M・R・ジェイムズのレビュー一覧
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英国生まれの古文書学者で、聖書学者で、そして怪談作家という異色の経歴を持つ作家、M.R.ジェイムズ。元々作家志望ではありませんでしたが、生来の怪談好きが高じて創作怪談を自作しては茶話会でそれを朗読し披露していました。
処女作である怪談集も、本来の目的は親友の絵を世に売り出すことだったのですが、その出来が評判を呼び、怪談作家としての地位が確立されたのです。
本書は処女作である『好古家の怪談集』の南條竹則氏による新訳本です。ラヴクラフトの作風に影響を与えたとされるのも尤もで、所々で後のクトゥルフ神話を思わせる表現が出てきます。
ブラックウッド、マッケンとともに近代イギリス怪奇小説の三巨匠と -
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原著は1904年刊行の『考古家の怪談集』で、M・R・ジェイムズの最初の小説集。
20世紀初頭に出現したイギリスの怪奇小説の御三家として、アーサー・マッケン(1863-1947)、アルジャーノン・ブラックウッド(1869-1953)、そしてこのモンタギュー・ローズ・ジェイムズ(1862-1936)が並び称されており、アメリカのラヴクラフトより少し前の世代で、古典的な怪奇小説の作り手たちである。もっとももっと前の世代の作家としては、アイルランドのレ・ファニュ(1814-1873)という先達がいる。
これらの有名な「古典的」怪奇小説作家の本を私は高校生の頃幾らか読んだのだが、その中でこのM・R -
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・梅雨明け前ではあるが夏である。夏は怪談がふさはしいといふのは今も昔も、そして出版界も変はらないやうで、今年もまた怪談が出た。たぶんこれはほんの序の口であらうと思ふが、それがM.R.ジェイムズであつた。いきなりの大御所の登場である。それはM.R.ジェイムズ「消えた心臓/マグヌス伯爵」(光文社古典新訳文庫)であつた。本書の原題は”GHOST STORIES OF AN ANTIQUARY”といふ。「好古家の怪談集」と訳されてゐるジェイムズの第一短編集である。表題作2作を中心に全8作からなる。 いづれも古き良き時代の怪談集といふにふさはしい。しかもそれがゴシック的な要素をまとつてゐるたりする。そし