山寺香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
祖父母を殺した少年事件の話。記憶にあるような気がしていたけど、たぶん、ネット上で記事を見たのかもしれない。
小学5年生から学校には通わず、ホームレースになり母と妹のために働いていた少年。
お金を得るために祖父母を殺せと母親に言われて殺した。
読めば読むほど、欝々としかしない。
色んな虐待ものを読んだけど、最終的に『子供が死ぬ』パターン読んだことがあっても、『人を殺す』パターンは初めてだなと思った。
でも、親子関係というのはある種の『強力なマインドコントロール』が出来てしまう関係だと思うので、なんでもできるんだなと思った。
怖いのは、書いてある事がある程度事実だとすると、少年はかなり賢くて勤勉な人間だなと思える。
この親の元に育たなければ、もっと有望な将来があっただろうにと思えるほどには、賢い。逆に書いてある事が全て少年の嘘だとしても、少年は賢い。
相手がどう思うのかが分かっていないと、他人をだますことは出来ないのだから。
事実か嘘かは、一旦脇に置く。
少年は母親にこれでもかというほど、振り回されている。保護の手が差し伸べられても、唐突に引っ越しを決めふらりと家を出る母親について行く。暴言や暴力は当たり前で、性的虐待まである。
そして、妹に対する『暴力の強要』までされている。
これでもかというほどの、虐待のフルセットにお腹がいっぱいです。
同時に、『どうやったら、そんな母親になるのか』の方が気になった。
本に書いてあるのは、『母親には会えなかったので、どんな人物か分からない』という事だけ。
周囲の話から、母親の親(祖父母)は「普通の人で、子供(母親の事)を可愛がっていた」という話だったということだけ。
だったら、なにがどうしてこんな人間になれるのだろうか。
子どもを働かせて、子供に対して『お前のせいで生活が苦しい』と責めたて、お金を用意させる。
虐待としては、ありきたり……なのかもしれないが、親のその思考をどうにかしなければ、子供は救われない。
少年はまだ若くやり直しの機会がいくらでもあるが、母親はまだ『妹』に接触する可能性があり、妹を風俗で働かせて少年の代わりをさせる可能性がある。
少年の事件は人を殺して終わりになったけど、妹にはまだ終わらない悪夢が残っている可能性がある。
次に死ぬのは、『妹』の可能性もあるわけで……そしてそれはきっと、『事件』にはならないかもしれない。
少年の事件の話なので、『少年にたくさんの支援者がいる』という話で終わりになったが、私はそれより『妹』と『母親』が再び接触する可能性があると書いてある方が、ホラーだと思った。性風俗に沈められる娘は注目を浴びない。
救われない。
親の権利が強すぎて、子供は踏みつぶされるだけ。 -
購入済み
辛い
映画MOTHERを観てから、この本を読みました。
自分も、子供の頃ツラい思いをした経験があり
読んでいてフラッシュバックする事があった。
思い出したくないので読むのを辞めようかと思ったが
母への疑問が解決できるかと思って
逃げずに最後まで読みました。
母への疑問は解決出来なかったけど、自分は絶対に
こんな母親にはならないと、改めて思えました。
そして、近くに困ってる子供を見かけたら
見て見ぬふりをしない事を誓います。 -
Posted by ブクログ
2014年、埼玉県で起きた殺人事件。少年が祖父母を殺害した事件だということはニュースか何かを見てなんとなく覚えていた。
「お金が必要だったのかな」「感情的になってしまったのかな」「家庭環境に問題があったのかな」
この事件について考えたとしてもこの程度だったと思う。
この本を読んで、そんな単純なものではない事を初めて知った。事件の背景には更に背景があって、個人の生きづらさや社会の問題の積み重ねが事件を起こさせてしまったのではないか。
最後に「自立とは多様な依存先があること」という話が出てくる。余裕がないと偏った判断をしてしまう。自立の為には周りからのアプローチが重要となる。
自分の生き方を振り返る意味でも、たくさんの人に読んでもらいたいと感じました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2014年に起きた、17才少年の祖父母 強盗殺害事件についj書かれたルポ。
ルポを読むのは初めてだが、事実が多く書かれていることと、少年の手記が残されていること、そして事件や少年と接するにあたり、著者の過剰な意見や推測が書かれていないことを含め、読みやすくかつ心に残る一冊だった。
少年とわたしの年齢は2歳差。たった2歳、そして生まれ育った環境が違うだけで、わたしは幸福に生き、彼は生きることすら嫌になるような人生を送っている。そして15年の時を、孤独と共に刑務所で過ごす。
虐待ときくと、つい暴力を想像してしまうが、本書の少年が受けていたのは、主に精神的な虐待で、母親と少年が共依存な関係となるよう(意図的か無意識かは分からない)、ずっと母親にコントロールされていた。
こうした状態にある少年をみていると、なぜそうなってしまうのか、世界はもっと広く、そして母親から逃れ幸せに暮らせる人生があることを、どうして分からないのかと考えてしまう。でもそれは当然のことで、まず世界の広さなんて、教えられない限り分からないものだ。そしてそれを教えるのは、通常では親の役目なのだろうと思う。少年はそこを放棄されていたために、世界の広さや人間の多様さを知る機会がなかった。
小学五年生から教育を受けていないながらも、論理的思考力が人並み以上にあることに驚く。そのかわりに感情的な部分から何かを考えるのは困難なようだが、彼は学力ではない部分で頭が良い少年なんだろうな。こうした人間が大きな罪を犯してしまったこと、ほんとうに悲しい出来事であると思う。
