小泉宏之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ロケットのエンジンを題材に、宇宙に行くにはどういうテクノロジーが必要なのか、現状からSFの世界までを紹介。コンパクトに全てがまとまっている一方、著者の熱意も随所に感じる力作。
化学推進で現在地球脱出速度7.7km/秒を出すが、そのために多段階ロケットが必要。それは推進力と重量のバランスを常にとっていないといけなく、燃料が少なくなる(軽くなる)ごとに早くしていく必要がある。
ファルコン9は62億円で、半分の輸送能力のH2Aロケットは100億円。汎用部品、再利用、軽量化がきも。
地球の重力を、宇宙からだとは考えなくてよくなるので、宇宙で推進剤の調達、組み立てができればより効率よく他の惑星へ行くこ -
Posted by ブクログ
現在と未来の宇宙開発についてロケットエンジン開発者の立場で考察した本。人工衛星から、月、惑星探査、恒星探査まで、エンジンの理論を踏まえながら解説する。
著者は東大の現役のロケット開発者で、自分の経験も踏まえて詳しく説明しており、図表等も適切に使われていて、大変判り易かった。ロケットの構造、惑星の重力と探査機の航路の関係、スイングバイの仕組み等、言葉では知っていても、それがどのような事なのかイメージが掴みにくいのだが、著者は事例や例え話を上手く使っていて、自分のような素人が読んでも大変判りやすかった。(それでもイオンエンジンの仕組み等はなかなか理解できなかったが)
人間の時間スケールでは惑星探査 -
Posted by ブクログ
宇宙を題材にした本はたくさんありますが、本書は対象を天体ではなく、ロケットに絞り込んだ工学目線の本です。長い胴体の尾部にノズルがあって、そこから猛烈な炎を噴き出して打ち上げられるロケットの姿が一般てきなイメージではないでしょうか。そのノズルの形状にも工学的必然性があり、燃料となる推進剤についてもロケットが進む周囲の環境(大気の濃度)によって決まってくるなど、本書序盤はロケットエンジンの基礎ともいえる理論をざっとおさらいしています。
そして本書中盤以降は、地球近距離軌道、小惑星探査、内惑星(水星・金星・火星)、探査、外惑星(木星・土星・天王星・海王星)探査、太陽系外への探査と次第に距離スケールを -
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ネタバレロケット推進=自力で推進する装置
ペイロード(荷物)=ロケット全体の3%
液体燃料ロケット
・燃料:水素系/灯油系
・エンジンサイクル:
①ガス発生器サイクル
副燃焼室で燃やして、ターボポンプシステムで燃焼室に燃料を送り込む。
②2段燃焼サイクル=H2A 1本100億円
副燃焼したガスも燃焼室に送る。
③膨張サイクル=H3
燃焼室の冷却時の流体膨張でタービンを回す。
ビーミング推進
外部からマイクロ波やレーザーを当てプラズマを作る。
ISS
高度400km 気圧1兆分の1 重力1割減 秒速8kmで無重力
全電化衛星
静止軌道までの到達と修正にイオンエンジンで軽量 -
Posted by ブクログ
宇宙論ではない、宇宙工学つまりロケットエンジンに関する本だが、月、水・金・火・木・土星、小惑星そして天王星・海王星へ到達するために、万有引力の法則に従った航行が必要なこと。そのためにいろんな制約がある中での宇宙船の飛行となっていることを大変分かりやすく説明してくれる。このようなことを意識せずに、地球内の常識で考えていることが多かったことに改めて気がつく。スイングバイ航法もイメージとしてはわかっていたが…。スイングバイをするに際しての金星の利用が通常化しているというのも納得!今後惑星間を太陽などの重力に逆らって自由自在に飛行できるエンジンの開発はNEPエンジンという概念により可能性が見えてきて