小池伸介のレビュー一覧

  • ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら ツキノワグマ研究者のウンコ採集フン闘記

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    著者の大学時代~現在にかけての研究の歴史みたいなのが書いてある。

    研究者ーー!って感じではなく、始まりは楽しようとしたんだけど、そのためのクマのうんこ見つけが以外に手間取った+「種子運んでるんじゃないか?」の当人以外の盛り上がりなんかで、かなり大変で、でも楽しい。のような内容が読んでて特に面白かった。

    学問を全然分からない人にも伝わるような、わかりやすい説明、文体なので、私でも楽しめました。

    タイトル、研究、この人がどんな人かなど、興味があればちらっと見てみることをお勧めします!!

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    2025年08月09日
  • ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら ツキノワグマ研究者のウンコ採集フン闘記

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    2023/09/29
    面白かった!
    読みやすいので中二の娘にもおすすめして読ませてみようと思う。
    将来を迷ってる、勉強ってなんでしなくちゃいけないのかなと思っている中学生にぜひおすすめしたい。

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    2023年09月29日
  • クマは都心に現れるのか?

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    感情論ではなく、エビデンスに基づいた説明がされており、クマに対する解像度が上がった気がする。

    子熊の死因や熊の生態についても知らなかったことがたくさんあった。

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    2026年07月11日
  • クマは都心に現れるのか?

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    駆除が盛んだった70年代以前。保護が叫ばれ始めた90年代。一次産業が廃れ、田畑が失われていく昨今。生活空間のすぐ隣が生息域。少なく見積もっても4万頭以上。増えた個体が人里に出没する。ヒトは無害か、恐ろしいか。果ては食材になるものか。クマも強かに探っている。旨味を覚えてしまえば繰り返す。撤退を迫られるのは人の方。「撲滅しろ」と「可哀そう」の感情論が対立してては進めない。襲われる前に出会わない。緩衝地帯を復活し、共生ではなく共存を目指す。予算の確保、人員の配置。大事なのは行政の役割。国の資質が問われている。

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    2026年06月06日
  • ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら ツキノワグマ研究者のウンコ採集フン闘記

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    著者はツキノワグマの研究者。森林生態系における植物-動物間の生物間相互作用にも注目している。
    これまでにも、クマや生態系に関連する著書も何冊かあるとのことだが、本書はタイトルからも窺えるように、専門的過ぎず、ごく読みやすい。著者の研究人生奮闘記である。

    研究者といっても、著者は、実験室に籠って実験に没頭するタイプでも、理論を組み立てて難問を解決しようとするタイプでもない。野生動物を追うフィールドワークだ。そして追う対象はクマである。
    近年、特に今年は、クマの人身事故が相次いでいるが、著者がクマの研究を始めたころは、これほどクマが人里に出てくることはなかったようである。人里どころか山でクマを見つけるのもかなり大変だったようだ。
    研究対象としてツキノワグマを選び、食性を調べるために糞を拾うことにしたものの、その糞がなかなか見つからない。山の中で、藪を漕いで歩き回っても見つからない。
    猟友会の人やクマに詳しい他の学生などに出没しやすい場所を聞いたり、クマが木の実を食べるときにできるクマ棚(熊が折ったり曲げたりして棚状になった樹木の枝)を教えてもらったりしてようやく初めて糞を見つける。以後、クマの気持ちを想像して探すようになるとおもしろいほど見つかるようになる。

    糞を拾うだけではなく、クマの本体を捕獲して発信機をつけ、行動を探るという研究もある。著者が学生の頃(おそらく2000年前後)は今のようにGPSが使用できないので、電波発信機が使われていた。まずドラム缶で作った罠でクマを捕獲し、発信機をつける。ここから生じる電波を捉えてクマの居場所を探るわけだが、巨大なアンテナが必要でしかも精度が低い。アンテナは方向しかわからないため、3ヵ所以上でアンテナを振ってどの辺にいるかあたりをつける。しかし、相手は生き物だ。当然移動するわけである。クマの移動速度はかなり速く、ヒグマの全速力は時速50km以上というから、ツキノワグマもそれほどではないとしても相当なものと思われる。山岳地帯では電波が崖で反射して、実際にはクマがいない方向から電波が飛んできたりする。
    近年はGPSが使えるようになり、カメラも高性能化・小型化されてきているため、このあたりは楽にはなったのだろうが、それにしても野生動物を追いかけるのは大変なことである。

