アンナ・スメイルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
記憶を無くした世界に響く鐘の音。
それは世界の秘密を閉ざす魔の旋律...
装丁に惹かれコレクションとして購入。
これが幻想文学。
ファンタジー とでは表しきれない、
淡い言葉のベールで包み込まれるような
どこか不思議なジャンル。
小川洋子さんの 猫を抱いて像と歩く と似た雰囲気。
終始ふわふわふわ...
きちんと理解出来ていなくても読み進めてしまうのは、
道筋の分からない地下トンネルを、
僅かな音を頼りに突き進んでいくのと似た感覚だろうか。
読みかけの本だからという使命感ではなく、
本の中になにか大切な忘れ物があるような...
上手に言い表せられないが、そんな気持ちにさせられる。
ストー -
Posted by ブクログ
これはすごく評価が分かれそうな大人のファンタジーですね。
著者さんが元々詩人だけあって、文章がとても詩的です。
言葉をもたないことが、思考をやめたらどうなるのか、警鐘ともとれる物語。
この先のサイモンとリューシャンを想うと、労いたくもありほんとうにこれでよかった?と問いたくもなり。
でもきっと二人はこれからも共に生きていくのだろうな。失った多くのものの記憶を携えてちゃんと生きていってほしいね。
しかし、この音で地図を描くとか、会話をするとか、すごい発想だなぁ。
万人に受け入れられることをたぶん求めていないようなそんな潔さを感じます。
君にこれを理解できるか?と問われているような。
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Posted by ブクログ
旅の土産にその街のランドマークになる建築をかたどった小さなモニュメントを買って帰ることにしている。ロンドンで買ったそれはロンドン塔をかたどったもので、ビーフイーターや砲門に混じって、ちゃんと大鴉(レイヴン)もいた。言い伝えには「レイヴンがいなくなるとロンドン塔が崩れ、ロンドン塔を失った英国が滅びる」とある。それで、今でも塔内には一定数のレイヴンが飼育されている。飛んでいかないように羽先が切られているという。
この物語は、その言い伝えをもとに書かれている。舞台は言うまでもなくロンドンとその近郊。時代は定かではないが、荷馬車が交通手段になってはいても地下には鉄道の跡もあるし、電話線も敷かれている