八幡橙のレビュー一覧

  • いつかたどりつく空の下

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    納棺師として「せせらぎ典礼」で働く綾乃。母に棄てられ、世話してくれた祖父の死を“うらやましく”感じたことが、死への憧れのようなものに変貌していく。「おくりびと」のようなテーマでありながら、すべての登場人物が完全な悪人ではないところがよかった。パワハラ・セクハラ上司は痛い目にあってほしいと思いながら読んだけど、彼にも父の介護という辛い日常が。なじみがないが、いつかは必ずお世話になる職業にふれられる、静かなジュブナイル小説でした。

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    2025年03月02日
  • ランドルトの環

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    ネタバレ

    〇ある眼鏡屋をめぐる、高校生の青春哲学物語。彼は何を見つけるだろうか?

    メガネ男子・白砂瞬は、大学受験が近づく中父親の経営する眼鏡店で店番をするのが放課後のもっぱらの過ごし方だった。あるときそこに来た、メガネを作りに来たひどい視力の38歳女性・一村那知がパートとして働くことになる。絵のうまい彼女と古いマンガで意気投合し、そしてマンガアシスタントをしていたと知った瞬は、マンガ賞へ応募することを提案し手伝うと言い出して執筆がはじまるが・・・

    白砂家は、恋愛結婚だったのに母が父をこきおろし、妹は生意気。その長男が瞬。どこにでもありそうな家族だが、なんだかいびつに読者は感じるはずだ。
    一村家は、昔

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    2020年03月17日
  • ランドルトの環

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    ネタバレ

    高校生男子・瞬。その高校生らしい行動と、脳内で繰り広げられる哲学的な思考の混じり合いが、とても面白く、共感できる。
    彼が恋に落ちる年上の女性・那知さん。こちらはちょっと掴み所のない天然ボケな人だけど、一つの才能が露顕すると共に、どんどん魅力溢れる女性になっていく。
    これは瞬の目線で那知さんを好きになるよなぁと読み進めていくが、すぐ恋に落ちるのでなく、同じ目標に向かって行動を共にするという展開がうまい!そして、同士から恋人へと変わる次の展開がまた見事!
    二人の恋を多くの読者はどう捉えるだろう。
    僕は100%応援してしまった。

    映画のようなメリハリある展開で、一気読み。
    いやぁ~、すごく好き! 

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    2019年05月25日
  • いつかたどりつく空の下

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    「年取るって、厄介だよなぁ」
    施設に入居した高齢の母のこともあり、死を意識することが多くなったいま、上記の台詞に深く感じ入ってしまった。

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    2025年10月23日
  • いつかたどりつく空の下

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    前作『ランドルトの環』よりも、テーマが興味深く面白かった。
    綾乃は心のどこかで死への憧れを抱きながら葬儀社で働く女性。綾乃の先輩である民代の潔い引き際、自らの死の受け入れ方が素敵だなと思った。日々、死に接するからこそ生を感じるというのは、病院で働いていた自分にも身に覚えがある。自分だったらこんな最期を迎えたいなとか、この方の人生はどんなだったのかななどと思いをはせながら、人生の終わりを迎える人をお世話していた。亡くなった方の安らかな表情に救われることもあるし、逆にどうしてこんなに苦しい思いをしなきゃいけないんだろうと感じることもある。人の最期の姿から学ぶことってとても多い。そういう経験のできる

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    2022年07月19日
  • ランドルトの環

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    高校2年生の瞬とバツイチ38歳那知の出会いと恋を描いたお話。
    初めての恋ですっかり周りが見えなくなっている高校生と、色々なつらい経験をしたために臆病になり年齢差や常識から一歩を踏み出せない女性の気持ち、どちらもよくわかる。二人のその後、10年後くらいにどうなっているのかを読みたいなと思った。この選択を思い出として次のステップに進んだのか、それともずっと想い続けているのか。いい大人としては、本当に好きなら自立してからまたお付き合いしなさい、と思ってしまうけど、高校生としては突っ走っちゃうよね。
    大人だなあと思ったのは那知の息子で、瞬と同学年でもある孝之の態度。同居していないとはいえ、自分の母親が

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    2022年07月05日
  • ランドルトの環

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    17歳の瞬が、自宅1階の眼鏡店で出会った女性。

    彼女は、20歳以上も歳の離れた同級生の元母親。

    最初から何故か気になる存在で…。
    マンガを通じて気持ちをひとつにした二人は、強く惹かれあう。

    驚くような展開なんだが、何故か違和感なく進んでいく…。
    歳の差なんて、同じ目標に向かっていくなら意外でもないのかもしれない。
    気にならないことなのかもしれないと思った。


