シャウル・シンゲルのレビュー一覧
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イスラエルについて、宗教的、歴史的位置づけくらいしか知らなかったが、その特殊性故に、ITをはじめとするベンチャーが多数輩出されることにつながったことがよく理解できた。
また、わずか半世紀あまりの間に世界各地から移民してきたユダヤ系の人々からなる社会、今も世界中に分散するユダヤ系の人々とつながっている民族の連携、周辺各国から頻繁に軍事的攻撃を受けている人口わずか700万人の国家というものを、内部から現実として描いていて、とても興味深かった。
2年間の徴兵制があり、その後も予備役として毎年一定期間兵役に戻るシステムのために、業界・社会階層を超えた人脈や連帯感が生まれている。
国土も人口も少なく -
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イスラエルにおける豊富なベンチャー起業の背景を解説した本。国民徴兵制の中で生まれる濃い人間関係、エリート部隊の存在。上下関係なく議論を行い、失敗を厭わない国民性。国が中心となったヨズマ基金によるベンチャーキャピタル。帰ってくるユダヤ人達。その中に占める技術者の比率の高さなど。また、異なるテクノロジーをマッシュアップする活発な動きなど、いわゆるオープンイノベーションを実現している点は感銘を受けた。
特に徴兵制を採用しているイスラエル、シンガポール、韓国の3国を比較しているくだりは成る程と思わせる。また、イスラエルの今後についても地政学的リスク、頭脳流出の可能性など、冷徹に整理している。
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Posted by ブクログ
今どきのビジ本っぽいタイトルになっているけれど、その内容は『イスラエルの作り方』とも言えるもの。
なぜあのような小国がこれほどのプレゼンスを持っているのかを、具体例を挙げながら(やや冗長気味に)解き明かしている。ポイントはいくつもあるけれど、中でも重要なのは軍の存在。そこで共に時間を過ごした横のつながりが大きくものを言っている。さらに、軍を持っている他の国と大きく違うのは、上下関係の厳しさに縁がないということ。規律を守りつつ、自己主張はする。小国ならではの国家戦略は、こんなところにも垣間見える。
では、軍を持たない日本は見習うべき点はないのかというと、決してそんなことはない。一人が何役もこなす -
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イスラエルで自由になる財産は人的資本以外に何もない。通用するのは開拓者だけ。つまり何もない状況に立ち向かい、必死に仕事をする開拓者たちだけだ。理想主義であり、知識人。
イスラエルにおけるハイテクは農業からはじまる。器物は農業生産活動の母体になり、農民は科学者になった。耕作地が少なく、水不足という事情からイスラエルは農業先進国になった。
規模の大きさから寮の優位性が生まれるのに対して、規模が小さいからこそ質の面に集中できるチャンスがある。
専門家とは例外なく、過去の事実を語る専門家だ。これから起こる事象を語れる専門家は一人もいない。これから生まれる未来についての専門家になるためには、経験に取 -
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ネタバレ・どんな軍隊も臨機応変の価値判断を要求するものです。けれども、そうしたことばだけでは何もわかりません。組織構造に目を向けなければなりません。…アメリカ陸軍における上級史観と先頭に従事する軍人の割合は一対五であるのに対して、IDF(イスラエル国防軍)では一対九になっている。
・NASAはそれ以前にも、何回か発泡剤の剥離を目撃していた。その剥離が過去、問題の発生につながらなかったため、その整備は定期的作業として実施する、というのが上層部の決めたルールだった。したがって、それ以上の議論は全く必要とされなかった。
→コロンビア号の爆発について。スペースシャトルを使いまわすために、作業をルーチン化した -
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日本人にとっては政情不安定な、小国というイメージが強いイスラエル。
人口710万人、四国ほどの国土の大半は砂漠、というこの国は、独創的な技術を持ったベンチャー企業が次々生まれる「起業国家」という側面を持つ。
シスコ、マイクロソフト、グーグルといった企業がイノベーションの中心拠点をイスラエルに置いている事や、たとえ戦火の中であってもインテルのCPUの大半がイスラエルで製造されていることなど、「起業国家」イスラエルの姿は日本人にとっては知らないことが多く、大変刺激的な内容だった。
また、背景として語られるイスラエルの文化や社会制度も日本人からみるととても新鮮。
「予備役」という一生続く徴兵制が、業 -
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