国東文麿のレビュー一覧
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講談社学術文庫
今昔物語集 震旦篇 全現代語訳
訳:国東 文麿
出版社:講談社
震旦とは、中国のこと、本書で始めて知りました。秦をサンスクリット語でチーナスターナと読んだものの音写で当てた言葉のようです。中国国内では、王朝名を、その祖がでた地の名を基にしているが、対外的には、中国は、支那なので、間違いではない。
本書では、中国に仏教が伝来したのは、始皇帝の時期で、焚書坑儒の時に、仏典も失われたこととなっているが、定説では、中国に仏教が伝来するのは、後漢なので違和感があります。
話ニに、後漢の明帝のときに、僧が来たことが書かれている。おそらく、これが伝来のことだろう。
梁の武帝に、達磨大師が来朝、以後、鳩摩羅什、玄奘三蔵、胎蔵界曼荼羅の伝来などが続く。
仏教教団は組織化されていくので、自己救済の小乗(上座部)仏教から、大乗仏教へと拡大していくのは、教団維持のためだったように思えてしまう。
紙の国である、中国では、経典がやはり、もてはやされる。もともとは、経典というのは、五経四書といって、儒教の聖典を言うのである。筆写にあたって、一言一句間違えないように、経典の字数を数えるような民族なのである。そして、古代印度語でかかられた、お経について、漢訳できないところは、そのまま音写にとどめている。般若心経の、羯諦羯諦波羅羯諦がそれである。印度・中国の文明の衝突ともいえる。
天竺編にくらべると、割とサクサクと読めてしまう。
<震旦編>
華厳経
摩訶般若波羅蜜経
四阿含経
一切経
維摩経
阿弥陀経
金光明経
観無量寿経
大般若経
法華経 等
<天竺編:原本まえがき>より
冒頭にある原本まえがきにある、マップは以下のとおりです
講談社学術文庫では、本朝仏教説話に関する出版はありません
第1巻 天竺 仏教史、仏像霊験説話
第2巻 天竺 霊験説話
第3巻 天竺 霊験説話
第4巻 天竺 因果応報話
第5巻 天竺 因果応報話* ~ここまで講談社学術文庫天竺編(印度編)
第6巻 震旦 仏教史、仏像霊験説話
第7巻 震旦 霊験説話
第8巻 欠 推定 菩薩諸天霊験説話
第9巻 震旦 因果応報話
第10巻 震旦 世俗説話* ~ここまで講談社学術文庫震旦編(中国編)
第11巻 本朝仏教説話 仏教史
第12巻 本朝仏教説話 仏教史、三宝霊験説話、仏像霊験説話
第13巻 本朝仏教説話 仏像霊験説話
第14巻 本朝仏教説話 霊験説話
第15巻 本朝仏教説話 霊験説話
第16巻 本朝仏教説話 観音霊験説話
第17巻 本朝仏教説話 地蔵その他霊験説話
第18巻 欠
第19巻 本朝仏教説話 因果応報話
第20巻 本朝仏教説話 因果応報話
第21巻 欠 推定 皇室関係説話 ~第11巻から第21巻は、講談社学術文庫未出版
第22巻 本朝世俗説話 藤原氏逸話
第23巻 本朝世俗説話 僧俗、剛力話、
第24巻 本朝世俗説話 工芸、医術、陰陽、管弦、詩歌
第25巻 本朝世俗説話 源平武人
第26巻 本朝世俗説話 地方民衆の運命談 ~ここまで講談社学術文庫本朝世俗編(上)
第27巻 本朝世俗説話 霊鬼、狐、野猪の怪異談*
第28巻 本朝世俗説話 滑稽諧謔談
第29巻 本朝世俗説話 盗賊談
第30巻 本朝世俗説話 恋愛、和歌伝説
第31巻 本朝世俗説話 雑記、口碑伝* ~ここまで講談社学術文庫本朝世俗編(下)
いわゆる奇譚は、第5、10、27、31巻にあります。
目次
巻六
震旦の秦の始皇の時に、天竺の僧渡れる語 第一
震旦の後漢の明帝の時に、仏法渡れる語 第二
震旦の梁の武帝の時に、達磨渡れる語 第三
康僧会三蔵、胡国に至りて仏舎利を行じ出せる語 第四
鳩摩羅焔、仏を盗み奉りて震旦に伝へたる語 第五
玄奘三蔵、天竺に渡りて法を伝へて帰り来れる語 第六
善無畏三蔵、胎蔵界曼陀羅を震旦に渡せる語 第七
金剛智三蔵、[[[両界曼荼羅#金剛界曼陀羅|金剛界曼陀羅]]を震旦に渡せる語 第八
不空三蔵、仁王呪を誦して験を現せる話 第九 第九
仏陀波利、尊勝真言を震旦に渡せる語 第十
震旦の唐の虞安良、兄の釈迦の像を造るに依りて活へるを得たる語 第十一
震旦の疑観寺の法慶、釈迦の像を造るに依りて活へるを得たる語 第十二
震旦の李大安、仏の助けに依りて、害せられしに活へるを得たる語 第十三
