ダニロ・キシュのレビュー一覧

  • 死者の百科事典

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    ユーゴスラビアの作家、ダニロ・キシュの短編集。
    『庭、灰』『若き日の哀しみ』に続いて3冊目を読んだ。

    既読の2冊がぽつりぽつりと語られるような自伝的小説であるのに対し、この9編は凝った技法の詰まった文章で、まるで全く異なった作者のようだ。
    三島由紀夫的な耽美も感じるが、キシュの場合は美のための美しさにとどまらない。
    どこかおどけたような冷めた書き方が、逆に哀しみを強調してくる。

    タイトルとなっている「死者の百科事典」は、日本語にするとまるでホラー小説だが、そうではない。
    主人公が父親の死後、その人生を尊び、百科事典を開くかのように一つ一つ詳しく振り返る、という内容だ。
    ここで「死者」は、恐

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    2023年04月05日
  • 死者の百科事典

    Posted by ブクログ

    漸く読み終わった。300頁足らずの文庫本だが、1頁に収まる文字数がおそらく通常より多いので、500頁もの本を読んだ気になる。それと『若き日の哀しみ』の文体とは全く違うし、収録の短編それぞれの文体もそれぞれ異なる。さらに言えば、キリスト教・ヨーロッパ、特に東ヨーロッパ・そのロシア、ソ連との関係・作者の父親を殺したナチスドイツ・ユーゴスラビアなどの歴史と背景を知らねば、この本を100パーセント理解することは出来ない。それ故、これから読もうとする読者は、末尾の訳者・評者の解説を先に読むことをお勧めする。本書の内容には、直接ではないが現在の世界の極右化の傾向や、日本の現状と未来を暗示するものがあり、一

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    2019年08月22日