書も必要なときに話し合って解決しようとしたり、和の精神を大事にしようとしたりするのが日本人で、西洋的な厳格さが言語のレベルで日本人と違うというところも論点にあって、とても興味深い。
例示を厚く記載してくれているので、とても読みやすい本だった。 集団の和を重視し法を曖昧にゆとりを持って解釈しようとする日本の法意識と、個人の権利を重視し法を明確・厳格に解釈しようとする欧米の法意識の差異がよく分かった。 現代法の概念は欧米で生まれたものなので、欧米の法意識の方が適切に思える一方で、曖...続きを読む昧さやゆとりを持つ日本の法意識から生じているメリットも間違いなくあるのではないかなと思う(自身の仮説ではあるけれど、日本の犯罪率の低さの要因の一つもここにあるのではないかなと思う)。 必要な場面(特に国際的なビジネスの場面など)では、信頼獲得などのために法意識を変えていく必要があるとは思う一方、日本人同士の争いについてまでも西欧のような法意識への転換を図る必要はないよなと思った。
法学者にとって必読だと言われていたので読んだ。 日本人の法意識は外国のそれとは違う。その文化的背景に触れつつ、日本人にとってふさわしい紛争解決手段について述べられている。 確かに、私たちは道徳的な観点から法律と疎遠になることが多い。しかし、その事に漬け込んで、日本人の価値観が介入できないように細...続きを読むかく定められた法律もある。それは日本人の特性を無視したものである。それはまた、法律制定者の利益にのみとらわれてしまっている。個人的には、権利義務の話が面白かった。日本人には、その意識が薄い。
日本人の法意識 これまで70刷を誇る名著。大学時代からの積読で常々読みたいと思っていたが、なかなか読む機会がなく、やっと読むことができた。 日本は開国以降、不平等条約改正のため、近代国家として当時の列強諸国に認められる必要があった。日本における法制度は、土着的なルールから端を発するものではなく、近...続きを読む代化の要請において、急速に取り入れられたものである。そのような歴史的は背景から、日本人を語るうえで、法制度を仔細につまびらかにする以前に、日本人がそもそも持っている法というものへの意識を考察することが、第一義ではないかという問題意識をもとに、所有権や契約などの考え方について、西洋的な法の概念と日本における法意識を対比して述べられていく。 まず、そもそも、法の言葉というものは元来確定的・固定的であり、一義的にとらえられる必要があるが、そもそも日本語の言語体系として「明確に限界づけられた意味内容を伝達するのではなく、伝達使用する内容の中の中心的な部分を表明することばを用いることにより、それに伴う他の種々の意味内容はそのことばによって示唆され、その結果伝達される意味内容の周辺は不確実なものとなり、伝達の受け手によって変化しうる」ものである。これをして日本語の含蓄という場合もある。 日本における法の言語が不確定的かつ流動的であると同時に、日本人のルールに対する意識も当初の西洋的な法意識とは異なる。日本人は理想と現実についての境界をそれほど厳密にとらえていない。法が現実にあっていない場合、現実へのなしくずし的な妥協が公然と行われ、もはやそれをもって融通が利くという美徳になっている部分がある。 根本として、日本人は権利と権力に対する誤認識がある。本来、権力はもともと立場の強い人間が持つ、他者への強制力であり、権利とは権力に対抗するために、立場の弱い人間が持つ力である。権利に対してなしくずし的に妥協にしてしまえば、元の立場の強弱が支配している空間に逆戻りしてしまう。ゆえに、西洋においては一度得た権利を、権利を得た側がなし崩し的に妥協するということは絶対にない。しかしながら、日本では権利と権力はしばしば混同され、同一視すらされている場合がある。典型的な例が、雇用における権利である。従業員を雇っている人(≒社長、役員)は従業員に対して、権力を持っている。一方、従業員は社長や役員に対して権利を持っているのである。日本における雇用概念もまた、丁稚奉公のような形より始まっており、従業員の権利意識は極めて低い。具体的な例も出したが、このように、日本における権利意識や法への意識というものは、法や権利を最初に定義されたときのような切迫感などはまるでなく、極めて曖昧にとらえられている。 こうした考え方が、しばしば政治意識にもむずびつく、日本人は政治行動においても従順すぎる。