震旦の幽洲の都督張亮、雷に値ひしに、仏の助けに依りて命を存らへたる語 第十四
震旦の悟真寺の恵鏡、弥陀の像を造りて極楽に生れたる語 第十五
震旦の安楽寺の恵海、弥陀の像を画きて極楽に生れたる語 第十六
震旦の開覚寺の道喩、弥陀の像を造りて極楽に生れたる語 第十七
震旦の并洲の張の元寿、弥陀の像を造りて極楽に生れたる語 第十八
震旦の并洲の道如、弥陀の像を造れる語 第十九
江陵の僧亮、弥陀の像を鋳たる語 第二十
震旦の淄洲の司馬、薬師仏を造りて活へるを得たる語 第二十一
震旦の貧しき女、銭を薬師の像に供養して富を得たる語 第二十二
震旦の淄洲の女、薬師仏の助けに依りて平らかに産するを得たる語 第二十三
震旦の夏侯均、薬師の像を造りて活へるを得たる語 第二十四
震旦の雋恵(せんゑ)、阿閦仏(あしゅくぶつ)を造りて歓喜国に生れたる語 第二十五
震旦の国子祭酒粛璟、多宝を得たる語 第二十六
震旦の并洲の常慜(じょうみん)、天竺に渡りて盧舎那を礼せる語 第二十七
震旦の興善寺の含照、千仏を礼せる語 第二十八
震旦の汴洲(べんしゅう)の女、金剛界を礼拝して活へるを得たる語 第二十九
震旦の沙弥、胎蔵界を念じて難を遁れたる語 第三十
天竺の迦弥多羅、華厳経を震旦に伝へたる語 第三十一
震旦の僧霊幹、花厳経を講ぜる語 第三十二
震旦の王氏、華厳経の偈を誦して活へるを得たる語 第三十三
震旦の空観寺の沙弥、花蔵世界を観じて活へるを得たる語 第三十四
孫の宣徳、花厳経を書写せる語 第三十五
新羅の僧兪、阿含を受持せる語 第三十六
震旦の并洲の道如、方等を書写して浄土に生れたる語 第三十七
震旦の会稽山の陰県の書生、維摩経を書写して浄土に生れたる語 第三十八
震旦の法祖、閻魔王宮に於て楞厳経を講ぜる語 第三十九
震旦の道珍、始めて阿弥陀経を読める語 第四十
張の居道、四巻経を書写して活へるを得たる語 第四十一
義浄三蔵、最勝王経を訳せる語 第四十二
震旦の曇鸞、仙経を焼きて浄土に生れたる語 第四十三
震旦の僧感、観無量寿経阿弥陀経を持てる語 第四十四
震旦の梓洲の郪(せい)県の姚待、四部の大乗を写せる語 第四十五
震旦の張の謝敷、薬師経の力に依りて病を除ける語 第四十六
震旦の張の李通、薬師経を書写して命を延べたる語 第四十七
震旦の童児、寿命経を聞きて命を延べたる語 第四十八
巻七
唐の玄宗、初めて大般若経を供養せる語 第一
唐の高宗の代に、書生大般若経を書写せる語 第二
震旦の豫洲の神母、般若を聞きて天に生ぜる語 第三
震旦の僧智、諳に大般若経二百巻を誦せる語 第四
震旦の并洲の道俊、大般若経を写せる語 第五
震旦の霊運、天竺に渡りて般若の在ます所を踏める語 第六
震旦の比丘、大品般若を読誦して天の供養を得たる語 第七
震旦の天水郡の志達、般若に依りて命を延べたる語 第八
震旦の宝室寺の法蔵、金剛般若を誦持して活へるを得たる語 第九
震旦の并洲の石壁寺の鴿、金剛般若経を聞きて人に生れたる語 第十
震旦の唐の代に、仁王般若の力に依りて雨を降らせたる語 第十一
震旦の唐の代に、大山の廟に宿りして仁王経を誦せる僧の語 第十二
恵表比丘、無量義経を震旦に渡せる語 第十三
震旦の法花を持せる者、脣舌を現ぜる語 第十四
僧、羅刹女の為に嬈乱(ねうらん)せられしに法花の力に依りて命を存らへたる語 第十五
震旦の定林寺の普明、法花経を転読して霊を伏せる語 第十六
震旦の会稽山の弘明、法花経を転読して鬼を縛せる語 第十七
震旦の河東の尼、法花経を読誦して持経の文を改めたる語 第十八
震旦の僧、行きて太山の廟に宿りして法花経を誦し神を見たる語 第十九
沙弥、法花経を読むに二字を忘れしが遂に悟るを得たる語 第二十
豫洲の恵果、法花経を読誦して厠の鬼を救へる語 第二十一
瓦官寺の僧恵道、活へりて後法花経を写せる語 第二十二
震旦の絳洲の孤山の僧、法花経を写して同法の苦を救へる語 第二十三
恵明、七巻を八座に分ちて法花経を講ぜる語 第二十四
震旦の絳洲の僧徹、法花経を誦して臨終に瑞相を現ぜる語 第二十五
震旦の魏洲の史、雀産武、前生を知りて法花を持せる語 第二十六
震旦の韋仲珪、法花経を読誦して瑞相を現ぜる語 第二十七
震旦の中書令峰文本、法花を誦して難を免れたる語 第二十八
震旦の都水の使者蘇長の妻、法花を持して難を免れたる語 第二十九
