秋吉貴雄のレビュー一覧
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街の交通事情がなかなか改善されず、行政側にも多大な苦労があるのだろうなと思いつつ、法や条例ができてから、実施に至るプロセスに興味があり、公共政策学をいつか本格的に学びたいと漠然と思っていた。
本書は、そんな興味を持ち始めた方が、専門書を読む前に取りかかるのに最適な入門書であると思う。
まず、各章は具体的な事例をもとに、政策の段階ごとに問題提起から掘り起こしてくれるため、頭の中でイメージがしやすく、他の分野(例えば政治学や経済学)とのつながりを示してくれることで、深く興味が湧いた分野に立ち寄ることができる。
一番嬉しいことは、解説が専門的すぎず、平易すぎない丁度良さという点である。自分は -
Posted by ブクログ
「公共政策」とはなんぞや?と思いながら読み始めましたが、政策科学・公共政策学は決まった学問体系がなく、他の社会科学の学問より、実生活で応用できる学問であると理解しました。
市民から寄せられる意見をまとめ、解決するべき課題を設定し、解決のアプローチを検討し、それをどのように決定し、実行するのか。そして、その結果を踏まえた評価、次の課題の設定、という公共政策学の一連の流れを概説しています。これは他のこと(日々の小さな自己課題の解決など)にも応用できると思います。
このような思考法で物事を整理すれば効率は上がるのかなと思いますが、自分には中々難しいです。
また、各章の中で実例とその章(節)末に内 -
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社会で対応すべき「政策問題」の解決案としての「公共政策」を改善するための学問である「公共政策学」の特性と具体的な内容について解説。
公共政策学の来歴を振り返った後、「政策問題の発見と定義」→「解決案の設計」→「政策の決定」→「政策の実施」→「政策の評価」という政策のプロセスの各段階ごとに、少子化対策、中心市街地活性化政策、生活保護政策などの具体的な政策をモデルケースとして、公共政策学の基本的な考え方や手法を説明している。最後に、公共政策の改善に向けた方策を検討している。各内容のポイントを適宜まとめながら次のステップに進んでいくなどわかりやすい構成となっているなど、入門書として非常に優れた内容に -
Posted by ブクログ
政策がどのように決定されるかを知りたくて、本書を手に取りました。
当該目的自体は本書第4章「決定―官僚と政治家の動き」では、基本的な政策決定の流れが書かれており参考になりました。
本書を通じて、政策決定に官僚が重要な役割を果たしていることを改めて認識しましたが、いわゆる「官僚支配」と言われるほど強い権限を有しているわけでないことも記されています。実際には、多様な利害関係者を巻き込み、与党への根回し・調整の必要性も具体的に解説されています。
第4章以外は政策の決定前後の動き、すなわち問題、設計、決定、実施、評価といった流れが、各章毎の事例に即して説明されています。そのため、公共政策学を知りたい人 -
Posted by ブクログ
一周。ざっくりと概観を追うのに利用。ラスウェル等の「政策科学(Policy Science)」から公共政策学へ進み、現在は政治的政策を通す一部始終をサポートする学として体系化されているようだ。
個人的には、「言説」に着目して社会問題をフレーミング・リフレーミングするというあたりが、スペクター&キツセ系の社会構築主義の問題意識に似通っているように思われた。社会学から政治学・政治過程論への受け渡しを俯瞰するのが政策科学・公共政策学というジャンルと言えるだろうか?
これを何度も読み通すよりは、『公共政策学の基礎 新版』(秋吉・伊藤・北山 2015,有斐閣)へと進んだほうがよさそうだ。
文章それ自体は