八幡橙のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ〇ある眼鏡屋をめぐる、高校生の青春哲学物語。彼は何を見つけるだろうか?
メガネ男子・白砂瞬は、大学受験が近づく中父親の経営する眼鏡店で店番をするのが放課後のもっぱらの過ごし方だった。あるときそこに来た、メガネを作りに来たひどい視力の38歳女性・一村那知がパートとして働くことになる。絵のうまい彼女と古いマンガで意気投合し、そしてマンガアシスタントをしていたと知った瞬は、マンガ賞へ応募することを提案し手伝うと言い出して執筆がはじまるが・・・
白砂家は、恋愛結婚だったのに母が父をこきおろし、妹は生意気。その長男が瞬。どこにでもありそうな家族だが、なんだかいびつに読者は感じるはずだ。
一村家は、昔 -
Posted by ブクログ
ネタバレ高校生男子・瞬。その高校生らしい行動と、脳内で繰り広げられる哲学的な思考の混じり合いが、とても面白く、共感できる。
彼が恋に落ちる年上の女性・那知さん。こちらはちょっと掴み所のない天然ボケな人だけど、一つの才能が露顕すると共に、どんどん魅力溢れる女性になっていく。
これは瞬の目線で那知さんを好きになるよなぁと読み進めていくが、すぐ恋に落ちるのでなく、同じ目標に向かって行動を共にするという展開がうまい!そして、同士から恋人へと変わる次の展開がまた見事!
二人の恋を多くの読者はどう捉えるだろう。
僕は100%応援してしまった。
映画のようなメリハリある展開で、一気読み。
いやぁ~、すごく好き! -
Posted by ブクログ
前作『ランドルトの環』よりも、テーマが興味深く面白かった。
綾乃は心のどこかで死への憧れを抱きながら葬儀社で働く女性。綾乃の先輩である民代の潔い引き際、自らの死の受け入れ方が素敵だなと思った。日々、死に接するからこそ生を感じるというのは、病院で働いていた自分にも身に覚えがある。自分だったらこんな最期を迎えたいなとか、この方の人生はどんなだったのかななどと思いをはせながら、人生の終わりを迎える人をお世話していた。亡くなった方の安らかな表情に救われることもあるし、逆にどうしてこんなに苦しい思いをしなきゃいけないんだろうと感じることもある。人の最期の姿から学ぶことってとても多い。そういう経験のできる -
Posted by ブクログ
高校2年生の瞬とバツイチ38歳那知の出会いと恋を描いたお話。
初めての恋ですっかり周りが見えなくなっている高校生と、色々なつらい経験をしたために臆病になり年齢差や常識から一歩を踏み出せない女性の気持ち、どちらもよくわかる。二人のその後、10年後くらいにどうなっているのかを読みたいなと思った。この選択を思い出として次のステップに進んだのか、それともずっと想い続けているのか。いい大人としては、本当に好きなら自立してからまたお付き合いしなさい、と思ってしまうけど、高校生としては突っ走っちゃうよね。
大人だなあと思ったのは那知の息子で、瞬と同学年でもある孝之の態度。同居していないとはいえ、自分の母親が -
Posted by ブクログ
遺体を、湯灌し納棺する仕事。
先輩の民代さんは、納棺と遺体の復元専門で、
顔の損傷の激しい「変死体」を修復、復元する特殊技能士。
それを引き継ぐ綾乃。
綾乃は死にたい願望があるが、沢山の死別を見送り、生きたい気持ちに変わって行く内容。
エンバーミング→最初から遺体の腐敗を遅らせ、美しく保持すること。合理的で時代の先端を行く技術。日本は火葬の国なのでやっていない。
印象的な言葉。
人間にとって1番怖いことは知ること。人より早く何かに気づく人は、人より早く悲しみを知って、人より早く、そして深く、心を痛める。それでも知りたいことは知りたい。そうやって未知の自分に出会う。
いつかみんな死ぬ。焦ることは -
Posted by ブクログ
ネタバレ色々設定に凝っているが、簡単に言うと、同級生の母親と燃えるような恋をして、破局した男子高校生の物語。
残念ながら、好みの話ではなかった。恋は盲目だというのがメインテーマだろうが、どうもこういうストーリーのために不幸を装う体があからさまな小説は苦手。
好みはともかく、思春期の少年が禁断の恋をする物語を描きたかったのか?それなら漫画の部分は不要だと思うし、それ以外にも少々荒っぽい展開もあったのが残念。
作者は俺と同年代(たぶん同学年)、だからこその小道具(マカロニほうれん荘)なんだろうが、俺ら世代でこの物語を描けるのは、エエ意味にも悪い意味にも気持ちが若いなぁとは思った。