未だに、政府のことを「お上」と言う人がいるが、これは政府に対して、我々が選挙で選び、そしていつでも政府に対して抗議し、変えることができるという意識の欠如を明確に物語っている。 日本人の法意識を物語る最たるものは契約意識である。日本人は契約に関しても、もはやネガティブなイメージすらある。のらりくらりと関係性を保つことを美徳として考え、契約書面を取り交わしたいというだけで不機嫌になる人もいる。さらに、仮に契約を締結したとしても、契約を軽視した言動もすくなくない。「それは契約上の話であって、実際には、、」と言う文句はしばしば使われるが、この言葉が日本人の契約観を如実に物語っているだろう。さらに、日本人は契約を軽視することと表裏一体であり、契約以上のことを当然の如く期待している場合がある。こちらも非常に奇妙なことであり、契約になくてもやってもらって当たり前と考えている次元があることは、日本人の特色であるだろう。 上記の法意識に関する考察は、私のように保険を扱う者であれば強く共感する部分があるのではないか。保険は万能であり、保険はお守りであるという感覚は、実際には一般的である。ただ、保険は何よりもまず契約であるがゆえに、保険契約にない場合の事故や事象には保険金は払われない。これは保険募集人の説明不足の問題も実際にはあるが、保険金支払いで揉めるのは基本的に上記のような契約意識が契約者側に極めて希薄だからである。さらに、よく地場代理店などでは、保険会社に対して「融通が利く」ことを求める傾向にある。法への意識をなし崩し的に考えているからこその姿勢である。昨今では、海外ともやり取りも増えたが、日本人が契約締結後、特に事故時にネゴシエーションするのに対して、当たり前ではあるが、海外は契約締結前の最もネゴシエーションする。いかに権利を守り、有利に契約するかということを極めて重視する。だからこそ、一度契約が成立すれば、契約は絶対に守る。この契約を遵守するという意識が全く異なるのである。一方、これも重要な点であるが、彼らは契約を守ると同時に、契約の範疇以外であれば言葉通り「なんでもやる」。ここが怖いところでもある。
何の疑問を持たずに空き地で遊んだことのある人。 あなたの「法意識」は典型的な日本人タイプです。 明治維新、昭和の終戦、と大きな社会変革を経験し、近代的な法体系を発達させてきた日本。法律は西洋に勝るとも劣らない立派なものになっていったが、日本人の「法意識」は前近代のまま。 「権利」概念の欠如、使用...続きを読む者・労働者(あるいは発注者と請負業者)の封建的関係、白黒付けることを嫌う精神性、喧嘩両成敗的思考、内容が不確定な契約書、聖徳太子以来の「和の精神」、などなど。 一応著者は、戦後20年を経て日本人の法意識が大きく変わりつつあると指摘している。本書の初版発行は1967年だから、それからさらに40年余がたった現在は、当時よりも近代的法意識は成熟しているのだろう。 しかし著者が挙げる具体例には「確かにそうかも」と思い当たるフシが多い。俺の法意識も、やっぱり「日本人的」なんだなあ。
「権利」「所有」「契約」「裁判と民事訴訟」といったキーワードについて、「各々明文化された法(及びその源流である西洋法思想)」と「日本国民の生活」のズレを説明している。 具体的には例えば第4章「契約」の内容、即ち「日本では売買契約による所有権の移転が確定的ではなく、売った様な預けた様な関係がある」の...続きを読む様に、 「西洋=境界線(法律上の権利義務・所有権など)が明確⇆日本=境界線が曖昧」といった切り口の議論が主な内容である。 この法意識の現れ方の一つの例として「民事訴訟では白黒を付けずに調停する」事であると書かれている。だがこの本が書かれた年(昭和40年)から40年以上経った現在でも日本企業同士の取引契約締結時には、この曖昧さが原因で交渉がこじれるケースが日常茶飯事。平凡なビジネスパーソンでさえ頭を悩ませる様な根の深い問題を扱ってると感じました。
これは面白い。法学の先生が書いた本だから固く抽象的な部分も多いが、具体的な事例が非常に興味深く、まるで民俗学の話を聞いているかのよう。宮本常一「忘れられた日本人」と似た面白さがある。
