藤本一勇のレビュー一覧

  • アデュー エマニュエル・レヴィナスへ

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    デリダは『エクリチュールと差異』でかねてからレヴィナスの倫理思想がユダヤ教、ユダヤ人の共同体を背景として前提にするがゆえにそのうちに閉ざされ、ユダヤ人以外の他者に排他性をもつ危うさをもっていることを警告して来た。デリダは本書でもレヴィナスの思想がシオニズムを超えて他者を歓待しようとする思想であろうとしたことをていねいなレヴィナス読解を通して明らかにしていく。イスラエルが無辜のパレスチナ市民でさえ大量殺戮の対象にすることを厭わない現在の状況だからこそ、改めて読まれるべき本である。

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    2024年12月29日
  • アデュー エマニュエル・レヴィナスへ

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    レヴィナスおもしろい。
    「à Dieu 」
    この言葉は神に開かれているだけでなく、無限の応答責任へと開かれている。名詞も動詞もなしに、沈黙のすぐそばで顔と響きあう、前代未聞の言語の象徴と捉えてよいだろうか。

    主人ではなく人質としての主体、その主体性とは応答責任であり、同一性とは責任逃れに陥らないことを指す。

    フッサールの現象学において卓越した着目点である、異他的なものに対峙して起こる驚愕とそこで立ちはだかる深淵を、倫理と政治を繋ぐ図式に関わる沈黙・裂孔とみなし、その不連続性を組み込む形での歓待の哲学へと我々を導いている。バタイユとかなり似ているがこちらの方がより傷つきからの立ち直りをリアル

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    2024年11月26日
  • アデュー エマニュエル・レヴィナスへ

    Posted by ブクログ

    デリダがレヴィナスの弔辞に送った言葉と、レヴィナスへのオマージュとして行った講演「迎え入れの言葉」が収録されている。

    私は2人の本を読んだことがないので、裏口から入ってしまったような感じがした。

    顔や人質など、見知らぬ言葉があったが、AIに聞いたりして読み進めた。

    レヴィナスの思想は「異質なものを受け入れる」という今の移民問題を引き起こしたような思想が書かれていて、思わず「やば」と口にしてしまったが、そういう実現不可能とも言える思想に葛藤することで倫理が芽生えるというロジックらしい。

    レヴィナスはイスラエルを認めるような発言をしたりして、サイードとかにも批判されたとのこと。

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    2025年12月06日