ポール・ブルームのレビュー一覧

  • 反共感論 社会はいか判断を誤るか

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    共感はネガティブな効果も持つということが丁寧に説明されている。私自身の意見と合致することもあり、思考がクリアになった。多くの人に読まれてほしい。個人的に著者の語り口が好み。
    (学問の場では、)「道徳的情動の擁護者でも、暗黙のうちに理性に優先権を付与している」ので、理性が情動に優先するのは自明とのこと、学問の場はなるほど生きやすそうだ。一般人の会話では理性を用いその優先を説くと相手方から理性が返ってくるのは稀だと思う。情動で押し返され拒絶されるのが常だ。日常生活における理性の地位をより高めるにはどうしたらよいだろうか。

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    2023年05月13日
  • 反共感論 社会はいか判断を誤るか

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    相手の感情をミラーリングした情動的共感。
    一般に「共感」というものは絶対的に善であるとされているが、
    本書では冒頭にあげた「情動的共感」が、ある局面、具体的には道徳的判断などにおいては悪しき作用をもたらすというショッキングな主張が展開される。

    目の前で困っている子供と、遠くアフリカで生死さえ確かではない何万人もの子供。
    論理的・倫理的にはどちらに手を差し伸べるべきか。
    感情・共感をもってするとどのように判断するだほうか。
    さらに突き詰め、共感が破滅的な悲劇をもたらすこともある。

    また、不幸は共感を欠くところからのみ生まれるのか。
    サイコパスは共感を欠く点が有害なのか。
    共感以外の方法で、道

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    2018年11月08日
  • 反共感論 社会はいか判断を誤るか

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    非常に重要。特にSNSで暴れたい人々は読んでおくべきだと思う。



    訳者の高橋先生はいつも偉い。他にも、この本で論じられてるような最近の主要な論者の翻訳もいろんな先生によってけっこうなされていて、ほんとうによい時代になったねえ。

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    2020年06月15日
  • 反共感論 社会はいか判断を誤るか

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    最初の部分はたしかに反共感論ではあったが、日本語の訳であり、情感に流されないという反感情論であったという気がする。

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    2018年12月10日
  • 反共感論 社会はいか判断を誤るか

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    刺激的な論考。久しぶりに夜更かしして読み続けた。それぐらい脳を活性化させる内容。
    共感は道徳性の中心的要素ではない。それどころか複雑な現実社会においては、共感がネガテイブに作用することが多い。ブルームの議論はなかなか周到で、いくつもの反論を想定しつつ、それに応えて自己の主張を裏付けていく。
    共感のネガティブな側面として、スポットライト効果、数的感覚の欠如はお馴染みだが、
    「他者の感情を自分も感じること」で他者の苦痛にとらわれてしまい、長期的な援助が困難になることや、収容所の隣に住む人が処刑される囚人を助けるのではなく、どこか遠くで行われることを望む例などは興味深い。
    また、共感は怒りなどの情動

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    2018年05月04日
  • 反共感論 社会はいか判断を誤るか

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    共感に多くを委ねすぎるなという論考。突き詰めるとシンパシーとエンパシーの違いのような点に行き着くのだろうか。
    共感の捉え方、理性や道徳、システム2と呼んでいるものとの関係性、個人の中での重きの置き方など興味深い点が多かった。

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    2022年01月08日
  • 反共感論 社会はいか判断を誤るか

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    情緒的な共感に基づいて意思決定や行動を起こすことは、しばしば合理的、理性的判断に劣る、ということを、個人の身の回りの意思決定から、公共政策まで幅広くカバーしている。共感によって戦争や暴力が道徳的に正当化される側面など、逆説的な論点も提示。学問的あるいは実証的なエビデンスにもとづく意思決定論の立場に重きを置く最近の潮流を支持するものになりそう。

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    2021年02月10日
  • 反共感論 社会はいか判断を誤るか

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    共感は以下の2つに分けられる。

    1.「情動的共感」(相手が感じていることを自分も感じる)
    2.「認知的共感」(相手が感じていることを理解する)

    1は、少数を救うために多くが死ぬような、結果をもたらすことが多い。

    グローバリゼーション、ボーダレス、ジェンダレスな社会においては、2での行動や判断を増やすべき、だと。確かに、村社会では全員見えるので1で良かったけど、より多くを考えると2が重要だよなぁと思う。

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    2019年04月03日
  • 反共感論 社会はいか判断を誤るか

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    共感(Empathy)と言えば一般的には美徳の一つであるが、"Against Empathy" という扇情的なタイトルで、共感が持つ負の側面を紹介する。しかし、実際には共感を情動的共感("Think, First and Slow" の Kahneman 言うところのシステム1に基づく)と認知的共感(システム2に基づく)に区別した上で、情動的共感は誤りやすいと言っているだけなので、要はシステム1は錯覚し易いという話の部分集合を述べているに過ぎない。

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    2019年02月21日