森妙子のレビュー一覧
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なかなか良い本でした。
この本を読んで得られるものは
・社会科学理論(下に書いた)に基づいた着眼点
・異文化理解の重要性に気が付く
・日本文化の理解(というか再認識)
あたりだと思うが、
この辺の学習効率がおそらく今まで読んだ本の中で最も高い本だった。
色々と語りたいのだが、
まず著者がスゴイ(笑)。
カバー裏の著者紹介を読むと、
シカゴ大学の社会学教授で、コロンビアやUCLAの助教授経験もあり。そして卒業学部が東大の理学部数学科(!?)からシカゴ大の社会学Ph.D。
うむ。
んで、81~99年の間で社会科学分野で最も学術論文が引用された学者250人のうちの一人に選ばれたそう。
ほう。
そ -
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ネタバレタイトルの通り、ダイバーシティについてファンタジーと大学での議論との二部構成から深い考察と示唆を与えてくれる一冊。
様々な社会科学や論理学の内容がちりばめられていて、なおおもしろい。
名著である。
<メモ>
・人は自分がひとりぼっちになることを恐れて、自分のことしか考えなくなるから、かえってひとりぼっちになる。
・囚人のジレンマにおいての戦略の一つ「寛容さの合理性」。裏切りを繰り返し許すことが、相手に罪の意識を起こさせるもの。
・アメリカの大学のリベラルアートでは、思考の自由と批評的精神の涵養が大切。
・日本のモラルは恩返し。アメリカは契約の順守?
・アメリカでは頼み込むような形ではなく、一人 -
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ネタバレ「6つボタンのミナとカズの魔法使い」についてのレヴューです
ミナという生い立ちに欠落をかかえるがゆえに、孤独を思春期から抱える少女の短めのビルドゥングロマン(実際には童話に近い)。
僕自身、ゲイだったので思春期に似たような悩み・孤独を感じたことがあったので、けっこう感情移入しながら読みました。
なぜ自分(だけ)は他の人と違うのか?そしてその違いをネガティブなものとされてしまうのか?
だんだん、僕個人もコミュニケーションにおけるそんな感覚がうざくて、コミュニケーション自体から撤退するという作戦をとるようになっていました。孤独というのは本当に当時楽だった。ただし、楽しかった訳じゃない。ミナの -
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「囚人のジレンマ」だけは知っていた
沢山の概念が散りばめられているのは解った
それは「社会科学的」概念らしい
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二部構成の本で、どちらも「物語」を通じて
抽象的な概念を具体的に想像できるように綴られています。
第一部は「六つボタンのミナ」
皆が七つのボタンを持つ世界で、六つしかボタンを持たないミナの物語です。
童話のような物語に散りばめられているのは社会科学的概念。
そのまま物語としても楽しめるため、大人でなくとも楽しめます。
第二部は「ライオンと鼠」
物語を使い、教育現場というシチュエーションのも -
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21/6/17 90
多様な人々の達成能力の開発を進めるために経済的発展が必要なのであって、経済発展のために人材活用があるのではないと言う思想>アマルティア・セン(ノーベル経済学者)
日本では会議などの意思決定の場でも「空気を読んで」行動する人が多い。自分が少数派になって、孤立することを嫌がるからだ。でも、そうやって「空気を読んで」行動すると、「空気に合う」情報は出すが「空気に合わない」情報は出さないと言うことになりかねない。つまり、会議での合意は、偏った情報だけで達成されることになる。または、会議の最初のほうで誰が何を言ったかに基づいて皆が「空気を推測する」結果、どういうふうに議論が始ま -
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●No.26
〜オリジナル寓話「カズの魔法使いと六つボタンのミナ」とイソップ「ライオンと鼠」を社会学教育の題材として語る。
p.216〜217 【「どの様に達成される調和が良い調和なのか」という「調和形成」(合意形成)の質の問題を考察】
★人々の自由はそれ自体に価値があるというだけではなく、一般にものごとの合理的な解決を生み出す可能性を増大させる。
〜また「ダイバーシティ」(多様性)は、みなが協力して何かを作り上げようとするとき、豊かな創造を生み、
また多くの人々により平等な社会的機会を与えることができる。
まして、異文化交流の必要な現代