震旦の右監門の校尉、李山竜、法花を誦して活へるを得たる語 第三十
馬を救はむが為に法花経を写して難を免れたる人の語 第三十一
清斉寺の玄渚、道明を救はむが為に法花経を写せる語 第三十二
三十三~四十話は欠話
震旦の仁寿寺の僧道愻(だうそん)、涅槃経を講ぜる語 第四十一
震旦の李思一、涅槃経の力に依りて活へれる語 第四十二
震旦の陳公の夫人豆盧氏、金剛般若を誦せる語 第四十三
河東の僧道英、法を知れる語 第四十四
震旦の幽洲の僧知菀(ちをん)、石の経蔵を造りて法門を納めたる語 第四十五
真寂寺の恵如、閻魔王の請を得たる語 第四十六
震旦の邵師弁、活へりて戒を持せる語 第四十七
震旦の華洲の張法義、懺悔に依りて活へれる語 第四十八
巻八 欠
巻九
震旦の郭巨、老いたる母に孝りて黄金の釜を得たる語 第一
震旦の孟宗、老いたる母に孝りて冬に笋を得たる語 第二
震旦の丁蘭、木の母を造りて孝養を致せる語 第三
魯洲の人、隣の人を殺して過を負はざる語 第四
会稽洲の楊威、山に入りて虎の難を遁れたる語 第五
震旦の張敷、死にたる母の扇を見て母を恋ひ悲しめる語 第六
会稽洲の曹娥、父の江に入りて死にけるを恋ひて自らもまた身を江に投げたる語 第七
欧尚、死にける父を恋ひて墓に奄を造りて居住せる語 第八
震旦の禽堅、夷の域より父を迎へて孝養せる語 第九
震旦の顔鳥、自ら父の墓を築ける語 第十
震旦の韓伯瑜、母の杖を負ひて泣き悲しめる語 第十一
朱百年、悲しき母が為に寒き夜に衾を脱げる語 第十二
□人、父の銭を以て買ひ取りし亀を河に放てる語 第十三
震旦の江都の孫宝、冥途に於て母を済ひて活へれる語 第十四
河南の元大宝、死にて報を張叡冊の夢に告げたる語 第十五
索冑、死にて沈裕の夢に官を得べき期を告げたる語 第十六
震旦の隋の代の人、母の馬と成れるを得て泣き悲しめる語 第十七
震旦の韋慶植、女子の羊と成れるを殺して泣き悲しめる語 第十八
震旦の長安の人の女子、死にて羊と成りて客に告げたる語 第十九
震旦の周の代の臣伊尹が子伯奇、死にて鳴と成りて継母に怨を報ぜる語 第二十
震旦の代洲の人、畋猟を好みて女子を失へる語 第二十一
震旦の兗洲(えんしう)の都督遂安公、死にし犬の責を免れたる語 第二十二
京兆の潘果、羊の舌を抜きて現報を得たる語 第二十三
震旦の冀洲の人の子、鶏の卵を食して現報を得たる語 第二十四
震旦の隋の代に、天女の姜略、鷹を好みて現報を感ぜる語 第二十五
震旦の隋の代に、李寛、殺生に依りて現報を得たる語 第二十六
震旦の周の武帝、鶏の卵を食せるに依りて冥途に至りて苦を受けたる語 第二十七
震旦の遂洲の摠管孔恪(そうくわんくかく)、活へりて懺悔を修せる語 第二十八
震旦の京兆の殷安仁、冥途の使に免されたる語 第二十九
震旦の魏郡の馬生嘉運、冥途に至りて活へるを得たる語 第三十
震旦の柳智感、冥途に至りて帰り来れる語 第三十一
侍御史孫迴璞(そんのかいはく)、冥途の使の錯に依りて途より帰れる語 第三十二
震旦の大史令傅奕、冥途に行ける語 第三十三
震旦の刑部の侍郎宗行質、冥途に行ける語 第三十四
震旦の庾抱(ゆはう)、曾氏に殺されて怨を報ぜる語 第三十五
震旦の眭[3]仁蒨[4](すいのにんせん)、冥道の事を知らむと願へる語 第三十六
震旦の周善通、戒を破りたるに依りて現に財を失ひて遂に貧賤を得たる語 第三十七
後魏の司徒、三宝を信ぜずして現報を得て遂に死にたる語 第三十八
震旦の卞士瑜の父、功を価はずして牛と成れる語 第三十九
震旦の梁の元帝、誤ちて珠を呑みしに一の目眇める語 第四十
隋の大業の代に、獄吏悪行に依りて、子の身に疵有りて死にたる語 第四十一
河南の人の婦、姑に蚯蚓の羹を食せしめたるに依りて現報を得たる語 第四十二
晋の献公の王子申生、継母麗姫の讒に依りて自ら死にたる語 第四十三
震旦の莫耶、剣を造りて王に献じたるに子の眉間尺を殺されたる語 第四十四
震旦の厚谷、父を謀りて不孝を止めたる語 第四十五
三人、樹下に来り会ひて其の中の老いたるに孝れる語 第四十六
巻十
秦の始皇、感楊宮に在りて世を政てる語 第一
漢の高祖、未だ帝王に在まさざりし時の語 第二
高祖、項羽を罰ちて始めて漢の代に帝王と為りし語 第三
漢の武帝、張騫を以て天河の水上を見しめたる語 第四
漢の前帝の后王照君、胡国に行ける語 第五
唐の玄宗の后上陽人、空しく老いたる語 第六