    クマの糞を調べるとさまざまな植物の種子が出てくる。クマは森の種子散布にも一役買っているようなのだが、さて、それを突き止めるために著者がどうしたか、といった話も興味深い。

    本書の発行は2023年。著者の若い頃の話が中心であることもあって、昨今のクマ被害の深刻さと比べると、いささかのどかな印象を受ける。タイトルからして不謹慎に感じる向きもあるかもしれないが、当時としてはあまり知られていない野生動物のフィールドワークにまずは親しみを持ってもらおうという意図だったのではないかと思う。
    本書中には「ツキノワグマは生きた人を襲って食べることはまずない」といった記述もあるのだが、今年の被害状況ではそうとも言い切れない感じがする。いずれにしろ、今後、里に出てくるクマが多くなれば、人身事故は増えていくだろう。
    今年の漢字が「熊」になったのには少々驚いたが、確かにクマが世を騒がせた年ではあった。
    クマは身体能力も高く、力も強い。クマから見たら軽く引っ搔いた程度でも、人が重傷を負うこともある。対する人間側では駆除しようにも猟師の数も減り、高齢化が進んでいる。
    クマと人が出会わないように緩衝地帯を設けるのも一案だろうが、一朝一夕では難しいだろう。
    12月に入ればクマは冬眠するのではという話もあったが、まだクマの目撃情報は続いている。また、冬眠していったん落ち着くにしても、来年・再来年がどうなるのか予断を許さない状況だろう。
    その中で、著者ら、研究者の知見がどのように生かされていくのか、注目していきたいと思う。

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    2025年12月15日
  • ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら ツキノワグマ研究者のウンコ採集フン闘記

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    <目次>
    第1章  ウンコを集めて卒論を書く
    第2章  俺はクマレンジャー
    第3章  先生!!研究がしたいです…
    第4章  激闘!クマ牧場
    第5章  タネをまくクマ
    第6章  海外武者修行の旅
    第7章  クマ研究最前線
    第8章  クマさんのウンコと森を想う

    <内容>
    ツキノワグマ研究者の半生記。地道な研究の様子が少しコミカルな文章と共に見られる。それにしても著者の執念というか辛抱強さには敬意を表する。そして諦めない心!自然相手の研究は今の日本の風潮とは真逆な方向性なのだが、こうした地道な研究が積み重ねられて、近くはニュースになっているクマ被害対策、遠くは林業や自然保護の流れが作られていくはずだ。第8章は控えめながら、日本の将来について痛いところを突いている。

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    2025年03月23日
  • ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら ツキノワグマ研究者のウンコ採集フン闘記

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    タイトルにひかれて手にした本書。

    熊のウンコから、熊の生態や行動を分析していく研究者が書いた、今まで経験してきたエピソードをコラムにしたもの。

    面白かった。世の中には知らない事がいっぱいですね。熊は、最近住宅地まで来て迷惑な存在としての認識が強かったけど、本書をみて考えを改めた。種子散布者としての役割、ナイス!

    フィールドワーク的研究は体力勝負だと身をもって教えてくれた。

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    2025年01月18日
  • ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら ツキノワグマ研究者のウンコ採集フン闘記

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    読みやすくて面白い!クマもウンコもなくてはならないもの。生き物が多様に関わり合い、生態系を成していく様はなにが欠けてもダメなんだと改めて認識させられる。私はヒグマの方が興味あるが、ツキノワグマもなかなか面白いなあ〜

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    2023年09月15日
  • クマは都心に現れるのか?

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    クマは山奥にいる。そう思っていた常識が揺らいでいる。近年、人里へ下り、ついには市街地にまで姿を現すようになった。
    山に餌がないから、と説明される。だが、それだけだろうか。里山が荒れ、人が山へ入らなくなった。人とクマを隔てていた境界そのものが、いつしか薄れている。
    クマが都心に近づいたのではない。人間の暮らしと山との関係が変わったのである。
    街角に現れた一頭のクマ。その姿は、山からの迷い客というより、私たちが忘れていた境界を知らせに来た使者のようにも見える。問われているのは、クマの居場所だけではない。人間は、どこまでを自分の場所とするのか。

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    2026年09月23日
  • クマは都心に現れるのか?

