【感想・ネタバレ】ある日、森の中でクマさんのウンコに出会ったら ツキノワグマ研究者のウンコ採集フン闘記のレビュー

あらすじ

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25年間にわたってウンコを拾い続け、ツキノワグマの謎に包まれた生態を明らかにしてきたクマ博士・小池伸介氏が数奇な研究人生と“クマの本当の姿”を語る自然科学エッセイ。
体を張った研究の果てに見えてきた森林におけるクマの役割と自然の神秘とは? ツキノワグマ研究者のウンコ採集フン闘記。
研究者の愛情が炸裂する動物研究記です。

【内容】
1章 ウンコを集めて卒論を書く
テニスサークルで青春を謳歌しようとしたら昆虫研究会に入っていた/昆虫少年からクマ研究の道へ/車で崖下に落ちそうになったけど命拾い/初めてのウンコ/ウンコまみれのリュック/ウンコは自然解凍にかぎる/クマのウンコは無臭ときどき食材の香り

2章 俺はクマレンジャー
ドラム缶の罠でクマを捕まえる/クマさんにはアポ無しで会いたくない/吹き矢でケモノを眠らせろ/ハニートラップに弱いクマ/クマを追って数百キロをドライブ/クマの冬眠穴は超デンジャラス/富士吉田警察との奇妙な因縁

3章 先生!! 研究がしたいです……
クマよ、お前は本当に植物の役に立っているのか?/地元の人に怪しまれながらヤマザクラを調べることに決めた/クマはサクランボの旬を知っている/就職してもウンコ拾いがやめられない/誕生! ウンコソムリエ

4章 激闘! クマ牧場
果実がウンコになって出るまでの時間を測る方法/動物園で1日中クマの脱プンを監視する男たち/クマさんにはやっぱりハチミツ/クマのウンコサイクルがつかめてきた/クマ研究者、クマを食べる/子グマは「クーマ、クーマ」と鳴く

5章 タネまくクマ
ドングリにはリズムがある/クマの集団失踪事件/高所恐怖症ですがセスナに乗りました/クマはフットワークとウンコの仕方が最高である/クマ研究者、大学教員になる/169時間クマの食事を監視する

6章 海外武者修行の旅
クマの寝込みを襲う修行 in USA/森の中でクマさんと出会って死にかける/ロシアのクマはトラに食われる!?/シュールストレミングの10倍臭い肉/小雪舞う川で半裸のロシア人が水ごりに誘う

7章 クマ研究最前線
クマにカメラを搭載する/動画を解析したらクマが寝てばかりだった件/3度のメシよりメスが好き!/クマを憎む学生、クマハギの謎に挑む/クマ、アヘる/毛を調べれば食生活が丸わかり/クマは秋の3月で1年の80%をまとめ食いする

8章 クマさんのウンコと森を想う
森のウンコ・ストーカー/クマ学者ですがフン虫の実験をします/クマさんのウンコは手分けして運ぶのがベスト/もっとクマを知ってほしい!/クマを滅ぼすシカ/過疎化で毎日クマさんに会える!/クマのウンコは森のお宝 and more


【著者プロフィール / 小池伸介】
ツキノワグマ研究者。現在、東京農工大学大学院グローバルイノベーション研究院教授。博士(農学)。専門は生態学。
主な研究対象は、森林生態系における植物―動物間の生物間相互作用、ツキノワグマの生物学など。
現在は、東京都奥多摩、栃木県、群馬県の足尾・日光山地においてツキノワグマの生態や森林での生き物同士の関係を研究している。
1979年、名古屋市生まれ。著書に『クマが樹に登ると』(東海大学出版部)、『わたしのクマ研究』(さ・え・ら書房)、『ツキノワグマのすべて』(共著・文一総合出版)など。

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Posted by ブクログ

タイトルのままの調子で、クスッと笑いながら、楽しく読みやすい。それでいて、クマさんをはじめ、他の生き物たち、森、生態系と専門的なことに触れることのできる一冊。
クマが住宅地に出没して「恐ろしいもの」との報道されている今だからこそ、この本を読んで、同じ日本に住む者として、クマさんの気持ちに寄り添ってみるのも大事だと思う。

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

著者の大学時代~現在にかけての研究の歴史みたいなのが書いてある。

研究者ーー!って感じではなく、始まりは楽しようとしたんだけど、そのためのクマのうんこ見つけが以外に手間取った+「種子運んでるんじゃないか?」の当人以外の盛り上がりなんかで、かなり大変で、でも楽しい。のような内容が読んでて特に面白かった。

学問を全然分からない人にも伝わるような、わかりやすい説明、文体なので、私でも楽しめました。

タイトル、研究、この人がどんな人かなど、興味があればちらっと見てみることをお勧めします!!