唐の玄宗の后楊貴妃、皇の寵に依りて殺されたる語 第七
震旦の呉招孝、流れたる詩を見て其の主を恋ひたる語 第八
臣下孔子に、道に行き値へる童子の問ひ申せる語 第九
孔子逍遥せしに、栄啓期に値ひて聞ける語 第十
荘子、□粟を請ふ語 第十一
荘子人の家に行きたるに、主雁を殺して肴に備へたる語 第十二
荘子、畜類の所行を見て走り逃げたる語 第十三
費長房、夢に仙の法を習ひて蓬莱に至りて返れる語 第十四
孔子、盗跖に教へむが為に其の家に行きしに怖ぢて返れる語 第十五
養由、天に十の日現じたる時、九つの日を射落せる語 第十六
李広が箭、母に似たる巌に射立てる語 第十七
霍大将軍、死せる妻に値ひて打たれて死にたる語 第十八
不信蘇規、鏡を破り妻に与へて遠くに行きける語 第十九
直心紀札、剣を猪君が墓に懸けたる語 第二十
長安の女、夫に代りて枕を違へて敵の為に殺されたる語 第二十一
宿駅の人、遺言に随ひて金を死にし人に副へて置きたるに徳を得たる語 第二十二
病、人の形と成りしが、医師其の言を聞きて病を治せる語 第二十三
震旦の賈誼、死にて後墓に於て文を子に教へたる語 第二十四
高鳳、并洲の刺史に任じて旧き妻を迎へたる語 第二十五
文君、箏に興じて値ひし相如と夫妻と成れる語 第二十六
震旦の三人の兄弟、家を売りしに荊の枯るるを見て、直を返して返り住める語 第二十七
震旦の国王、江に行きて魚を鉤りしに大きなる魚を見て怖れて返れる語 第二十八
震旦の国王、愚かにして玉造の手を斬れる語 第二十九
漢の武帝、蘇武を胡塞に遣はせる語 第三十
二つの国互に合戦を挑める語 第三十一
震旦の盗人、国王の倉に入りて財を盗みしに父を殺せる語 第三十二
生贄を立つる国の王、此を止めて国を平げたる語 第三十三
聖人、后を犯して国王の咎を蒙りて天狗と成れる語 第三十四
国王、百丈の石の率堵婆を造りて工を殺さむとせる語 第三十五
嫗の日毎に見し卒堵婆に血を付けたる語 第三十六
長安の市に粥を汲みて人に施せし嫗の語 第三十七
海の中にして二つの竜戦ふに、猟師一つの竜を射殺して玉を得たる語 第三十八
燕丹、馬に角を生ひしめたる語 第三十九
利徳明徳、酒に興じて常に行き会へる語 第四十
ISBN:9784065186930
判型:文庫
ページ数:576ページ
定価:1850円(本体)
2020年02月10日第1刷発行 -
Posted by ブクログ
講談社学術文庫
今昔物語集 天竺篇 全現代語訳
訳:国東 文麿
出版社:講談社
かなり、読み切るまで、時間がかかってしまった。
天竺の由来は、インダス川をサンスクリット語でシンドゥ、ペルシャ語で、ヒンドゥ、ヒンドゥを中国で、漢訳したものが、天竺というものだ。
仏教の初期は、ゴータマ・シッタルダの親族がメインで形成された宗教集団だったようだ
息子や、育ての母、いとこなどがくわわっていて、出家といっても、なんだかんだで、出身国の支援はあったようだ。皇太子殿下が新しい考えのもと、世の中を変革する運動を起こしたら、だれだって注目するし、信じもするだろう。ただの乞食のいうことはだれも信じないが、皇太子みずからが、啓蒙活動を行っているようなものだ。
ただ、いくら皇太子の言うことだとしても、文字もよめないような、庶民では、複雑怪奇な仏教の教えなど理解はできない。それで必要になったのは、説話集だっただろう。適当に短いし、あきる間もない。
仏陀にも、出家する前には、3人の嫁がいたし、唯一の息子が、親父と一緒に出家してしまったのは、国家としても誤算だったのだろうが、キリストとちがって、仏陀は、その一生を平穏に終わることができている。
<天竺編>
釈迦
父 浄飯王
母 摩耶夫人
叔母・養母 摩訶波闍波提;異母兄弟 難陀(十大弟子とは違う)
異母兄弟 孫陀羅難陀(摩訶波闍波提の子)
妻 耶輸(陀羅)羅睺羅の母
妻 瞿夷(第一婦人)
妻 鹿野
長男 羅睺羅(耶輸陀羅の子)
叔父 甘露飯王 阿難の父
叔父 斛飯王 提婆達多の父
叔父 白飯王 阿難(十大弟子)の父
摩訶男 浄飯王の後継者 親戚筋
<十大弟子>
舎利弗 智慧第一
目連 神通第一
迦葉 頭陀第一
須菩提 解空第一
富楼那 説法第一
迦旃延 論議第一
阿那律 天眼第一
優波離 持律第一
羅睺羅 密行第一 釈迦の長男
阿難 多聞第一 釈迦の従弟
長爪梵志(倶絺羅) 問答第一 これって上のだれ?