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     この章をまとめよう。2025年のクマによる人身被害は、統計開始以来最悪の事態となった。東北を中心に236人が被害に遭い、13人が死亡した(12月末まで)。市街地での出没が、夏の時点で7割に達し、複数人でいても襲われ、街中を落ち着いて歩くクマなど、従来の事例では説明できない事態もあった。背景には、ドングリの凶作という短期的要因と、40年から50年かけての分布拡大と生息数の増加、バッファーの喪失、警戒心の低下という長期的要因が複雑に絡み合っている。1999年に始まった20世紀型の管理制度は2世紀には通用せず、2023年にようやくガイドラインの方向転換が始まったが、間に合わなかった。
     行政は人材不足と予算不足に苦しむ。そもそも、米国のベア・スペシャリストのような専門家は日本にはおらず、行政の担当者が人事異動で3年で交代するような状況が続いている。一方、メディアはセンセーショナリズムに傾き、世論は「かわいそう」から「絶滅させろ」へと激しく振れた。誰もクマを知らないのに、勝手なイメージだけが独り歩きしている。


     また、よく開かれるのは「ヒグマのほうが凶暴か」ということだが、この点については長親に気を付けなければならない。「凶暴」という言葉には、受け取る人によって違う印象が加わり、何をもってして「凶暴」かどうか、定義をはっきりさせなければならない。 同じ意味で、多くの人は「クマは臆病だ」と言うが、これも表現として間違っている。私はいつもクマに関しては「警戒心が強い」という言い方をする。ツキノワグマもヒグマも非常に人間に対する警戒心が強い動物で、基本的には人間と出会いたくはないという願のもとに生活している。そのため、基本的な対策としては鈴などを身につけて音を出し、 人間の存在をクマに知らせることは共通している。クマの性格を一般的に「凶暴」とか 「臆病」などと言ってしまうと、その言葉が持つ人間側の意識として、恐ろしい、弱いといったイメージを予断として持つ人が出てくる。そのため「専門家は臆病と言っていたが実は脈病ではないじゃないか」というような誤解を生んでしまう。クマは凶暴でも瞳利でもなく、ときとして人間を攻撃し、普段は人間を警戒している。


    強い好奇心と探索能力
     クマを観察していると、動くものを追いかける能力など動体視力が非常に鋭いことがわかる。世界がどのように見えているのかはわからないし、ひょっとすると視覚自体はボンヤリとしていたり、遠くがよく見えていない可能性もあるが、動くものを捉える能力は非常に高いようだ。おそらく嗅覚で捉えた情報を聴覚と視覚で補い、食べ物なり危険なものを探知していると考えられ、この3つの感覚を非常に高度に統合させているのではないかと思われる。
     また、クマという生き物は非常に好奇心が強い動物である。同時に、特に食べ物に対し、 とても探索能力の高い動物でもある。これまで、これらの強い好奇心と食べ物への高い探索能力を人の前で出すことは少なかった。なぜなら、人への警戒心がストッパーになっていたからだ。ところが、こうした警戒心が抜けてしまうと、ただ好奇心の強い探索能力の強い動物としてのクマになる。人や人の生活圏に対する好奇心が芽生え、警戒心が弱まったり、警戒の閾値が低くなったりした状態で食べ物があることを察知すれば、そこを徹底的に探索する。
     近年になってこのような行動をするクマがあちこちに出てきているということは、どこの地域でも警戒心が薄れたり、すっぽり抜け落ちてしまったクマが出現する状況になっているということでもある。つまり、そうしたクマを作り出す、あるいはそれを助長するような条件が整ってきた地域が、各地にでき上がりつつあるのだろう。例えば、東京でもこうした条件が整えば、高尾山や八王子市内などにクマが出てくることも十分に考えられる。 それは秋田県などで起きた状況と同様のフェーズと言える。クマの行動が変容し、ドングりの国作が重なれば、人身被害に発展するリスクは高まるだろう。
     クマの好奇心と探索能力は警戒心の低下によって発揮される。しかし、それだけではない。クマには、経験から学び、記憶し、それを将来の行動に生かすという能力もある。


