〇本当か嘘かはわからないが、3億円事件にある種の説得力を持つ
作者の白田は、学生の頃、実は「3億円事件」を首謀し実行した、という息子へ告白をする。白田の私小説的に物語は展開される。
白田は、ぼんやりと大学時代を過ごしていたが、ひょんなことから学生運動の集会に行く。そこで出会った経済理論研究会と、その会長・三神に影響を受けで会に入るも、失望して脱退。
同時期に、友人の省吾とともに大きいことをやろうと現金輸送車強奪計画をしようと考える。
一方、省吾は共通の友人である京子に告白をし、白田は三神と付き合うことになる。
白田は省吾とともに様々な準備を進めるが、白田はある人物を利用しようと考え…
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もちろん、奥付に「この作品は、フィクションです。」と書いてあるので、事実ではないのだろう。しかし、史実に基づいて書かれたフィクションだとしても、なんだか内容にリアリティがある。
…小説なら当然だろうか?作家としてリアリティを持つのは当然なのか。
という私の迷いもありつつ、本作で記されるこの事件を起こした「動機」には説得力がある。一見普通の動機にも見えるが、ありがちな動機でもない。
3億円という、こんなに大それた金額をその動機で本当にやるのか!?ということを思わされる。しかし、当の実行した本人は最も重要な動機としている。
しかし人間の最も突き動かされるものではないか、とも思う。
3億円事件は、未解決のまま時効を迎えた。大胆な行動のわりに警察の網に引っかからないこの事件は、マスコミの報道も過熱したが結局解決されず、その謎は、折に触れてテレビドラマ化をはじめ、小説・映画化されている。複数の考察もある中、その時期(2018年)にこの本が出版されたのには何か理由があるのか。
…もしかしたら、冒頭の息子への告白は、本当になされたのかもしれない。
とすれば可能なら、捜査に多くの人手やお金が投じられたことを考えると、事件解決されて真実が明るみにならない状態は少しもやもやしますが、(不適切な表現かもしれないが)一種のロマンを感じるから多くのフィクションでの映像化が行われるのだろう。