<全体観>
もともと、安倍清明の奇譚が面白くて、今昔物語集という膨大なアーカイブに興味をもちました。
仏教についても、三島由紀夫や、鈴木大拙などの著書を含めて、日本史の重要な中心線の一つであり、拾い読みでも、知識があれば、引用や、背景などもぼんやり見えて、歴史の旅は楽になる。
現代語訳というのと、豊富な語釈があったので、講談社学術文庫を選びました。
ついつい目に入ってしまう語釈を読みながらだと、読むスピードが落ちてしまう。
索引がないのが不満ですが、同じものが何度もでてくるので、おぼえておかなくてもよいかも
第11~21巻の本朝仏教説話が、シリーズされていないので、ちょっと残念です。他の出版社もあたりましたが、現代訳で、本朝仏教説話をカバーする書はみあたりませんでした。
今昔物語集とは、全31巻の説話集であり、著者も、成立年もわからない。一説によると、1120年前後との説もあるようです。和漢混交文で、原本は鈴鹿本と言われています。
共通なのは、出だしが、「今は昔」で始まることである。落語のように、明快に「おち」があるわけではないので、一部不満感が残るのは気のせいでしょうか。
<天竺編>
印度(インド)編です。仏典からの引用など、中国へ伝わったものがベースのようです。
<原本まえがき>
冒頭にある原本まえがきにある、マップは以下のとおりです
講談社学術文庫では、本朝仏教説話に関する出版はありません
第1巻 天竺 仏教史、仏像霊験説話
第2巻 天竺 霊験説話
第3巻 天竺 霊験説話
第4巻 天竺 因果応報話
第5巻 天竺 因果応報話* ~ここまで講談社学術文庫天竺編(印度編)
第6巻 震旦 仏教史、仏像霊験説話
第7巻 震旦 霊験説話
第8巻 欠 推定 菩薩諸天霊験説話
第9巻 震旦 因果応報話
第10巻 震旦 世俗説話* ~ここまで講談社学術文庫震旦編(中国編)
第11巻 本朝仏教説話 仏教史
第12巻 本朝仏教説話 仏教史、三宝霊験説話、仏像霊験説話
第13巻 本朝仏教説話 仏像霊験説話
第14巻 本朝仏教説話 霊験説話
第15巻 本朝仏教説話 霊験説話
第16巻 本朝仏教説話 観音霊験説話
第17巻 本朝仏教説話 地蔵その他霊験説話
第18巻 欠
第19巻 本朝仏教説話 因果応報話
第20巻 本朝仏教説話 因果応報話
第21巻 欠 推定 皇室関係説話 ~第11巻から第21巻は、講談社学術文庫未出版
第22巻 本朝世俗説話 藤原氏逸話
第23巻 本朝世俗説話 僧俗、剛力話、
第24巻 本朝世俗説話 工芸、医術、陰陽、管弦、詩歌
第25巻 本朝世俗説話 源平武人
第26巻 本朝世俗説話 地方民衆の運命談 ~ここまで講談社学術文庫本朝世俗編(上)
第27巻 本朝世俗説話 霊鬼、狐、野猪の怪異談*
第28巻 本朝世俗説話 滑稽諧謔談
第29巻 本朝世俗説話 盗賊談
第30巻 本朝世俗説話 恋愛、和歌伝説
第31巻 本朝世俗説話 雑記、口碑伝* ~ここまで講談社学術文庫本朝世俗編(下)
いわゆる奇譚は、第5、10、27、31巻にあります。
目次
原本まえがき
凡例
巻一
釈迦如来、人界に宿り給へる語 第一
釈迦如来、人界に生まれ給へる語 第二
悉達太子、城に在りて楽を受けたまへる語 第三
悉達太子、城を出でて山に入りたまへる語 第四
悉達太子、山に於て苦行したまへる語 第五
天魔、菩薩の成道を妨げむとせる語 第六
菩薩、樹下に成道したまへる語 第七
釈迦、五人の比丘の為に法を説きたまへる語 第八
舎利弗、外道と術を競べたる語 第九
提婆達多、仏と諍ひ奉れる語 第十
仏、婆羅門の城に入りて乞食し給へる語 第十一
仏、勝蜜外道の家に行き給へる語 第十二
満財長者が家に仏の行き給へる語 第十三
仏、婆羅門の城に入りて教化し給へる語 第十四
提何長者、自然太子を得たる語 第十五
鴦堀魔羅、仏の指を切れる語 第十六
仏、羅睺羅を迎へて出家せしめ給へる語 第十七
仏、難陀を教化して出家せしめ給へる語 第十八
仏の夷母憍曇弥(きょうどんみ)、出家せる語 第十九
仏、耶輸多羅をして出家せしめたまへる語 第二十
阿那律・跋提、出家せる語 第二十一