    あそこへ行けば美味しい食べ物がある」と記憶
     クマは生クマは非常に賢い動物である。この賢さの意味は、記憶力と学習能力が高いということだ。もちろん、これらは人間の知能とは異なる能力だ。母親から教えられたり、後天的に会得した経験から食べ物を探索し、危険を察知したり避けたりする能力と言っていい。



    何がクマを呼び寄せるのか
     ここまでクマについて、好奇心旺盛で探索能力に優れ、一方で警戒心が強いということを述べてきた。では、クマはどんなものに好奇心をくすぐられ、引き寄せられ、本来なら強い警戒心のために避けてきた人里へ出てきてしまうのだろうか。よくクマの誘引物として引き合いに出されるのが、防除対策のしていない農作物(果樹、トウモロコシなど)やその放置物、生ゴミや残飯などだ。その他に、ぬか漬けなどの発酵食品もにおいでクマを引き寄せる危険性があり、屋外に放置されたイヌやネコの食べ物も誘引物となる。
     また、ガソリンや灯油、ペンキ、シンナーなどの揮発性の物質も嗜好するとされている。 ただ、これらの揮発性物質は、例えばカキやクリ、残飯などの誘引物とは異なったものだと思う。もちろん、クマが揮発性のシンナーなどのにおいを好むのは間違いなさそうで、 国立公園の道路標識などにクレオソートのような防腐剤が塗布されていることがあるが、 クマはよくそうした標識や看板をかじったり、執着した痕跡がうかがわれることも多い。


     前述したように、クマは秋の間に1年間のエネルギー摂取量の8割ほどを摂取し、それらから作り出された脂肪を冬眠中だけでなく、実は翌夏まで使い続ける。夏の山は本当に砂漠のように食べ物が少ないため、冬眠から目覚めた後、春から夏までの間も、前の年の秋に溜め込んだ脂肪を消費しつつ過ごす。クマの脂肪には、皮下脂肪、内臓脂肪、骨髄脂肪などがあるが、ダイエットですぐなくなるのは皮下脂肪だ。内臓脂肪はなかなかなくならないし、骨髄脂肪は本当に餓死寸前までいかないと使わないような脂肪である。
     ドングリが豊作の年の翌年は、せいぜい次の夏までに皮下脂肪を使い終わり、内臓脂肪に手を付け始めるぐらいで乗り切れる。しかし、凶作の翌年は皮下脂肪、内臓脂肪だけでは足りず、骨髄脂肪にも手を付けないといけないぐらい飢えた状態になる。どんな生物も未来のことはわからない。秋の間に栄養を摂れるならできるだけ摂っておきたいというのが、クマ側の事情なのだ。だから、食べ物がなければ省エネを優先し、早く冬眠してしまう。冬眠して寝てしまうことによって無駄な消費を抑えられるので、凶作の年であっても何とか翌年の夏まで生き延びていけるのではないだろうか。


    クマから命を守るには
     改めてにはなるが、クマと出遭った際にできることは何もないと考え、クマと出遭わないことが、人身被害を発生させないための基本である。それでもクマに遭ってしまうことはあるため、それぞれの対処法を示す。ただし、クマに出遭ってしまったときの正解はないと考え、落ち着き、柔軟な対応が求められる。

    出遭わない(至近距離遭遇を避ける)
    ・クマによる人身被害は、突然の至近距離での遭遇時に起きやすい。早朝・夕方(薄明薄暮)や見通しの悪い場所は、クマも人も互いを発見しにくい。
    ・生活圏および出かける先の地元自治体の出没・目撃情報を確認する。特に、例年と異なった場所や時期に出没や目撃がある場合には、予想外の場所でクマに遭遇する可能性がある。
    ・鈴・ラジオ・声・拍手といった音でクマに人間の存在を知らせる。特に雨の日や沢沿いなど音が消されやすい場所では、複数人で大声を出す、手を叩くといった、より積極的なアピールを組み合わせる。
    ・単独行動は避ける。クマとの死角となる藪際・沢沿い・林縁を警戒する。

