著者の平山氏は外資系コンサルティング会社やリクルートなどを経て、2011年、アパレルブランド「ディッキーズ」の日本法人の立ち上げに携わり、社長に就任されます。
市場が急速に変化する中でも飛躍的な増収増益を成し遂げられ、現在はアパレルや小売の経営戦略支援など、幅広くご活躍されています。
本書では『アパレルビジネス最前線で僕が学んだこと』という副題のとおり、 平山さんのご経験を交えながら、経営における大切な考え方を紹介しています。
【絶対に成長するぞ、という強固な意志】
アパレル業界に対する悲観的な見方がある中、平山さんは常に『成長をあきらめない』という強い意志を持って、つねに業績を伸ばし続けられたそうです。
業績不振を環境や景気のせいにして、店舗(すなわち、現場の最前線)で働く従業員を大切にできない経営者が多いことに警鐘を鳴らします。
アパレルには夢があります。成長をあきらめる理由など、まったくありません。経営層でも、店舗のスタッフでも、アパレルに関わるすべての人に、僕はそう伝えたいと思っています。
【当たり前のことの徹底】
リクルート時代からディッキーズの立ち上げに至るまで、平山さんは一貫して当たり前のことを徹底してやり続けたといいます。
・リサーチやデータに頼りすぎず、思いのこもった商品をつくる
・店舗のディスプレイやスタッフの接客の質を高めるため、時間がある限り店舗を訪れる
・ブランドイメージ(ディッキーズ "らしさ" )を追求する
・困難な状況に直面しても、やるべきことを考え抜いて、執念をもって実行する
もちろん大変なこともたくさんありましたが、僕のしてきたことは「当たり前」の連続です。成長をあきらめず、当たり前のことを徹底してやり続けていたら、成果が出て、道が開けたのです。
私がメンターから「基礎は簡単だから基礎なのではなく、大事だから基礎だ」と教わってきたことと平山さんのお話が結びつき、基礎基本の徹底が大きな成果をもたらすと確信を深めることができました。
やるべきひとつひとつのことは、誰もが実行できる小さなこと。
ただ、それらをすべて、愚直に、毎日継続できるかがポイントだと感じています。
私自身、会社員のときも、起業してからも、
・報連相をする
・圧倒的な数の商談をこなす
・勉強会や研修に参加して自分を磨く
などを大切にするように教わりました。
そうした基礎を継続してきたことが、いまの私の土台になっています。
『成功に奇策はいらない。』
経営のあり方について、とても学びの多い貴重な一冊でした。