伊達尚美のレビュー一覧
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共働きの両親(育児を早々に切り上げて仕事一筋だった母と、ジェンダー差別に敏感な父親という特異な両親)のもとで育った筆者。大学時代に自分のジェンダーと改めて向き合い、フェミニストを自称する筆者だが、結婚出産子育てを経て疎外感、孤独、違和感を味わうに至り、大学時代に受けたフェミニズム名著の授業を履修し直し、読み直すという物語。語弊を承知で簡潔に要約すれば、「フェミニストがフェミニストとして結婚出産できるのか」「フェミニズムと結婚出産は両立するのか」探った本。
一見、ただの学術書の紹介かと思って少し腰が引けるのだが、名著を読み解くのと並行して、筆者の母親/妻としての経験が丁寧に、時に包み隠さず語ら -
Posted by ブクログ
大学でフェミニズムを学び、フェミニストを自認する著者が、夫と子供と過ごす日常の中で学生時代に想定していたのとは違うフェミニストらしからぬ生活に埋もれていく様子がリアルで気持ちが沈む。
タイトルは「女たち」だが本の内容は著者のそういった日常や回想の描写が多くを占める。
学生時代には理想に燃え、過去のフェミニストたちの考え方に反発を覚えることもあった著者が、仕事・育児・夫婦関係といった現代社会に地に足を付けて暮らしている女性が抱える問題を経験して、歴代のフェミニストが語ってきたテーマへの共感を深める。
授業での議論パートは少ないが、世代や生育環境の違いによる意見がぶつかる様子がおもしろい。 -
Posted by ブクログ
学生時代にフェミニズムの講義を受けキャリアを積んだアラサー女性が、結婚し子供を産み、もう一度自我へ立ち戻るため母校でフェミニズムの講義を受け直し感じたことの記録。講義のため過去の文献の紹介があり、また同時に本の感想を語ってくれるため親近感がわき、フェミニズムの流れをざっと把握できた。
本の感想はなかなか深く、それだけでも読み応えがある。一つ残念だったところは、いま進んでいるストーリーと、本を読むために引っ張り出す記憶とが、時たまごちゃ混ぜに読めてしまう構成だった。日記のように読み進めると立ち止まってしまい、読書記録として読み進めると雑念が多い。だけど生活を生きながら学問をするとはそういう -
Posted by ブクログ
育児のため新聞記者の夢を諦め、ライターとして働くステファニーは、果てしなく続く家事と育児と仕事に追われ、閉塞的な日々を過ごす。ある日、学生時代に読んだベティ・フリーダンの『女性学の神話』を再読し感銘を受けた彼女は、母校でフェミニズムを学びなおす決意をする。15冊の名著を授業形式でひも解き、現代の女たちが生き延びるすべを探すエッセイ。
女性(このカテゴリーで枠を作るべきかという議論は理解できるが、ややこしくなるのでここでは女性『性』で考える)にとって、家庭と仕事の両立は近年社会への進出に伴って話題に事欠かない。私は現在自分のキャリアを積み上げるために仕事に奮闘しているけれど、自分の今の環境を変え