金田諦應のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
傾聴のコツ
話を「否定せず、遮らず、拒まず」
著:金田 諦應
知的生きかた文庫
読んで、心が温かくなりました。
東日本大震災で人と向き合うことが本書のきっかけとなっています
簡単そうで、非常にむずかしいこと、きちんと人の話を聞くこと、真摯になって人の話を聴くこと、それが、傾聴です。
気になったことは以下です。
■ 傾聴とは共感
多くの人は自分のことを話しがっている。伝えたがっている。そして、話すのがうまい人、伝える人が目立っています。
一方で、「話を聴く人」はあまり目立ちません。
営業マンとはいうのは、立て板に水のごとく商品やサービスをうまくアピールできる人だけがいい成績を残せているわけではありません。
話しベタでもお客様の話をよく聴き、お客様が困っていることをよく理解し、それを解決するような商品やサービスを提供できる人はいい成績を残しています
商品やサービスを説明するだけではなく、お客様の困っていること=ニーズを聴きだす力のある営業マンが求められているわけです。
ニーチェ:結婚生活は長い会話である
あなたが、何か悩み事を抱えていたとします。それを人に聴いてもらうだけで、その悩み事が解決したことはないでしょうか。
少なくとも、人に話したkとで胸のつかえがとれた。何かすっきりした、という経験があるのではないでしょうか。
ナラティブ・アプローチ ナラティブとは物語という意味です
苦しいとき、悲しいときにこそ、ユーモアが必要だからです
ジョークというのは、相手の哀しみや苦しみに共感し、慈しみの心、愛の心が相手と通じ合ったそのとき、その場だけで成立する冗談でありしゃれです
傾聴するときに大切なことは、共感する ことです
あなたのつらい気持ち、いまの話でよくわかったよ
共感するとは、仏教の言葉で、慈悲です。
袖振り合うも多生の縁、多生とは、多くの生命のつながりという意味です。
傾聴の場で一番いけないのは、逃げる、ことです
男性は相手に、理解 を求めるコミュニケーションをしようとするのに対し
女性は相手に 共感 を求めるコミュニケーションをしようとします
■ 傾聴とは相手の物語を受け入れること
傾聴では、相手が語ることに対し、まずは、全肯定します
自分のこれまでの価値観をいったん脇におくこと
傾聴の場は、善悪を判断するとところではありません
あるがままにうけとめて、共感してあげる場です
2つとして同じ現場はありません、人それぞれに物語があります。
傾聴において、沈黙している間も、言葉でない何かで会話をしています。傾聴には沈黙の時間も必要なのです
黙って聴ける
こちらから、答えをださない
傾聴とは取り調べではない
隠していることは、本人が後ろめたいと感じていることであったり、ごく親しい人への複雑な思いであったりします
これは訊いていると、ピンとくることがあります。
人のなやみというのは、近しい人との、愛憎、が核心にあることが多い
相手の言葉をそのままに受け取ってはいけない時、それは言葉に別の意味が隠されている時です
人には本音と建て前とがあります
■ 傾聴とは身近な人を幸せにすること
あなたの近くに、自分の話をきいてもらいたい人がいる
私はあなたのことを気にかけているよ、と伝える
傾聴に効率を持ち込まない
相手を変えようとしない、変えられない
自分の価値観や思い込み、筋書きを捨てること、そうした執着を解き放っていくことを、仏教用語で、法下着(ほうげちゃく)といいます
会話の中に、「でも」がでたら注意する
忍耐とはゆるしあうこと
「あとでね」は禁物
あせって、結果、をもとめない
この人と一緒に悩もう、と腹をくくって寄り添っていく、それが大切だと思うんです
傾聴では、あくまでも相手が主役
■ 傾聴とは他人との境界線をなくすこと
聴ける人になるための心掛け
あらゆる事象を知ろうとする姿勢があるかどうかが大切なんです
世の中のたくさんのことを知る
頑張って、より、頑張ろう、ともに頑張る、がいい
仏教に、施無畏(せむい)という言葉があります。畏れることなし、施すという意味です。安心感を与えるということです。
何かはげましてほしいんだな、と感じたときには、大丈夫、と言っていいと思います
傾聴とは、伴走はするけど、背負わないということ
■ 傾聴とは、自分をもっとよく知ること
傾聴と続けていると、私は十分話したので、今度はあなたの話も聴かせて、というサインが相手から出てくるときがあります。
そうなったら、こちら側の話をしてもいいときです。
聴けない時は無理をしない