鞞羅羨(ひらせん)王子、出家せる語 第二十二
仙道王、仏の所に詣りて出家せる語 第二十三
郁伽長者、仏の所に詣りて出家せる語 第二十四
和羅多、出家して仏の弟子と成れる語 第二十五
歳百二十に至りて始めて出家せる人の語 第二十六
翁、仏の所に詣りて出家せる語 第二十七
婆羅門、酔ひに依りて意ならず出家せる語 第二十八
波斯匿王、阿闍世王と合戦せる語 第二十九
帝釈、修羅と合戦せる語 第三十
須達長者、祇園精舎を造れる語 第三十一
舎衛国の勝義、施に依り富貴を得たる語 第三十二
貧女、仏に糸を供養せる語 第三十三
長者の家の牛、仏を供養せる語 第三十四
舎衛城の人、伎楽を以て仏を供養せる語 第三十五
舎衛城の婆羅門、一匝り仏を遶れる語 第三十六
財徳長者の幼子、仏を称して難を遁れたる語 第三十七
舎衛国の五百の群賊の語 第三十八
巻二
仏の御父浄飯王死に給ひし時の語 第一
仏、摩耶夫人の為に忉利天に昇り給へる語 第二
仏、病の比丘の恩に報い給へる語 第三
仏、卒堵波を排し給へる語 第四
仏、人の家に六日宿りし給へる語 第五
老母、迦葉の教化に依りて天に生まれ恩を報ぜる語 第六
婢、迦旃延の教化に依りて天に生まれ恩を報ぜる語 第七
舎衛国の金天比丘の語 第八
舎衛城の宝天比丘の語 第九
舎衛城の金財比丘の語 第十
舎衛城の宝手比丘の語 第十一
王舎城の灯指比丘の語 第十二
舎衛城の叔離比丘尼の語 第十三
阿育王の女子の語 第十四
須達長者の蘇曼女、十卵を生ぜる語 第十五
天竺に、焼香に依りて口の香を得たる語 第十六
迦毘羅城の金色長者の語 第十七
金地国の王、仏の所に詣づる語 第十八
阿那律、天眼を得たる語 第十九
薄牱羅(はつくら)、善報を得たる語 第二十
天人、法を聞き法眼浄を得たる語 第二十一
常に天蓋を具せる人の語 第二十二
樹提伽長者の福報の語 第二十三
波斯匿王の娘善光女の語 第二十四
波羅奈国の大臣、子を願へる語 第二十五
前生に不殺生戒を持てる人、二国の王に生ぜる語 第二十六
天竺の神、鳩留長者の為に甘露を降らせたまへる語 第二十七
流離王、釈種を殺せる語 第二十八
舎衛国の群賊、迦留陀夷を殺せる語 第二十九
波斯匿王、毘舎離の三十二子を殺せる語 第三十
微妙比丘尼の語 第三十一
舎衛国の大臣師質の語 第三十二
天竺の、女子父が財宝を伝へざりし国の語 第三十三
畜生の百の頭を具せる魚の語 第三十四
天竺に異形の天人降れる語 第三十五
天竺の遮羅長者の子、閻婆羅の語 第三十六
満足尊者、餓鬼界に至れる語 第三十七
天竺の祖子二人の長者、慳貪の語 第三十八
天竺の利群史比丘の語 第三十九
曇摩美長者の奴、富那奇の語 第四十
舎衛城の婆提長者の語 第四十一
巻三
天竺の毘舎離城の浄名居士の語 第一
文殊、人界に生まれ給へる語 第二
目連、仏の御音を聞かむが為に他の世界に行ける語 第三
舎利弗、攀縁して暫く籠居せる語 第四
舎利弗・目連、神通を競べたる語 第五
舎利弗、阿難を慢づる語 第六
新竜、本の竜を伏せる語 第七
瞿婆羅竜の語 第八
竜の子、金翅鳥の難を免れたる語 第九
金翅鳥の子、修羅の難を免れたる語 第十
釈種、竜王の聟と成れる語 第十一
須達長者の家の鸚鵡の語 第十二
仏、耶輸多羅の宿業を説き給へる語 第十三
波斯匿王の娘、金剛醜女の話 第十四
摩竭提国王、燼杭太子の語 第十五
貧女、現身に后と成れる語 第十六
羅漢の比丘、報を感ぜむが為に獄に在りし語 第十七
二人の羅漢の弟子を駈へる比丘の語 第十八
須達の家の老婢、道を得たる語 第十九
仏、頭陀し給ひて鸚鵡の家に行き給へる語 第二十
長者の家の屎尿を浄むる女、道を得たる語 第二十一
盧至長者の語 第二十二
跋提長者の妻、慳貪女の語 第二十三
目連尊者の弟の語 第二十四
后、王勅を背きて仏の所に詣れる語 第二十五
仏、迦旃延を以て罽賓国に遣はせる語 第二十六
阿闍世王、父の王を殺せる語 第二十七
仏、涅槃に入らむとして衆会に告げ給へる語 第二十八
仏、涅槃に入り給はむとする時に、純陀の供養を受け給へる語 第二十九
仏、涅槃に入り給はむとする時に、羅睺羅に遇ひたまへる語 第三十
