曽我謙悟のレビュー一覧
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【人口という基準、画一的な政治と行政の制度、大規模な財政調整制度という三点セットは強固だ。一九九〇年代以降の改革の時代により、さまざまな変化が生じたが、それでも根幹は変わっていない。しかし、これがどこまで維持できるのか】(文中より引用)
身近な存在でありながら、複雑さと多様性でなかなか理解が難しい地方政府のシステム。理解のための第一歩として地方政府がどのように成立し運営されているかを概説した作品です。著者は、父親が市役所の職員であったことから地方政府に関心を持つようになったと語る曽我謙悟。
教科書的な記述が続くために正直なところ読みづらさを感じる部分もありましたが、網羅的に地方政府について -
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本書は、現代日本の地方政府の実態を、政治制度、中央との関係、地域社会・経済との関係から、戦後70年の間に生じた変化と連続性、他国の地方政府との間に見られる共通性と異質性にも留意しつつ、描き出している。なお、「地方政府」とは、いわゆる「地方自治体」のことであるが、本書では、地方にも政治があるのであり、地方における代表と統治の全体を理解するために、あえて「地方政府」という言葉を用いているとのことである。
政治学、行政学、財政学、社会学などの最新の研究成果もふんだんに盛り込みつつ、平易簡明な構成と文章で、日本の地方政府の実像を構造的かつ多面的に明らかにしている良書であり、地方自治関係者には必読の内容 -
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ネタバレ日本の地方政府を、鳥の目と虫の目から、また歴史的な発展も加えて、今ある姿とその背景を解説している。
統計データに基づいた解説なので説得力がある。また、諸外国との比較で地方政府を世界の中で客観的に評価しているので、世界の中での位置付けや特徴、ひいては今後どのようにすべきかの示唆が示されていて、とても勉強になる。
以下は、共感したところ。
地方公務員では、ジェネラリストを志向するのか、スペシャリストを志向するのか明確ではない。
地方政府では、多くの場合で総合計画が成功しているとは言えない。企画部門はホチキス部門と揶揄され、各部門が出す計画を束ねる存在に終わることも。
日本の行政機構では、人 -
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地方の選挙では、なぜ無所属で立候補するのだろうか?推薦という実質的な選挙協力を受けつつ、知事や市区町村長が与野党相乗りで支援を受ける光景が地方政府においては常態化している。地方政府では首長の権限が強く、地方議会議員は行政執行部に対して相対での要望を上げるケースが大半であり、国政の構造を踏襲しにくい。
地方自治体と少なからず仕事することがあって、なかなかその構造を理解するのが難儀だった。とくに都道府県と市町村という2層構造は、都道府県が明治期以来の国の出先機関が出自で、市町村は地域コミュニティが合併を繰り返してできた土着性の機関であるため、なかなか異なった性格を持っている。
警察や教育、保健