赤上裕幸のレビュー一覧

  • 「もしもあの時」の社会学 ──歴史にifがあったなら

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    おそらくSNS上の紹介で手に取ったのだが望外に得るものがあった。

    「歴史のif」という題材自体には、エンタメ性に優れたメディアであること以外の役割を意識することもなかったが、この反実仮想が歴史学上でいかなる機能を持ちうるかという論争が存在すること自体が新鮮な感覚であった。

    章立てに「仮想戦記」が取り上げられていることに訝しんだが、なるほどメディア論で親しんでいる佐藤卓己氏の元で研究されていたとのこと。

    欧米の歴史研究者自体は仄聞することもない名前ばかりであったが、比較的親しみのある作家も散見されページを繰る手が捗った。メディア史の考察として注力されていた架空戦記などは、縁遠い過去の出来事

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    2024年07月06日
  • 分断のニッポン史 ありえたかもしれない敗戦後論

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    歴史のif。日本が分断されていたらという視点から日本社会を斬る。

    終戦工作が遅れていたら日本はアメリカだけでなくソ連やイギリスと分割統治されていたかもしれない。歴史のifではあるが、ちょっとした偶然が重ならなければ起きていたパラレルな世界。

    本書は日本の分断や一部地域の独立という異質な視点から日本社会を解明する試み。

    紹介、引用される作品の多さにはただただ感嘆。ただし、結局のところ何を主張したかったのか論点があいまい。

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    2022年01月24日
  • 分断のニッポン史 ありえたかもしれない敗戦後論

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    歴史のifを描く小説・漫画から危機克服のヒントが学べるかはさておき、歴史のifを描く小説・漫画を好物とする身からすると、ああ懐かしいという作品から、こんなのがあったのか、見落としていたという作品まで同窓会みたいな気分で読んだ。(本来想定されていない読者なのだろうw

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    2021年08月11日
  • 分断のニッポン史 ありえたかもしれない敗戦後論

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    歴史のifを題材にした作品の評論。ここで危機管理といわれてもなあ、というのが第一印象。考えがばらばらということもあるし、純粋にシミュレーションしているわけでもなくエンタメ性がどうしても入っている。ようは結末がある、という点が研究とは違うところ。

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    2022年04月20日
  • 分断のニッポン史 ありえたかもしれない敗戦後論

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    以下、引用

    ●自由主義か共産主義かというイデオロギーの優越だけでなく、価値観の基準にはさまざまな「物差し」が存在する。流通する情報量を「物差し」にする発想に異論はあるかもしれないが、磯田のこの読み替えは重要である。というのは、分断国家ニッポンの発想が冷戦下のみ有効なわけではないことに気づかせてくれるからだ。20世紀は、アメリカとソ連の冷戦構造を背景として、わかりやすい二項対立で世界を把握でき、「分断」の状況も想像しやすかった。しかし、21世紀は、冷戦構造の終結、情報量の圧倒的な拡大等に伴い、単純化して世界を捉えるのが難しくなっている。だからこそ、イデオロギーとは異なる視点(=「物差し」)で現

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    2022年03月06日
  • 「もしもあの時」の社会学 ──歴史にifがあったなら

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    歴史的な事実を知っている者からすると、「もしもあの時に」と想像することは、時間というものが繰り返しを許さないものだけに、ひどく興味をそそられる仮定となり得る。ましては、それが「反実仮想」として学問的に追求されることは、思考実験としてだけでなく、現実把握や未来予測としてもたいへんに興味をそそられる学問領域となるであろう。

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    2019年09月08日