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    2022年02月21日
  • ランドルトの環

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    ネタバレ

    息子の同級生を好きになる、という
    なかなかの設定でした。
    人を好きになるということに年齢は関係ない
    というか、恋愛というものを越えたような関係として
    描かれていたような気もします。
    「ツインフレーム」という言葉も初めて聞きました。
    主人公がこの先、普通に恋愛をするのか
    ちょっと見てみたい気がしました。
    私の中でイメージとして膨らんだ「那知さん」は
    表紙の絵とそっくりで、良いイラストだなと思いました。

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    2022年02月19日
  • いつかたどりつく空の下

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    睦綾乃は葬儀社で働き6年になる。
    ベテラン、川瀬民代に教えられることも多い。
    ある時、彼女から「孤独の反対ってなんだと思う?」と訊かれる。
    綾乃は考える。
    自分のことは、煙のように消してしまいたいと思ってきた。
    湯灌、納棺の仕事をしながら変わっていく綾乃の姿が
    無理なく自然に描かれている。
    線香の煙を揺らすような優しい風がふわりと感じられるようで
    とても心地よい読書の時間だった。

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    2021年10月29日
  • ランドルトの環

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    眼鏡屋の息子、高校生男子の瞬と、そこで働くことになった38歳の那知さんの恋愛。
    漫画の話で意気投合だけど、実は同級生の母だというなかなかヘビーな状況。
    そして母はカリスマ主婦モデル。
    ちょっとおませな中学生の妹、母との関係は微妙な父。
    同級生のイマドキ高校生の坪内。
    幼馴染で、瞬を気にかける八重山さん。
    ありそうな状況となさそうな状況がうまく合わさって、あるかも、と思いながら読んだ。瞬が真面目に進むから、思わず応援したくなる。
    運命の人、出会う運命、結ばれない運命、人生は長い。
    僕の後ろに道はできる。きっと。

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    2021年09月25日
  • ランドルトの環

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    ネタバレ

    評価:3.7
    誰がどう手を施せば事態を免れられたのだろう。世間体を気にしない不純な関係に陥ってしまった瞬だが、これはどうしようも無かったと感じる。
    シラクミが、もっと過程を省みて自分のエゴを息子に押し付けなければ…と感じた。不純な関係に至ってしまう社会問題は枚挙にいとまがない。それについて考えさせられる題材だった。
    ただ、どうも男性作家の突発的な性衝動は苦手だ。欲望を忠実にオブラートに包まずに描写しているから。

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    2020年03月28日
  • ランドルトの環

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    高校生男子らしさと
    大人びて冷静な主人公 瞬 の両方
    がよくあらわされていて
    途中からは一気に読んでしまった。
    ツインフレームという言葉が印象に残る。
    ストーリーは割と予想通り。

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    2019年09月09日
  • いつかたどりつく空の下

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    遺体を、湯灌し納棺する仕事。
    先輩の民代さんは、納棺と遺体の復元専門で、
    顔の損傷の激しい「変死体」を修復、復元する特殊技能士。
    それを引き継ぐ綾乃。
    綾乃は死にたい願望があるが、沢山の死別を見送り、生きたい気持ちに変わって行く内容。
    エンバーミング→最初から遺体の腐敗を遅らせ、美しく保持すること。合理的で時代の先端を行く技術。日本は火葬の国なのでやっていない。
    印象的な言葉。
    人間にとって1番怖いことは知ること。人より早く何かに気づく人は、人より早く悲しみを知って、人より早く、そして深く、心を痛める。それでも知りたいことは知りたい。そうやって未知の自分に出会う。
    いつかみんな死ぬ。焦ることは

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    2021年08月30日
  • ランドルトの環

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    ネタバレ

    色々設定に凝っているが、簡単に言うと、同級生の母親と燃えるような恋をして、破局した男子高校生の物語。

    残念ながら、好みの話ではなかった。恋は盲目だというのがメインテーマだろうが、どうもこういうストーリーのために不幸を装う体があからさまな小説は苦手。

    好みはともかく、思春期の少年が禁断の恋をする物語を描きたかったのか?それなら漫画の部分は不要だと思うし、それ以外にも少々荒っぽい展開もあったのが残念。

    作者は俺と同年代(たぶん同学年)、だからこその小道具(マカロニほうれん荘)なんだろうが、俺ら世代でこの物語を描けるのは、エエ意味にも悪い意味にも気持ちが若いなぁとは思った。

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    2020年09月04日
  • ランドルトの環

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    男子高校生目線の話なので洞察力も甘く、女性側の心情が全く描かれていないのが残念。特異なシチュエーションなので共感はし辛いですが、読後は爽やかでした。

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    2020年02月29日
  • ランドルトの環

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    高校2年と20歳年上の女性との恋愛.こういう事もあるかもしれないと気持ちの揺れ動く様子が自然だった.それよりもカリスマ主婦モデルとの親子関係の方が不自然な感じで,将来的にもこちらが問題になりそう.

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    2019年06月13日