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2025年08月09日

Posted by ブクログ

2023/09/29
面白かった!
読みやすいので中二の娘にもおすすめして読ませてみようと思う。
将来を迷ってる、勉強ってなんでしなくちゃいけないのかなと思っている中学生にぜひおすすめしたい。

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2023年09月29日

Posted by ブクログ

著者はツキノワグマの研究者。森林生態系における植物-動物間の生物間相互作用にも注目している。
これまでにも、クマや生態系に関連する著書も何冊かあるとのことだが、本書はタイトルからも窺えるように、専門的過ぎず、ごく読みやすい。著者の研究人生奮闘記である。

研究者といっても、著者は、実験室に籠って実験に没頭するタイプでも、理論を組み立てて難問を解決しようとするタイプでもない。野生動物を追うフィールドワークだ。そして追う対象はクマである。
近年、特に今年は、クマの人身事故が相次いでいるが、著者がクマの研究を始めたころは、これほどクマが人里に出てくることはなかったようである。人里どころか山でクマを見つけるのもかなり大変だったようだ。
研究対象としてツキノワグマを選び、食性を調べるために糞を拾うことにしたものの、その糞がなかなか見つからない。山の中で、藪を漕いで歩き回っても見つからない。
猟友会の人やクマに詳しい他の学生などに出没しやすい場所を聞いたり、クマが木の実を食べるときにできるクマ棚(熊が折ったり曲げたりして棚状になった樹木の枝)を教えてもらったりしてようやく初めて糞を見つける。以後、クマの気持ちを想像して探すようになるとおもしろいほど見つかるようになる。

糞を拾うだけではなく、クマの本体を捕獲して発信機をつけ、行動を探るという研究もある。著者が学生の頃(おそらく2000年前後)は今のようにGPSが使用できないので、電波発信機が使われていた。まずドラム缶で作った罠でクマを捕獲し、発信機をつける。ここから生じる電波を捉えてクマの居場所を探るわけだが、巨大なアンテナが必要でしかも精度が低い。アンテナは方向しかわからないため、3ヵ所以上でアンテナを振ってどの辺にいるかあたりをつける。しかし、相手は生き物だ。当然移動するわけである。クマの移動速度はかなり速く、ヒグマの全速力は時速50km以上というから、ツキノワグマもそれほどではないとしても相当なものと思われる。山岳地帯では電波が崖で反射して、実際にはクマがいない方向から電波が飛んできたりする。
近年はGPSが使えるようになり、カメラも高性能化・小型化されてきているため、このあたりは楽にはなったのだろうが、それにしても野生動物を追いかけるのは大変なことである。

クマの糞を調べるとさまざまな植物の種子が出てくる。クマは森の種子散布にも一役買っているようなのだが、さて、それを突き止めるために著者がどうしたか、といった話も興味深い。

本書の発行は2023年。著者の若い頃の話が中心であることもあって、昨今のクマ被害の深刻さと比べると、いささかのどかな印象を受ける。タイトルからして不謹慎に感じる向きもあるかもしれないが、当時としてはあまり知られていない野生動物のフィールドワークにまずは親しみを持ってもらおうという意図だったのではないかと思う。
本書中には「ツキノワグマは生きた人を襲って食べることはまずない」といった記述もあるのだが、今年の被害状況ではそうとも言い切れない感じがする。いずれにしろ、今後、里に出てくるクマが多くなれば、人身事故は増えていくだろう。
今年の漢字が「熊」になったのには少々驚いたが、確かにクマが世を騒がせた年ではあった。
クマは身体能力も高く、力も強い。クマから見たら軽く引っ搔いた程度でも、人が重傷を負うこともある。対する人間側では駆除しようにも猟師の数も減り、高齢化が進んでいる。
クマと人が出会わないように緩衝地帯を設けるのも一案だろうが、一朝一夕では難しいだろう。
12月に入ればクマは冬眠するのではという話もあったが、まだクマの目撃情報は続いている。また、冬眠していったん落ち着くにしても、来年・再来年がどうなるのか予断を許さない状況だろう。
その中で、著者ら、研究者の知見がどのように生かされていくのか、注目していきたいと思う。

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2025年12月15日

Posted by ブクログ

<目次>
第1章  ウンコを集めて卒論を書く
第2章  俺はクマレンジャー
第3章  先生!!研究がしたいです…
第4章  激闘!クマ牧場
第5章  タネをまくクマ
第6章  海外武者修行の旅
第7章  クマ研究最前線
第8章  クマさんのウンコと森を想う

<内容>
ツキノワグマ研究者の半生記。地道な研究の様子が少しコミカルな文章と共に見られる。それにしても著者の執念というか辛抱強さには敬意を表する。そして諦めない心!自然相手の研究は今の日本の風潮とは真逆な方向性なのだが、こうした地道な研究が積み重ねられて、近くはニュースになっているクマ被害対策、遠くは林業や自然保護の流れが作られていくはずだ。第8章は控えめながら、日本の将来について痛いところを突いている。

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2025年03月23日

Posted by ブクログ

タイトルにひかれて手にした本書。

熊のウンコから、熊の生態や行動を分析していく研究者が書いた、今まで経験してきたエピソードをコラムにしたもの。

面白かった。世の中には知らない事がいっぱいですね。熊は、最近住宅地まで来て迷惑な存在としての認識が強かったけど、本書をみて考えを改めた。種子散布者としての役割、ナイス!

フィールドワーク的研究は体力勝負だと身をもって教えてくれた。

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2025年01月18日

Posted by ブクログ

読みやすくて面白い!クマもウンコもなくてはならないもの。生き物が多様に関わり合い、生態系を成していく様はなにが欠けてもダメなんだと改めて認識させられる。私はヒグマの方が興味あるが、ツキノワグマもなかなか面白いなあ〜

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2023年09月15日

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