プラド夏樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
各国の首脳によって対応や姿勢が全く違うのが興味深い。フランスのマクロン大統領は信頼を失った一方で、ドイツのメルケル首相はむしろ支持率を取り戻した。
他国の事例と比べると、いかに日本政府への信頼感がないかが身に染みてわかる。ドイツやベルギーは感染拡大の押さえ込みに成功していない(ドイツなんて何回もロックダウンしてるし)にもかかわらず、国民が現政権を支持しているのは、リーダーが優れたリーダーシップを発揮できているからだろう。
quote:ベルギー首相の会見
日夜この危機の最前線にいる方々のご苦労に感嘆しています。例えば医療関係者のみなさんの。でも彼らだけではないのも知っています。みんなで、連帯 -
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筆者の実際の経験と、
歴史、文化的な考察のブレンドが
絶妙。考えるヒント多数。
フランスの性教育、
プランニング・ファミリアルの存在、
中高の保健室にコンドームがさりげなく
置かれ、モーニングアフターピルも
もらえる。
性的他者の感受性を想像する授業。
フランスでも女性の進出は遅かった。
キリスト教の影響。
ガラントリーの存在、
ベーズマンのルール
2015フランス最高裁判決
不倫は特にモラルに反するとは言えないから、
噂を立てられても名誉毀損にならない
キリスト教の禁欲とリベルタン。
シャトレ侯爵夫人とヴォルテール。
モンテスキュー ペルシア人の手紙
自分の妻を本気で愛したりする -
Posted by ブクログ
夫婦別姓について、英国、フランス、ドイツ、ベルギー、米国、中国、韓国の状況をその土地で暮らす女性が作成した記事をまとめた本。
こうなってくると、スペイン・ポルトガルや中南米の国々、インドやアフリカ、ロシアも知りたくなる。
第II部で夫婦別姓を賛成する司法・国会・経済界のメンバーの座談会があるが、別姓寄りにバイアスがかかった議論に思った。
とは言え、本書の通りプラグマティック(実務的)に考えるなら、一人に1つの姓が良く、旧姓の通称使用は無駄。結婚による改姓手続きも無駄。
DX(デジタルトランスフォーメーション)だ、日本人の労働生産性向上だと言うなら、誕生時の姓を使い続ける社会的な効率化を前提に -
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Posted by ブクログ
私は夫婦別姓賛成派だけど、日本は家族の絆が失われるという抽象的理由でなかなか別姓が進まない。
海外で別姓を導入している国々の実情をこの本で学ぶ事で、夫婦別姓の問題点や必要性を理解する事ができ、大変勉強になった。
まずやはり別姓を導入しても家族の絆は失われる事はないと実感。
ただ問題点としては子供の姓をどうするか。
父にするか母にするか。連結姓という制度を導入するのもありだとは思うけど、代が経る毎にどんどん連結していけば姓が長くなってしまう問題が生じてくる。
また子供と姓が違う場合に、親子だと証明するのが難しい事があるので、そういう場合の対応をどうするかというところが問題かな。
後は制度が導入さ -
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歴史や宗教・政治体制、教育・文化的背景などから、フランス人の性に対する捉え方を多角的に読み解くという内容。
著者の息子さんとの性トピックに関するエピソードが掴みになっているのも、新米ママの私としては興味が湧きやすかった。
宗教観による性欲の罪意識、騎士道恋愛による三角関係、奔放な宮廷恋愛…歴史の流れも踏まえられており、おもしろかった。
フランス人の性には、自由=やりたい放題 ではなく、自由=他者への責任や連帯の義務を伴う という考えを土台にした民主主義的な枠組みがあるように思える(引用p.173)
科学的合理性と人間の理性や非合理性について述べている部分は、性というテーマを越えて著者の -
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フランス人が「性」をどのように捉えているか、その歴史的背景とともに明らかにする。
