青谷真未のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレあなたは何のために本を読むの?
ある理由で本を読むのが嫌いな荒坂は、楽そうと入った図書委員会で図書新聞の再刊を任されてしまう。一緒に仕事をするのは無類の読書好きである藤生。読書感想文を紙面に載せることにし、自分以外の人に感想文を書かせようとした荒坂だが、そう簡単にはいかなくて——。
森鷗外「舞姫」、ヘルマン・ヘッセ「少年の日の思い出」、安部公房「赤い繭」を絡めながら、感想文をお願いした相手の悩みや秘密を解き明かしていく。荒坂の読書嫌いの理由も途中で明らかになる。読者も一緒に散りばめられた謎を考えながら読むので、「そんなの本の読みすぎ」な推理をしてしまうかもしれない。自分はまんまと引っかかっ -
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ネタバレ☆お気に入りの文
「――荒坂君は、どうして人は本を読むんだと思いますか?」
唐突な問いかけに僕も足を止める。僕は通行人の邪魔にならないよう、道の端に寄りながら首を横に振った。わからない。
藤生は僕を見詰め、きっぱりとした口調で言った。「この世にある物語は、すべて予言の書になり得るからです」(P84 L16~P85 L3)
「書物の中でも特に物語に没頭するのはなぜだと思いますか?」
「え、面白い、から?」
僕自身はそうは思わないが、世間一般にはそうではないだろうか。しかし藤生は「そういう側面もありますが」と言って全面的に肯定しない。
「私は、幾通りもの経験をシミュレートできるからだと思っていま -
Posted by ブクログ
去年読んだ「読書嫌いのための図書室案内」の作者のものだが、評判もまずまずだし感じ良さげだったので買ってみた。
校庭に響いたマイクの音に心を奪われ衝動的に放送同好会を設立した巌(3年生)。
入学早々に入部届を出してきた涼音と白瀬(1年生)に、彼らに通学中の競馬実況を聴かれて入部してきた梓(2年生)。
素人ばかりの放送部の活動とともに4人それぞれの悩みが語られる章立てだが、一番良かったのは梓の話。
競馬を背景に親子の情を絡められると、私の好きなものと弱いもののミックスでもうダメだな。最後のリレーの実況は熱い。
この作者、前作でもそうだったが語り口に何となく理に落ちたところがあって、本作でも話