雷鈞のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
中国語で書かれた未発表の本格ミステリー長編を募る文学賞で2009年に創設された、文学賞の「第4回島田荘司推理小説賞」受賞作。
中国の孤児院で育ち、富裕なドイツ人夫婦の養子となった盲目の青年、阿大(アーダイ)ことベンヤミン。
中国で六歳の少年が木の枝で両目をくり抜かれる凄惨な”男児眼球摘出事件”が発生。
ベンヤミンは被害者の少年を力づけ、同時に事件の真相を暴くべく、お目付け役のインターポール捜査員・温幼蝶(ウエンヨウデイユ)とともに中華文明発祥の地・黄土高原へと旅立った。(以上、裏すじより)
この小説には一つ叙述トリックが含まれています。
タイトルである『黄』がキーポイントです。
そして引 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目の見えない少年が語り手&探偵役というだけで、どう物語られていくのか気になるが、読んで見ると初っ端からホームズばりの観察力を駆使した推察が繰り広げられ、面白さで読み進めることができる。
海外ミステリではあるものの、ミステリとしては非常に国内ミステリと読み心地が似ている。
それも新本格に近いケレン味。
そして新本格に感じたある種の屈折よりも、まっすぐというか純粋というか、樹形図の別のノードが進んだ先を見ているかのようだった。
ありがたいことに中国語の人名が同一ページ内でもすべてにルビが振られているのがとても助かる。
以下、真相に言及した感想としては……
・日本と中国では仕掛けの -
Posted by ブクログ
みなさんのレビューで気になって読んでみた作品。
初めて読む中国ミステリーだが、それ以上に、島田荘司先生が中国語で書かれたミステリーを対象にした賞を創設されていたことも知らず驚いた。
この作品はその島田荘司推理小説賞の第四回(2015年)受賞作品だそうだ。
「黃」というタイトルには様々な意味が込められている。その辺も考えながら読むと面白いかも知れない。
主人公は中国の孤児院で育ち裕福なドイツ人夫婦の養子となった盲目の青年・ベンヤミン。
中国で6歳の少年が両目をくり抜かれるという残忍な事件が起きたことを知り、事件の真相を探りに生まれ育った中国へと旅立つ。
現在と過去の話が交互に展開していくよ