・eスポーツとリアルスポーツの違いの一つは身体依存性だろう。eスポーツは動体視力や反射神経、操作の正確性など細かなフィジカルの依存性はあるものの、それでも、体格差、筋力差、俊敏性、体重差などのリアルスポーツにとって重要な要素は必要ではない。したがって、性別や年齢、身体能力の有無によってスポーツのカテゴリー分けをする必要はなく、参入障壁の小さいスポーツとなっている。これは幅広い人が楽しむことができるスポーツであることを意味しており、それだけ、スポーツの市場も大きくなると予想できる。
eスポーツの発展を語るうえで「観客」というキーワードを外すことはできない。
・かつて、ゲームはシングルプレイにしろマルチプレイにしろ、自らがプレイするものだった。しかし、個人が簡単に動画配信サイトにプレイ動画を投稿できる環境が整いだしてからは、ゲームを「見る(視聴する)」というスタイルが新たに定着した。(PS4のシェアボタンやゲーム実況に関するガイドラインの策定などによってプレイ動画を投稿しやすくなった)ゲームをあまりしない人でも視聴すれば楽しめる。それは、ストリーマーのゲーム実況やプロゲーマーの対戦配信など様々なプレイ動画が、いずれも興行性が認められるほどのコンテンツとなったことを意味する。つまり、ゲームのプレイ動画を見る人が、観客となったのだ。そのため、企業がPRや広告によって収益性を確保できる市場が生み出され、eスポーツ関連の投資が拡大し発展が促された。
また、eスポーツのビジネス化において重要な転換点の一つはゲームを「基本無料」にしたことにある。基本無料であれば数多くのプレイ人口を増やすことができ、ゲーム内課金アイテムを用意することで継続的かつ安定的に収入を得られるビジネスモデルを確立した。しかも、SNSによるシェアが配信(TwitchやYouTubeなど)や投げ銭文化とも噛み合うことで、巨大な規模の市場を形成することに至った。
以上より、ゲーム、eスポーツがデジタル企業のフロンティアになるかもしれないと感じた。