乙川優三郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現代小説へと舞台をギアアップした氏の短編9編。
何れも人生黄昏期を迎えた男女の来し方行く末を偲びやかな辛口であったり、乾いた文体で・・あたかも俯瞰する視点で見つめている。
あれ、乙川さんって・・直木賞だったよねと思うほど、最後の作品は芥川賞っぽく、それを読む私も・・あれ?(芥川賞系は合わないので)
同じテイストばかりでだれないと言えば嘘になるが、職種、設定の多様さは筆のの冴えを見せる。
「安全地帯」「海の~」は昨今、一番よくありそうな話・・男は自分一人では帳尻を成功へは持って行けない。
「六杯目~」はなかなかでこのラスト、さ―て丁か゚半か
筆者の生活スタイルから「都会の人生」が前面に出てい -
Posted by ブクログ
晩年を迎えた男と女の来し方行く末を美しい文章で、時に甘く、時に辛辣に描く9つの短編。
若さの青さと苦さを描いたサリンジャーの短編集と同じタイトルながら、それとは対照的なのが面白い。
安定を捨てきれず、人生の後半に差し掛かってなおぐずぐずと逡巡する男に対し、あまりに強く身軽な女性たちの姿が印象的。
そんな女性を見て、恥ずかしくない自分でありたいと思う男あり、今更自分を変えられないと現状に踏みとどまる男ありとバラエティに富む9つの物語。
特に好きなのは「闘いは始まっている」と「くちづけを誘うメロディ」。前者は前に進む清々しさを感じ、後者は珍しい設定ながら、しみじみとした味わいがある。
もちろん