「「#MeToo」後のフランスでは「女性も自分が望むセックスをイメージして、相手にはっきり伝えよう。自分の欲望を表明できるようになれば、ノーもはっきり言えるようになる」と盛んに言われるようになった」(本書終章より)
フランスでは、早期(8歳ころ)に性教育を始めることもあってか、いわゆる「性のタブー」のようなものはあまり無いようである。
性について考える・教える機会というのは、幸福に生きていく上で必要不可欠であるはずである。しかし、日本のような中途半端な性教育では、そのような機会が適切に与えられない。更には -
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ネタバレ友人とお薦め本を交換した結果、巡り合った一冊。
とても読みやすい文体で、サラッと読むことができた。
特に序盤は、カルチャー・ショックを感じることのできるキャッチーな事例が多く、飽きない内容だった。
そんな本書は、二つの捉え方から全く別の評価をすることができる。
一つは、異文化理解という大きい括りの一例というたてつけで、フランスという地域/性というテーマをピックアップした本として。
もう一つは、タイトルから最初にイメージされる通り、フランスの視点からジェンダー論に切り込む本として。
前者の場合はとても高く評価できる一方、後者の場合は賛同しかねる部分もそこそこあった。
最初に述べた通り、序盤は -
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背景にある宗教の説明もあり、でもジェンダー論というほど堅苦しくなく、そして白黒で評価できない、良く言えばポエティックなフランスの性に関する考え方がなんとなくわかってよかった。(実際行ってみないとなんともいえないけど)
近年ポリティカルコレクトネスが声高に叫ばれる中で、女性として不快に感じることが減ったことも事実、逆に窮屈に感じることが増えたことも事実(あ、こういう発言って今はしちゃダメなんだよね?ヘラヘラ系の態度もどうかと思うし)。ハッシュタグ的な大衆ムーヴメントに飲まれるのではなく、自分自身がどう在りたいかを考え選択していきたい。(#BalanceTonPorc(←Emily in Pari -
Posted by ブクログ
2010年代に、夫婦別姓が選択できない国は日本だけになった。
2015年最高裁で合憲判断が下された。
その後もさまざまな論点で訴訟が提起されるが、家裁申し立ては棄却、地裁提訴も棄却となり、司法による解決はなされていない。
与党自民党の中でも、緩やかな別姓を認容する意見が出ている。
各新聞社等の調査によっても、やりたい人はやればいい、という意見があるにも関わらず、司法、立法の場では救われていないのが現状である。
一部強権派が家族の繋がりだとか日本の伝統ということを前面に出し、反対している。
本書はイギリス、フランス、ドイツ、ベルギー、アメリカ、中国、韓国の7カ国に居住しているジャーナリストた -
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“日本では若い女性、また「物申さない」 控えめな女性が好まれていると、里帰りするたびに実感する。科学番組でもドイツなら女性の科学者や司会者がばりばり発言しており、日本のように若い女性が年配男性の解説に「えー、そうなんですか」と相槌を打つだけという光景はほとんど見ない。そのような光景があちこちで繰り返されることで、それが当然という刷り込み が社会全体に広まる。”(p.121)
“たしかに、「なんでも二択」のような設定は、今の社会には合わないだろう。「姓」にも「性」にも、もっと自由があっていい。現実が牽引する自由に、法制度が追いつけていない。”(p.264) -
Posted by ブクログ
2021年の衆議院選挙のときに争点のひとつとなった「選択的夫婦別姓」。結果としては、すぐに夫婦別姓を推進するほどの票差ではなく、まだまだ道のりは遠いなと感じました。
私が20代のころは「あんたが結婚するころには夫婦別姓が選べるようになってる」と言われたのですが、結婚もしなかったけど、夫婦別姓も実現してないですね。
当時の同級生たちは次々と結婚して名前が変わり、すでに結婚後の苗字のほうが長くなっている人も。彼女たちに葛藤があったのかなかったのかは知りませんが、年賀状とかくるたびに旧姓も書いてくれないと誰が誰だかすぐにはわかんないなと思っておりました。
そんななかで一人、イギリス人と結