仏、涅槃に入り給へる後、棺に入れたる語 第三十一
仏、涅槃の後、迦葉来るれる語 第三十二
仏、涅槃に入り給へる後、摩耶夫人下り給へる語 第三十三
仏の御身を荼毘にせる語 第三十四
八国の王、仏舎利を分けたる語 第三十五
巻四
阿難、法集堂に入れる語 第一
波斯匿王、羅睺羅(らごら)を請ぜる語 第二
阿育王、后を殺して八万四千の塔を立てたる語 第三
牱拏羅(くなら)太子眼を抉られ、法力に依りて眼を得たる語 第四
阿育王、地獄を造りて罪人を堕せる語 第五
天竺の優婆崛多、弟子を試みたる語 第六
優婆崛多、波斯匿王の妹に会へる語 第七
優婆崛多、天魔を降せる語 第八
天竺の陀楼摩和尚、所〃を行きて僧の行ひを見たる語 第九
天竺の比丘僧沢、法性を観じて浄土に生まれたる語 第十
天竺の羅漢の比丘、山人の子を打つに値へる語 第十一
羅漢の比丘、国王に太子の死を教へたる語 第十二
天竺の人、海の中にして悪竜に値へる人、比丘の教へに依りて害を免れたる語 第十三
天竺の国王、山に入りて裸の女を見て衣を着しめたる語 第十四
天竺の舎衛国の髪起長者の語 第十五
天竺の乾陀羅国の絵仏、二人の女の為に半身と成れる語 第十六
天竺の仏、盗人の為に低けて眉間の玉を取られたる語 第十七
天竺の国王、酔象を以て罪人を殺さしめたる語 第十八
天竺の僧房の天井の鼠、経を聞きて益を得たる語 第十九
天竺の人、国王の為に妻を召さるる人、三帰を唱ふるに依りて蛇の害を免れたる語 第二十
国王の為に過を負ひし人、三宝を供養して害を免れたる語 第二十一
波羅奈国の人、妻の眼を抉れる語 第二十二
天竺の大天の語 第二十三
竜樹、俗の時、隠形の薬を作れる語 第二十四
竜樹・提婆二菩薩、法を伝へたる語 第二十五
無着・世親二菩薩、法を伝へたる語 第二十六
護法・清弁二菩薩、空有を諍へる語 第二十七
天竺の白檀の観音、身を現じたる語 第二十八
天竺の山人、入定の人を見たる語 第二十九
天竺の婆羅門、死人の頭を貫きて売れる語 第三十
天竺の国王、乳を服して瞋りを成し耆婆を殺さむとせる語 第三十一
震旦の国王の前に阿竭陀薬来れる語 第三十二
天竺の長者、婆羅門と牛突きの語 第三十三
天竺の人の兄弟、金を持ちて山を通れる語 第三十四
仏の御弟子、田打つ翁に値へる語 第三十五
天竺の安息国の鸚鵡鳥の語 第三十六
執師子国の渚に大魚寄せたる語 第三十七
天竺の貧しき人、富貴を得たる語 第三十八
末田地阿羅漢、弥勒を造れる語 第三十九
天竺の貧しき女、法花経[2]を書写せる語 第四十
子を恋ひて閻魔王の宮に至りし人の語 第四十一
巻五
僧迦羅五百の商人、共に羅刹国に至れる語 第一
国王、鹿を狩りに山に入りて娘師子に取られたる語 第二
国王、盗人の為に夜光る玉を盗まれたる語 第三
一角仙人女人を負はれ、山より王城に来れる語 第四
国王山に入りて鹿を狩り、鹿母夫人を見て后とせる語 第五
般沙羅王の五百の卵、初めて父母を知れる語 第六
波羅奈国の羅睺(らご)大臣、国王を罰たむとせる語 第七
大光明王、婆羅門の為に頭を与えたる語 第八
転輪聖王、求法の為に身を焼ける語 第九
国王、求法の為に針を以て身を螫されたる語 第十
五百人の商人、山を通りて水に餓ゑたる語 第十一
五百の皇子、国王の御行に皆忽ちに出家せる語 第十二
三つの獣菩薩の道を行じ、菟身を焼ける語 第十三
師子猿の子を哀れび、肉を割きて鷲に与へたる語 第十四
天竺の王宮焼くるに歎かざりし比丘の語 第十五
天竺の国王美菓を好み、人の美菓を与へたる語 第十六
天竺の国王、鼠の護りに依りて合戦に勝てる語 第十七
身の色九色の鹿、山に住み河の辺りに出でて人を助けたる語 第十八
天竺の亀、人の恩を報ぜる語 第十九
天竺の狐、自ら獣の王と称して師子に乗り死にたる語 第二十
天竺の狐虎の威を借り、責められて菩提心を発せる語 第二十一
東城国の皇子善生人、阿就䫂女と通せる語 第二十二
舎衛国の鼻欠け猿、帝釈を供養せる語 第二十三
亀、鶴の教へを信ぜずして地に落ち甲を破れる語 第二十四
亀、猿の為に謀られたる語 第二十五
天竺の林の中の盲象、母の為に孝を致せる語 第二十六