この事件から言えるのは、これは単なる一家族、一親子の問題などではなく、社会やそのシステム、そしてそのシステムで生きるわたしたちの無関心さや、臆病な心、そして余裕のなさにあるのだと思う。明日からの自分が、世界をより良くしたいと願うだけではなく、自分の周りの小さな世界だけでもより良いものしていけるよう、小さくても一歩を行動できますように。彼の思いを無駄にすることなく、世界を変える、小さくても一つの台風となっていこう。 -
Posted by ブクログ
まず、私はこの事件が元になったという映画「MOTHER」を見れていないし(アマプラ有料だった…orz)、この事件の前知識全くなく読み始めた。凄い衝撃だった…。こんな親子が、こんな少年がいたなんて。
強く思うのは、母親懲役短すぎ。もっと重い罰が必要でしょ…。そりゃあ罪状は強盗かもしれないけど。この母親もう社会に出てきてるじゃん…。この母親の「女の子欲しい〜」っていう身勝手で産み落とされてしまった妹ちゃんが心配だよ。接触一切してないといいな…。日本ってやっぱり子供が死なない限り虐待親に対する刑罰甘くない?怖いよ。
作中でも言われてたけど、行政は一応やれるだけの事はしてるし一応手を差し伸べてるし、「周りの大人たちのせいでなるべくしてこうなった」みたいな感じじゃないのがまた…。母親さえこうじゃなかったら、ってだけなんだよね。でも少年にとってはその母親が唯一の依存先って、救えないよ。筆者は周りの大人たちがもう少し踏み込んであげていたら…ってスタンスだけど、他人が踏み込める領域でもない気がする。口の上手い母親をギャンブル依存症治療病院にぶち込んで子供たちと隔離させて保護させるのなんて、できるのか。警察が介入したとしても、日本人にはきっとできない。 -
Posted by ブクログ
同じ時をこんなに過酷に生きている子どもがいたなんて、ショックでした。信じること、未来に希望を見出すこと、愛されることも叶わず、それでも妹を守ろうと必死に生きる彼は、本来は愛を持っている人なのだと思いました。
祖父母を殺したことの意味を感じ取れる人に戻り、罪を背負いながらも、普通の大人たちと穏やかに生きていってほしいです。
自分の子供時代とはかけ離れた生活の彼ですが、どこか共感する部分があり、昔を思い出し苦しくなることもありました。誰かに助けてほしかった子供時代。大人になったわたしは、誰かに手を差し伸べられるのか、大人としての責任を突きつけられる本でもありました。
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Posted by ブクログ
同じ埼玉県内の事件だったのでよく覚えている。17歳の少年が金品
目当てに祖父母を殺害した。事件発生当初は「また身内による殺人
か」と思って気にも留めなかった。
だが、事件の背景が報道されるにつれ、少年が送って来た過酷な生活
を知り、「なんでこんなことになったのか」といたたまれない気持ち
になった。
少年はいわゆる居所不明児童だった。両親の離婚、浪費癖があり
経済観念ゼロ、生活能力のない母と生活が徐々に少年を追い詰めて
行く。
学校に通ったのは小学校の5年生まで。その後は一時、生活保護を
受けてフリースクールに通うようになるのだが、お金が必要である
にも拘わらず「行政に監視されているようで嫌だ」という母の主張
で用意された簡易宿泊所から突然姿を消してしまう。
母、義父、義父との間に生まれた13歳離れた妹と一緒にホームレスの
日々を送ることもあったし、義父の日雇い仕事を唯一の収入源として
ラブホテルに泊まり続けたこともあった。
生活を立て直す機会は何度かあった。ただ、この母親自体に精神的な
欠陥があったのではないかと思う。生活が困窮しても働こうとする気
は一向にない。一方で、少年に嘘を吐かせて親戚に金の無心をして
いくばくかの現金を手にしてもパチンコやゲームセンターですぐに
使い果たしてしまう。
こんな生活で家族がうまく行くはずもなく、ある日、義父が行方を
くらますと一家の生活は少年一人にのしかかって来た。
少年は完全に母親のコントロール下に置かれていた。そして、少年も
母親を唯一の拠り所としていた。極度の共依存が、悲しい事件の引き金
になったではないだろうか。
事件を起こすまで、少年の周りには救えたはずの人物もいた。どうにか
見つけた勤め先には、少年を一人前にしようと考えていた人もいた。
だが、すべては母親がぶち壊して行った。
本書では少年の生い立ちや事件に至るまでの経過、その後の裁判の様子、
この少年のような体験をしてきた子供たちを、どのようにすれば救う
ことが出来るのかを記されている。
祖父母を殺害した少年の罪は消えない。この点に関しては少年は明らか
に加害者だ。しかし、加害者になる以前、少年はセーフティネットから
こぼれ落ちた被害者でもあったのだ。
「決して(あなたに対する)非難ではないのですが、誰か少年を助け
られなかったのか。こんなになるまで放っておいて。これだけ大人た
ちがそっていて」
一審のさいたま地裁で裁判長が被害者遺族(少年の母の姉)に問うた
言葉が胸に突き刺さる。親としての責任を放棄した母親から少年を
引き離すことが出来ていたら、懲役15年という更なる日々の喪失も
防げたのかもしれない。
願わくばこの少年のような子供が増えませんように。そうして、出所後
の少年が今度こそ、自分の居場所を確保できますように。
尚、少年の供述では祖父母殺害は母親の指示だったそうだが、裁判では
共謀は認められなかった。埼玉県警は共謀で起訴したかったらしい。