鶴見良行のレビュー一覧
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ネタバレフィリピンのバナナの生産者と、日本での消費者、さらにそれをつなぐ商社との関係を描いた本。
だいぶ、昔の本なので、変化している部分も多いでしょうが、問題の本質的な部分は不変であると思います。
先進国の資本が、日本の消費者に向けたバナナを、フィリピンで作らせる。
そのために、地権を収奪し、長い間培われた農地を作り替え、文化を破壊し、多くの労働者を貧困に陥れる。さらに、農薬の利用などにより、現地の人々の健康を害している。
それでも、国がもうかれば、いずれは貧困も解消される、というのが当時の開発の理屈でもあったのでしょうが、そんなこと到底望めない仕組みが二重三重に先進国資本によって仕組まれていま -
Posted by ブクログ
mixiコミュニティ「読書会◆アウトプット勉強会」内のトピック「BOOK BATON」にて、紹介されていた本。
日本人にとって、もっとも身近な果物の一つ、バナナを軸にして、日本と産地であるフィリピンの貿易史について書かれている本。
読んでみると、猛威を振るう多国籍企業と、支配、搾取、蹂躙されるフィリピン農業の実態が痛々しく描写されている。
最も、恐ろしいと思ったのは、以下の箇所。
「こうして、フィリピンと日本はつながった。だが、国家と国家ではなく国民と国民の関係として考えてみると、実際にバナナを作っているフィリピンの労働者と、これを食べている日本の消費者は分断されているといえないだろう -
Posted by ブクログ
「バナナのようなありふれた食物についての探究さえも、それを深めてゆけば、日本のフィリピン両国の市民が平等に手をつなぐきっかけが、そこから生まれてくると私は考えている。」
1982年に刊行された名著を大学生以来再読した。
前半は、植民地支配からはじまり、戦争の混乱を経て、外資系大企業がフィリピンの土地を支配し蹂躙するまでの歴史が詳細に語られる。
続く中盤の章では、バナナ産業がどのように維持されているのか、それは主に企業対農家の凄惨な搾取構造が暴露される。地主は大企業に借金をし続ける形で関係が維持されている。農家はわずかに給与で食べていくのが精一杯という生活。農薬が空から散布されるので畑で野菜も -
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ネタバレ今や世界だけでなく日本の中だけでも云えることであるが、「安さには裏がある。」のだ。
昔は割と高級なバナナであったが、それは台湾バナナであった。台湾は輸出量にムラがあり、70年代頃から安いフィリピン産のバナナに変わっていった。輸出量にムラもないし、大土地所有制による安定した輸出が可能であったこと、これをまず踏まえる必要があろう。
ただ、安定したということは定常的に働かされている人がいる。開発経済といえば、「輸出志向」であり、あたかもそれが生活をゆたかにしたかのように錯覚する。しかしフィリピンでは、不安定な身分で働いている人がおおくいる。フィリピンはながいこと戒厳令が布告されており、労働運動ができ -
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ネタバレ[ 内容 ]
スーパーや八百屋の店頭に並ぶバナナの九割を生産するミンダナオ島。その大農園で何が起きているか。
かつて王座にあった台湾、南米産に代わる比国産登場の裏で何が進行したのか。
安くて甘いバナナも、ひと皮むけば、そこには多国籍企業の暗躍、農園労働者の貧苦、さらに明治以来の日本と東南アジアの歪んだ関係が鮮やかに浮かび上がる。
[ 目次 ]
1 バナナはどこから?―知られざる日・米・比の構図
2 植民地ミンダナオで―土地を奪った者、奪われた者
3 ダバオ麻農園の姿―経営・労働・技術
4 バナナ農園の出発―多国籍企業進出の陰に
5 多国籍企業の戦略は?―フィリピン資本との結びつき方
6 契約 -
Posted by ブクログ
学校に以前、フィリピンの調査をしていた方が講演に来てくださって、それで気になったので買ってみました。両親によると、一時期流行ってた本らしい?分からないけど( ¯ᵕ¯ )
フィリピンのバナナ農園の労働環境ってすっごく劣悪なんだよーって話は伺ったんだけど、本当にひどいなと思いました。1日20円ぐらいしか貰えないのに文句言ったら片腕切り落とされたり怖すぎて泣く߹ ߹ なんで解決しないのかなって思ったら政府が動かなかったからでさいあくすぎる( ߹꒳߹ )
これを見ると日本って平和だなーとしみじみ感じます、ひどい環境に置かれている方にも平和が訪れるといいなののもがんばる -
Posted by ブクログ
昔むかし、高校の地理の授業で取り上げられていて。バナナには安くて子供に大人気でお世話になっているのだけどあれだけ安く大量に売ってるからにはどこかに儲かる秘密があるのだと思ってた。
結論としては、土地の所有者と労働者が搾取されている印象。出来高制とは言っても肥料や苗は企業から買わなければならず、その土地はバナナしか作ってないので自分たちの食糧はお金で確保する必要があって。規格化された農業作物を日本人の好みに合わせて作らされている。
バナナのお金の流れを説明する都合上、商社だのアメリカ企業の結びつきだの地代や法律のからくりだの説明が長々としていてちょっと退屈な部分は読み流してしまった。