相手の感情をミラーリングした情動的共感。
一般に「共感」というものは絶対的に善であるとされているが、
本書では冒頭にあげた「情動的共感」が、ある局面、具体的には道徳的判断などにおいては悪しき作用をもたらすというショッキングな主張が展開される。
目の前で困っている子供と、遠くアフリカで生死さえ確かで
...続きを読むはない何万人もの子供。
論理的・倫理的にはどちらに手を差し伸べるべきか。
感情・共感をもってするとどのように判断するだほうか。
さらに突き詰め、共感が破滅的な悲劇をもたらすこともある。
また、不幸は共感を欠くところからのみ生まれるのか。
サイコパスは共感を欠く点が有害なのか。
共感以外の方法で、道徳的な判断をできるのではないか。
様々な角度から共感に対しての反駁が試され、その全てに「共感」するわけではないが
腹落ちする箇所が多々あった。
共感至上主義とSNSの組合せがおかしな事態を招いていることは、我々も日々目撃している。
こういった常識を疑い再考を促す書籍は人生に必要だ。