長井短のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ表題の「ほどける骨折り球子」の方は、球子の感情の発露はかなり極端でちょっと理解できないけれど、動機の方はわかる。無性に腹立たしくて、極端なことをしないと抵抗出来ない事柄だなってことも理解できるので、球子みたいな行動に出る人が居てもおかしくない。その癖球子は対話も出来るタイプで、勇もしっかり話をする人だから歩み寄れるの、羨ましいな。
「存在よ!」も、あぁ自分は今雑に扱われているな。存在を無視されているなって場面日常で直面することがある。そんな話をしてるのに深刻になりすぎないのは、椅子の可愛らしさによるものかな。椅子、本当にキュート。大好き。 -
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ほどける骨折り球子
自分はあきらかに勇のような気質があって読み進めるのがちょっと辛かった。でも最後にほどけていくところで終わってよかったのだろうと思う。
存在よ!
すごく好き。読み終えるとなぜこれがタイトルなのかわかる。キヌが椅子と心を通わせて少しずつ革命を起こし、ほどいていくのが本当によかった。
両方に共通しているのは
・みんな心があるの
・私はこんなんじゃない
・想像しないと可能性は生まれない
・革命
・ほどく
ということなのかな。帯にも書かれていたように本作は一つの未来なのだろうな。自分はそのような未来で革命を起こされる側なのだろうけど、それでいいしもっとやっちゃえと思いました。 -
Posted by ブクログ
言葉の組み立て方に長井短さんの才能がほとばしってて、なんだ!?なんかすごいぞ!?と一気読み。
痒いところに手が届くように、わかりやすくて納得しやすい言葉で「この気持ち知ってる!」が表現されていて、主人公が頭の中で考えてる事が、まるで自分が考えてる事みたいに不思議なくらいスルスル読めた。
表題作の「私は元気がありません」が一番好き。
この主人公とは少し違う理由だけど、友達との関係性が年齢を重ねるとともにどうしても変わっていってしまうのが寂しくてつらくて、結局それを認めたくなくていつものお約束を繰り返してしまう経験が私もある。
だから吾郎の言葉は全部響いて、読み終わった時号泣してしまった。
吾 -
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私も元気がありません!痛々しいほどに等身大。変化していくことは怖くてそれを認める勇気もない。カツオがずっと五年生なように、しんちゃんがずっと五歳なように、私もいたい。よくぞここまで卓越したかっこ悪い言葉を並べてくれたことに感謝したい。生きてるだけでこんなに疲れるようになったのはいつからだったか。私は元気がありません!と油性ペンで顔に書いて堂々と眠っていたいなあ。全部忘れて魚になってアンダー・ザ・シーを踊ってたいよなあ。強くなりたいけど弱いままでいたい。渋々今を生きる人たちなら主人公達にきっと共感してしまうはず。第二章のベストフレンド犬山が好きでした。
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最初の骨折する妻の話は、すごく歪んでるけどちょっと共感する部分もあった。
自分のしていることが相手に対して何も影響がないというか、いつも同じ立場や目線になれないような感覚にもがく感じや、子どもに対するように同じ土俵に立ってもらえないような感じが「認められない」と思うのかな、と。
だからといって行動しちゃうところはやっぱり歪んでるのかなと思うけど⋯。
2つ目の幽霊の話は、感じられないものや理解の及ばないものを怖がることはあるけど、そういうものの意思なんてなかなか考えないからとても面白かった。
自分の身に起きたら、呪われてる!?と思うだろうけど、確かに話したい、友だちになりたいと思ってるかも、し -
Posted by ブクログ
ネタバレ三作品からなる短編集
その中でも私は題名にもなってる"私は元気がありません"が好きだった。もう心に沁みた沁みた。
この主人公雪と似たものが多かったし
年齢も同じというところが余計に感情移入しやすかった。
3人組で仲が良くて、でも突然その中の1人が亡くなる。そこから残った2人は遊ぶたびに台本通りのように変化を恐れる遊び方をするんだけど
そこが私と母のようで痛いほど共感した。
そんな遊びが続いてる中、写真をきっかけに雪と付き合ってるごろうが揉める。ごろう…とにかく良い。変化を恐れる人にとって、変化が怖いことじゃないと教えてくれる存在って向き合ってくれる人ってすごく貴重。
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ネタバレ表題作と「存在よ!」という中編2作を収録。
「ほどける骨折り球子」は、主人公の男が自意識過剰であまり乗れなかった。途中から展開が変わり「球子はなぜそんなことをしたのか?」「球子に対して俺は怒りをぶつけるべきか」と自問自答し2人の会話に入っていくのだが、球子は球子で自己愛こじらせ女で主人公以上にめんどい。最後まで読んだが「主人公にも球子にもライドしきれないなぁ、、、」という思いだけが残った。
「存在よ!」のほうが訳わからない設定を丁寧に描いていて好感が持てた。そうか「存在してる」って、相手に承認されて自信が持てるものだよね、と再確認。はじめ茫漠とした幽霊の意識が、自分を射抜く視線を見つけて光を