フリンベリーのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
わたしの中には常に燃料がある。その燃料に火がつき、今のわたしは炎に包まれている。
現在形を多用した一人称で綴られる文章(「あなたに不利な証拠として」を思い出した)が素晴らしい。
主人公がひたすら犯人を探し続けるシンプルなストーリーであり、容疑者とみなした者に対する主人公の行動にも些か常軌を逸したところがあるのだが、冷たくストイックな文章から伝わる姉への想いが切なく、物語から気持ちが離れない。
本格ミステリーではないため、最後に明らかになる犯人は事前に推理不可能だが、不満は残らない。犯人も犯行に至る経緯も、それまでの姉の描写から十分納得がいくものであるからだ。
映像の力だけで魅せる映画( -
Posted by ブクログ
ネタバレ邦題がセンスある。
これ、何で評価低いんだろうな。私は結構面白かった。
私はミステリに明るくないので、厳密に言えば違うのかも知れないけど…俗に言う"信頼できない語り手"ってこういうことかな。
何でそう思ったかと言うと、主人公のノーラの感情の起伏が激しいことや、強迫観念が強すぎて、何が本当かわからないんだよ。
ジャンルとしてはミステリだと思うんだけど、謎解きがメインじゃない。
客観的状況とか事実とか殆ど書かれてないし、メインはノーラが見聞きしたことや、心象や思考だと思う。
読んでいるうちに物語に引っ張られて、ざわざわした気持ちになってくるし、段々とノーラが薄ら怖く感じ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「信頼できない語り手」もののミステリ、というよりは犯罪被害者の精神状態を克明に描くことに重点が置かれている。主人公であるノーラの語りは要領を得ないし、突発的な奇行に走ったり過剰に神経を尖らせたり、普通のミステリ読者なら「オイオイこいつ絶対アクロイドパターンでしょ知ってる」となってしまうところである。しかし実際、レイチェルを殺したのは別の人間であり、ノーラは彼女なりに最善を尽くそうとしていたのだ。愛憎混ざった感情を抱いていた姉を唐突に奪われ、自分が過去にすべきだったことも、これからするべきことも見失ってしまったノーラ。そんな彼女の喪失感を描く小説として、「レイチェルが死んでから」という邦題はかな