自分の仕事にしてしまったらそりゃ疲れると思います。
でもねこれはね、私が神様(天)から与えらえた使命ですから、疲れることなんかないんですよ。 日野原重明
結局、傾聴というのは、慈悲の心です。
目次
はじめに
1章 傾聴とは、相手の話に「共感」すること
2章 傾聴とは、相手の「物語」を受け入れること
3章 傾聴とは、「身近な人」を幸せにすること
4章 傾聴とは、他人との「境界線」をなくすこと
5章 傾聴とは、「自分」をもっとよく知ること
おわりに
ISBN:9784837985709
出版社:三笠書房
判型:文庫
ページ数:216ページ
定価:770円(本体)
発売日:2019年01月10日第1刷
発売日:2019年07月20日第4刷 -
Posted by ブクログ
課長に借りた1冊
聴くことの大切さをしみじみ感じた。
今日はちょうど3/11
あの時大切だ、と気づいたものを
いま、忘れてないだろうか。
人の話に耳を傾けること、
愛する人に寄り添うこと、
そうだよね、と共感する気持ち、
何にもないと、すぐに忘れてしまう。
しっかりと、聴くには
自分のことをよく知ること
自分の哲学をもつこと、
それは、自己主張することとも違う。
ちゃんと自分を持った上で、人に寄り添う。
「人を引きつける磁場になりたい」と
被災地の傾聴ボランティアをはじめたという。
磁場、いい言葉だな。
シスターが被災地を訪れたときの話が
とくに印象に残った。
子供をなくしたお母さんがシスターと目があった瞬間
シスターに抱きついて泣き出したという。
「悲しみを引き寄せる力」は
受け止める人の心の広さだと。
一言も、話をしていないのに
この人は、聴いてくれる人だ、包み込んでくれる人だ
と、相手が感じる。
これってすごい。器の広さ、深さ、あったかさ
なんだろうな。
傾聴、ただ聴くだけ、
ただ、ただ聴くだけ。
それできるようになりたいものだ。 -
Posted by ブクログ
この本を読む前のわたしは、傾聴はスキルの一つだと勘違いしていました。傾聴にスキルだけでは成り立ちません。付け焼き刃的な上っ面の笑顔優しさは、悩んでいる人からはすぐに見破られてしまいます。耳だけでなく全身で聴くこと、相手の話を受け入れて寄り添うこと、これが傾聴です。大切なのは「慈悲の心」相手に興味を持ち、心から向き合って相手の話を聞くことです。そういった考えを改めて勉強させていただいた一冊でした。
蛇足ですが。震災後に東北に配属になり、仕事をしています。穏やかな日常と穏やかな人々に囲まれていますが、すごく苦しい思いをしている方がたくさんいるのかもしれないと考え直しました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者の曹洞宗住職の金田諦應氏は、被災地で傾聴ボランティア「カフェ・デ・モンク」をはじめられた方。
熊本地震後も、避難所や仮設住宅で開催されていてなじみがあり、別のボランティア団体の方からのお勧めで読んでみた。
ちなみに熊本でのカフェ・デ・モンク、主催は九州臨床宗教師会というところだが、住民さんたちは「ケーキ屋さん」と呼んでいた。
いつもおいしいケーキを持ってきて下さり、早く行って好きなケーキを選びたいと、住民さんたちはオープン30分前には集会所の前で待っていた。
たかだかケーキ1つなんだけど、いつも持っていらっしゃるのは県内の人気がある有名店のもので、郊外の仮設に住むご年配の方が簡単に買いに行けるものではないので、それはそれは喜ばれていた。
傾聴ボランティアはいろいろな方がいらっしゃっていたが、やはり宗教関係者がされているところは人気があった。
決して宗教色は出さないように、という規定があるので勧誘などはまずない。
しかし、素人がボランティアでやっているところとはあきらかに違いがあり、人の話を聞くことにとても長けていた。
本の中で著者はキリスト教の祈りについて触れている。
祈りとはこうなったらいいなという願いだと思っている人が多いと思うが、「神の声」を聴くことで、神の言葉とは「出来事」であり、今、目の前にいる相手を心から大事にする姿勢が大切だと言っている。
マザー・テレサは「自分もコルカタに行って貧しい人を救いたい」という人に「コルカタはあなたの周りにもある」と言って諭したそうだが、すぐそばの人を大切に思えるには、人としての器の大きさが重要ではないだろうか。
そして著者は、傾聴は結果を求めるものではなく、「目の前のこの人といい関係を結びたい」という思いだけでいいという。
傾聴の極意は「慈悲の心」、相手を心から大切にする気持ちがあれば、もっと生きやすい世の中になるのではと思う。