岡本夏木のレビュー一覧
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被験児Nが使うニャンニャンという音声が四足獣や毛束状のものに対して用いられていて、さらに応用としてニャンニャンクック(白房の付いた靴)や、クロニャンニャン(黒斑の犬)などのように使われている、ということを知って感じたのは、古代人の語彙形成も最初期はこのような感じだったのではないかということ。
ことばは外的事物を指示すると同時に、発話者のその事物に対する恣意性をも表し、言い表したい語がなければ創造や借用によって表現技法を豊かにしていく、という意味合いのことを著者が書いているが、古代人も、生活の中で自らの感受したものを感覚や印象によって自分の中で整理、関連付けをし、音声に様々な、しかし一定の法則に -
Posted by ブクログ
言語の指導を日々行なっている私にとって本書での「ことばの発達」よりも「発達の中のことば」という視点や、子どもたちが発する言語を「不完全なことば」や「片こと」としてしか見ていないのではないかという投げかけは今一度「ことば」がどういう機能を果たしているのか、どういう希望をもとに培われてきたのか、そもそも「ことば」とは何なのか等、様々なことを考えるきっかけとなった。
本書にも記されていたが、子どもたちの言語/非言語表現はとても豊かで自由である。それが適切かどうかは国語的、または大人側の杓子定規であり、その枠の中だけが「ことば」としてしまうにはあまりにも勿体無い。と、同時にある程度は共通の感覚として -
Posted by ブクログ
多くの教科書、参考書の引用・参考文献として載っている、子どもの言葉についてのバイブル的存在。今現在の読者の立場では、同様のことを書いたテキストはたくさんあるが、この本は文章が格調高く、教科書としてだけ読むのではもったいない、洞察の深さがある。作者が後に「幼児期」で明らかにした現代社会に対する不安がすでに見えるからであろう。言葉以前の乳児期の、保育者との豊かなコミュニケーションが、言葉を育む土壌となるという立場で、丁寧にその意味を説き明かしていく。また言葉を獲得してからの幼児はまた言葉の発達とともに、他の情動や認知も発達していくという後半も改めて勉強になる。言葉を使って自分の気持ちを表現し、自