1月?(かつて?)文系大学生が読むべき本といわれる第二弾である。 [内容]全体を通しているのは、本書冒頭に提示された筆者の問題意識―西ヨーロッパの先進資本主義国ないし近代国家の法典にならって作られた明治の近代法典の壮大な体系と、現実の国民の生活とのあいだには、大きなずれがあった。そのずれは、具体的に...続きを読むどのようなものであったか―というものである。その問題意識に基づき各論が展開されている。第二章では、権利にかかわる意識を扱っている。従来徳川時代以来「権利」という固有の日本語にはなかった。そして伝統的に言われていることは、日本人は「権利」の観念が欠けているということである。また、権利、権力を区別し、日本人の権利に関する意識、また西洋人の場合の意識を具体例を交えつつ対比している。そして、権利を巡る憲法の持つ意味もわかりやすく解説してある。第三章では、所有権に関し、筆者の経験なども交えつつ指摘されていることは、所有者は、所有物の独占排他的な支配を持っているということの意識がない(あるいは弱い)、第二に、所有物が所有者の現実の支配をはなれ、他人の現実の支配下に置かれている場合には、所有者の「権利」が弱くなりそれに反比例するように、非所有者の現実支配の正当性を持つようになるということである。第四章では、契約についての意識を一般的な取引の観点、身元保証契約の観点から論じている。その双方で共通しているのは、契約の成立、内容などに明確さを求めないということである。もし、問題が起こったら、「話し合い」を通じ解決するということを予定するという。第五章では、前章で話題になった「話し合い」という話題に関し、日本人は、訴訟を避ける傾向があるという指摘し、「仲裁的調停」を用いることが多く、一方で裁判となった場合でも、被告に全面的に責任を負わせるのを避け、原告にも責任を負わせるよう努力する傾向もあると判例を交えて、述べている。 [感想] 非常に面白かった。そしてわかりやすかった。それは自分自身が日本人であるから共感しやすいということに加えて、筆者が直接直面した多くの具体例が多用されていたからであろう。本書を読んで法学には、二方向のベクトルが存在していなければならないということを考えた。一つは、社会から理論への方向、そして理論から社会へ。上部構造と下部構造とも言い換えることもできるかもしれない。本書の中で「社会的地盤」という言葉が出てきたが、法律は社会的地盤に建っていなければならないと思う。それゆえ、日本人の法意識を知るということも大切なことだ。
日本の伝統的な法意識は、権利・義務は「あるような・ないようなもの」であり、それが明確化され、確定的なものとされることを好まない、という著者の主題を、権利・法律・契約・民事訴訟の観点から明らかにする。 著者は一流の民法学者であり、その手による本書は法社会学の名著であって、実例も交えていることもあっ...続きを読むて非常に説得力に富む。 それでも最後は、日本人もやがて権利をつよく意識して主張するようになる、対個人、対政府でも法的関係を意識するようになる、歴史の進行はその方向に進む、と予言されている。この昭和40年代初めになされた予言が当たっているかどうかがすごく気になる。 むしろ、現在は、著者のいう権利・義務は「あるような・ないようなもの」という法意識はなお根底にありつつも、中途半端に「権利」のみが主張されて、世の中ギスギスしている気もする…。 一般の読み物としても面白いが、最後の「民事訴訟の法意識」の章は少し論文チックかもしれない。
第1章は言い回しが読みづらいのですが、第2章以降だんだん読みやすくなってきます。 第2章~第4章は、権利、所有権、契約について扱っています。 西洋的な権利義務関係では、権利の有無をはっきりさせて、裁判で白黒付けようとします。 この点、日本の法律は西洋に倣っているため、法文上は西洋と同じです。 しか...続きを読むし、前近代的な権力関係から引き継がれた法意識が、権利を内容不確定・未確定なものとして扱おうとするため、実際の運用においては法文とのズレが生じてしまう。 1967年刊行の本なので、現代よりも前近代的な法意識を前提としています。 とはいえ、何か争いがあって落とし所を探すとき、本書にいうような法意識を幾分用いているときもあるので、全く無用というわけでもない。 むしろ、自分の考え方のルーツを分類するのに、役に立つかもしれません。 第5章は、民事訴訟とりわけ調停の話。 民事訴訟法を勉強する際に調停についても習うわけですが、民事訴訟法自体が眠くなりがちなのに、調停はなおさら興味を持てなかった記憶があります。 それは訴訟自体よく分からないのに、調停はもっとよく分からないからで。 本書では、この調停について戦前からの来歴を学ぶ上ことができるので、社会学寄りな視点で興味を持つことができるようになると思います。
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