ビクトル・デル・アルボルのレビュー一覧

  • 終焉の日
    初のスペインミステリー。スペイン近代史の流れの中で起きる事件から、目が離せませんでした。モラ兄弟が悲愴。それに政治家となったあの人、そんなに権力あるものなの?もの悲しげなラストでしたが、もっと堕ちてもいいのでは、とすら思えました。それほどの悪辣さです。
  • 終焉の日
    スペイン、1980年、弁護士マリアは警官セサルが情報屋を暴行した時間で警官を刑務所送りにし、売れっ子弁護士へ。しかしセサルは娘を拉致されていた。大物政治家が裏にいて、暗躍している。マリアはセサルに話を聞きにいくと・・・1941年、フランコ政権下、ファランヘ党幹部の妻イサベラ・モラは息子を連れて夫から...続きを読む
  • 終焉の日
    スペイン現代史にさほど詳しいわけではない。ヘミングウェイや逢坂剛の作品を齧った以外、あまり勉強していないのが実情である。それゆえ、スペインの作家がスペインの現代史を題材に書き上げたネイティブなこの作品には惹かれるものがある。しかも、フランコ没後、独裁制から民主化に移行したこの国にとっては大転換となる...続きを読む
  • 終焉の日
    1980年代のバルセロナが舞台でそこから40年前に起きた殺人、策略、嘘、憎しみ、復讐。家族三代にわたって引き継がれることとなった憎悪。そして始まる復讐。全てはそのためというような人生を生きてきた者。それを止めようとする者。そこには法や社会を超えたそれぞれの正義があって悲しみの連鎖がある。憎しみから始...続きを読む
  • 終焉の日
    ある誘拐事件に関して口を割らないケチな情報屋を執拗なまでに拷問し、命の危険にまで追い込んだ悪徳警官セサルは塀の中に収監されていた。セサルを刑務所送りにしたのは弁護士のマリアだ。フランコ軍事政権下にはびこっていた強欲な警官に違いないと、被害者の弁護を請け負ったマリアは、セサルの非人道的な行いを徹底的に...続きを読む
  • 終焉の日
    とても重たい。漂う空気は常に緊張して喉が渇いて、口臭がする。そういう緊縛した世界で描かれる人の命の重たさがずっしり。主に三家族の不幸が重なり絡まり全ての人達を苦しめ続け、権力という吸い上げ気により、人生を狂わされた人々の物語。暴君の家族ですら、本人以外、むしろ一番悲劇を植え付けられている。それを後世...続きを読む
  • 終焉の日
    スペインを舞台に、フランコの独裁政権下の1940年代に端を発した事件が、時代の流れを伴って民主化直後の1980年代のさらなる事件へとつながっていく。

    スペインの陰鬱な時代背景が大きく作用するストーリー展開のおもしろさはあるものの、復讐をベースとした拷問、監禁、殺人など、全編をおおう残虐さには閉口す...続きを読む
  • 終焉の日
    ミステリとあるがSFのようである。 過去の事件の方がなまなましく、現在の人は過去の亡霊におびやかされているかのように影が薄い。登場人物たちの感情や内面や背景を極限まで廃しており、不思議な読後感。
  • 終焉の日
    病室のテレビは国会が襲撃されたクーデター事件を放送している。一九八一年のスペイン。弁護士のマリアは三十五歳。バルセロナの病院で死にかけている。複数の事件に関わっているらしく病室には監視がついている。事件は一応終っているのだが、逃亡中の容疑者がいて、刑事が時折訪れて尋問めいた話をしていく。マリアは脳腫...続きを読む