天竺の象、足に枎(くひ)を蹈み立て人を謀りて抜かしめたる語 第二十七
天竺の五百の商人、大海において摩竭大魚に値へる語 第二十八
五人、大魚の肉を切りて食せる語 第二十九
天帝釈の夫人舎脂の音を聞きし仙人の語 第三十
天竺の牧牛の人、穴に入りて出でず石と成れる語 第三十一
七十に余る人を他国に流し遣りし国の語 第三十二
ISBN:9784065178706
判型:文庫
ページ数:696ページ
定価:2110円(本体)
2019年11月11日 第1刷発行 -
Posted by ブクログ
人間界に降りた釈迦の生誕譚から入滅、入滅した後にまで及ぼした影響、生前譚などが載せられている巻一から五までを収録。お釈迦様は生まれた時から人間離れしていた。個人的に面白いと思ったのは巻一生誕譚と巻五の生前譚。生誕譚は摩耶夫人の脇から生まれ、一国の王子として育ち、それに鬱屈として仏道に入る。相当な鬱だったのだなぁ。生前譚は巻五。釈迦の前世は多くあり、必ずその近くに弟子たちがいる。ある時は共に過ごしある時は狩られある時はその身を捧げて血肉となる。そのほかにも教訓めいた話も多く王となって慢心した狐の話や空を飛びたいと鶴に願った亀の話など。動物が登場人物になると途端に楽しくなった。
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Posted by ブクログ
全三十一巻からなる巨大説話集の中から、震旦(中国)が舞台となる霊験談・奇譚を集めた巻六から巻十まで収録されている。巻十では中国歴史上の人物の話もあった。中国文学の授業で扱った王昭君の話が好きなのだが、授業で行った時より掲載されている文章のほうが王昭君の主観が入っていた。自分の容姿への自信によって結果的に宮中から出れたことがハッピーエンドだと思っていたのに対し、本文では匈奴に娶られたのが嘆き悲しむことだと知って認識の間違いに驚いてしまった。霊験談(巻六~)では人が一度死後の世界に行く(仮死状態)→閻魔王に罪が重いと告げられ地獄行き寸前→菩薩・仏が表れて救う→生き返り神仏の存在を周囲に知らせ崇める、といった流れの話が多かった印象。そのほかにも両親が畜生道(多くの罪業によって人間の世よりひどい環境に落とされる)自らの功徳を両親に捧げる、といった流れの話も多かった。自分の功徳を他人に分け与えることが菩薩修行の一番大事なこと。檀波羅蜜(布施行)を指す。(利他の精神>>>>>自利の精神)それを強調する印象が強かった。心が優しい人のことを聖人と言ったりするけれど、いじめてくる継母にも歯向かわず親子の義理を果たしたり、鳥獣殺生による親自身の地獄行きを自分の徳によって救ったりするのを読んでいるともはや聖人というよりお人よしというか、ここまでにならないと救われないのか…と思ってしまう。というよりいい人・しっかりしている人が損をするという社会を見せられたようで悲しくなってきた。やめますねこの話。
とはいえ仏の存在をここまで体系的に、現代まで残っているというのは本当にすごいことだと思う。面白かった話をメモ程度にまとめておく。
<巻七 震旦の并洲の石壁寺の鳩、金剛般若経を聞きて人に生まるる語、第十>P214
石壁寺に巣を作った鳩。老僧が法花経及び金剛般若経を常に読誦していた。やがて二羽の雛が生まれる。いざ飛び立とうとするとき雛の翼は未熟で巣から落ち死んでしまう。老僧の経を聞いていた鳩は、その晩僧の夢に立ち、前世の罪により畜生の身になったが経典を聞いた功徳によって再び人間として生きることになったという…ということで鳥獣がいれば必ず経を読んで聞かせなさい。
<巻九 震旦の周の代、臣伊尹が子、伯奇、死して鳴鳥と成り、継母に怨を報ずる語、第二十>P345
継母の讒言により生家を追い出された伯奇。野山をさまよい父に真実が伝わらない悲しみと母への怨みを抱えたまま、ついに死んで鳴鳥(モズの一種)になった。鳥になった伯奇は帰郷し、継母が自分を陥れた真実を告げ怨恨の歌を歌う。息子を信じなかった父は深く後悔し、後妻の仇討ちを決行する。親へのマイナス感情が不義なことで重い罪業なのに対しこの話はかなり特殊な印象を受けた。