ロバート・ムーアのレビュー一覧
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なんとなくタイトルに惹かれて買ったのですが、素晴らし過ぎた。アメリカのアパラチアン山脈に通る3500kmの超ロングトレイル。その全行程を数ヶ月かけて歩き通すスルーハイクの様子とその中で考えたことが書かれているのかなと思ったら、それはプロローグに過ぎなかった。虫や動物が作る道、例えばアリのフェロモンの道や象の道と人間の作る道との共通点や違いはなんだろうか。羊飼いや猟師がそれぞれの動物との関わりの中で道というものがそれぞれどのような重要な役割を果たしているのか、そして現代の舗装された道と自然の中に作られるトレイルとの違いはなんなのか。すべての疑問と思索が、各地を歩き訪ねることと連動していて、物理的
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著者の道についての探求の旅をまとめた本。
原初の生物、虫、動物、人間と様々なテーマについて深掘りすべく、多くの場所に出向き、たくさんの専門家と話をしながら進めていく。かなりのボリュームがあるので、ちまちま読んでいたがようやく読み終わった。印象に残るエピソードが多かった。読後は銃病原菌鉄やサピエンス全史を読み終わった時のような、そこまでではないものの、中々の満足感がある。
wildernessについての記述を少し。
かつてはヨーロッパからアメリカへの入植者が用いていた。未開で野蛮であり、開拓して征すべき地帯を指す言葉として。一方で先住民族には生きているフィールドそのものでありwildernes -
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これまた荒木博之さんのVoicy、マイブックカフェのコーナーで紹介されていて気になっていた本。
こちらを紹介された方が、本当に本の説明、魅力を伝えることが巧みで、本屋さんで見かけたとしてもタイトルと表紙だけなら絶対に手に取らなかっただろうな。良いご縁。
以前、もしかしたら聞いたことはあったのかもしれないが、アパラチアン・トレイルという単語を初めて認知した。
アメリカ合衆国東部、アパラチア山脈に沿って、北はメイン州のガターディン山から、南はジョージア州のスプリンガー山まで伸びる、全長約3500キロの長距離自然歩道らしい。この距離に最初は全然ピンときてなかったんだけど、訳者の方のあとがきで、下関 -
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ネタバレ人間は好きな方向に行きやりたいことはなんでもやる。でも結局は自然があらかじめ描いていた道に必ず戻ってくる。ゲーテ
Man may turn which way he please, and undertake any thing whatsoever… he will always return to the path which nature has prescribed for him. - Goethe
何も知らない人達。牛の体重推測。話し合わせるよりも全体の平均が正解に近くなる。コンセンサスがあると惑わされて正解から遠のく。でも今までで一番近い正解を見せると、更に平均が高くなる。トレ -
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ネタバレ米国東部のアパラチア山脈沿いのアパラチアン・トレイルという約3,500kmの長い長い自然歩道を春~秋に歩き通す過酷なスルーハイクを完遂した著者の、「道」(というより、跡?)に関する様々な話。虫や動物たちが作り出し、巧みに使いこなす道や、はるか古代の原子生物の移動痕の化石の話まである。生き物が移動し、他の生き物がその後を追う(トレイル)。インディアンたちの場所に大きく依存した観念、現代のスルーハイカーたちの、余計なものを極限までそぎ落とした旅。そういう話たちがゆっくり混ざり合い、はるかな大きな道としてつながっていく感覚がある。
生き物は人間も動物も、コンクリートでもなんでもみんな否応なしに地球に