    遭遇時の対応(近い・遠い・攻撃の有無などで異なる)
    ・クマが人間を攻撃する場合、捕食目的よりも驚き(自身の防衛、子連れ防衛、食べ物防衛など)のケースが多く、人間側の行動が攻撃の引き金になりやすい。
    ・基本は「逃げる・追う・近付く」を避け、状況に応じて落ち着いて距離を取る。
    ・遠くにいるクマを見つけた場合:まず距離を取り、静かにその場を離れる(刺激しない)。写真撮影や接近はしない(母グマがいたり、近くに確保した食べ物がある可能性)。
    ・近距離で遭遇してしまった場合:走らない(追跡を誘発する)、大声で威嚇しない/急に近付かない(驚かせない)。クマの様子を見つつ、ゆっくりと後退して距離確保(視界を保ちながら)。子グマが見えたら特に危険で、近くに母グマがいることが多い。 いることが多い。
    ・人間の生活圏(庭・畑・通学路など)で遭遇した場合:基本的には右記と同じであるが、 近くに家や車があれば中に避難する。


    クマを森から出さないために
     クマを人間の活動域に寄せ付けない(誘引物管理・環境管理)ことも、人身被害を発生させないための基本である。個人でできることを改めて記す。
    ・生ゴミ・残飯を屋外に放置しない。回収日までの保管をしっかりと行い、臭い漏れを減らす。
    ・果樹(カキ、クリなど)は、収穫しつくし、落果を拾う。不要であれば伐採する。
    ・農地は電気柵で囲う。不良果実などの収穫残渣を、電気柵外でも放置・廃棄しない。これは農地が食べ物の供給場所になり得ることをクマに学習させることとなる。
    ・農地や集落周辺の藪を刈り払い、クマの隠れ場所を減らす。
    ・地域ぐるみで誘引物を減らすことで、集落そのものがクマにとって魅力のない場所にすることが重要。


    …クマ問題の解決には多層的なアプローチが必要である。第三章で述べたように、個人レベルでは鈴で存在を知らせる、誘引物を管理する、遭遇時に適切に対処するといった日常的な対策が基本となる。重要なのは、クマに対する正しい理解である。クマは「凶暴」でも「臆病」でもなく、学習能力の高い、警戒心の強い動物である。その警戒心を維持し、人間を「怖い存在」として認識させ続けることが、人とクマの適切な距離を保つ上で不可欠なのである。
     地域・行政レベルでは、机上と現場で活躍する専門人材の育成、ゾーニング戦略、自治体ごとの個体数推定は当面は継続しつつもユニット管理に基づく相対的な個体数指標の計測とその増減の把握、人間の活動域周辺の超低密度化と間引きによる個体数管理などの施策が求められる。特にゾーニングは、クマの生息域と人間の生活圏を明確に区分し、バッファーで緊張関係を維持することで、長期的な共存を可能にする鍵となる。
     これまでのクマ管理で行われてきた、問題を起こす特定の「問題個体の排除」、被害を未然に防ぐ「被害防除対策」、誘引物の除去、侵入ルートの遮断、刈払いなどによる心理的な障壁作りなどの「環境管理」、人への情報発信や教育、普及といった「人の行動管理」 を継続するのは大前提としつつ、地域によってはクマを減らす・分布域を縮める「個体数管理」を選択できるようになるのが、2世紀型のクマ管理と言える。
     そして、地域ごとの被害状況と社会的許容度を考慮しながら、適正な個体数管理を行っていく。短期的な対症療法と長期的な構造改革、個人の行動変容と制度設計、科学的知見と実践的経験――これら全てを統合した総合的なアプローチによってのみ、クマとの真の共存が実現できるだろうし、これが科学的根拠に基づきつつも、現実的で持続可能なクマ管理のあり方である。

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    2026年05月24日
  • クマは都心に現れるのか?

    Posted by ブクログ

    昨今のクマ出没問題の原因については良く分かったが、環境問題だけで無く人口減少が人間を恐れなくなったクマの増加に寄与していると思われ、根本的な解決策はなかなか見いだせ無さそうに思えた。

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    2026年05月17日