工藤極のレビュー一覧
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つい、家事の合間に読んでしまった。
宮内庁大膳課の一員でいらした、フレンチのシェフのご本。
類書で「昭和天皇のお食事」(渡辺誠さん著)も読んでいたけれど、それよりも、もう少し時代が今に下った感じ。
手書きのイラストが明るく、ぬくもりがある。
平成の上皇様から、令和の今上陛下と皇后様、宮様方のお食事を通したお暮らしぶりを拝して、上つ方に限らず私達も、毎日のお食事には知恵と楽しみを凝らし。優しい物腰で暮らしたいものだと、つくづく感じた。
つい、いらいらと強い言葉ばかり使ってしまうけれど
美味しいものを頂けるのは、作ってくれる家族のおかげだし、ありがとうを増やさなくちゃいけないだろうか。
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宮内庁大膳課での職務とエピソードを中心にした、食のエッセイ。
第1章 宮内庁大膳課へようこそ
第2章 皇室のかたがたとの日々
第3章 僕の足跡、そしてこれから
第4章 天皇家の食卓・・・レシピ集
宮内庁大膳課の厨房第二係(洋食担当)に、5年間奉職した
著者による、天皇家の「食」と学んだこと&エピソード。
奉職までの過去と退職後の現在に至る道のりを含む。
著者自身のイラストに彩られている。レシピ集有り。
絵日記と謳うけど、実のところイラスト入り食のエッセイです。
宮内庁大膳課で天皇家の食事を提供していた体験は、
たとえ5年であれ、思い出して語りたくなる、
人間としての、料理人としての形成の場 -
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料理人として宮内庁に勤めていた著者の思い出話と皇室の方々にまつわるエピソード。「天皇の料理番」なんて副題についているけど、宮内庁勤めは1970年代、つまり著者30歳前後の5年間だって。まことしやかに秋篠宮一家のエピソードとかも紹介されているけど、実体験ではなく聞いた話ということか。とはいえ紹介されるエピソードからは皇族の方々のすばらしい人柄がわかる。特に、平成天皇・皇后両陛下の皇太子・同妃時代のエピソードは、著者の実体験の割合も多いだろうし、とりわけすばらしいことは先刻重々承知のうえで、やっぱりすてきなエピソードが多かった。
著者はいま、江古田で気軽なレストランをやっているんだって。親が学習院 -
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「清羹(せいかん)」ってなんだか分かりますか?コンソメスープの
ことを宮中ではこう呼ぶそうです。コンソメスープが「清羹」なので、
ポタージュは「濁羹(だっかん)」なのだそうです。
宮中言葉同様に、天皇陛下や皇太子殿下の日々のお食事から宮中晩餐会
の料理までを担当する宮内庁大膳課では、料理や食材に対して独特の
呼び方がある。
カリフラワーは「花野菜」、サラダは「サラド」、ジャガイモは
「白芋」などなど。
著者の工藤氏はこれで失敗している。大膳課に奉職して間もない頃、
先輩から「メンポウを取ってくれ」と言われ麵棒を渡して叱られて
しまう。
メンポウは漢字で書くと「麺麭 -
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1974年から5年間、宮内庁大前科厨房で洋食担当として昭和天皇皇后両陛下、園遊会、晩餐会に食事を提供してきた作者の体験記。
天皇家には「身土不死(しんどふし)」(人の身体と土地は切り離せない関係にあり、自共で旬なものを食べることが身体によいという考え)や、「一物全体食」(食材は丸ごと使うことでバランスの良い栄養摂取ができる)という考えがあり、食生活から健康を意識する「食養学」が徹底されているということ。
そんな天皇家の食事の御様子を紹介したイラストエッセイ。この絵が何とも味があります。
料理を通して皇室の方々の日常生活やお人柄、教育方針も垣間見られます。
まったく未知の世界のため、食事だけでな -
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南フランスを思わせる明るい色遣い、味のあるイラストに惹かれて手に取った。
部活が長続きしなかったと若い頃を振り返る著者は、高校を出てから還暦を過ぎた今も料理人を続けている。
天職を見つけたのだろう。
奥さまに捧げる、と書かれた本書は、料理人人生の中間決算であり、この春、元号が変わるという報に接し、1974年から5年間つとめた、宮内庁大膳課厨房第二係での日々を振り返る気持になったのかもしれない。
外の料理の世界とはちょっと違う空気の皇室。
古からの料理用語が交わされ、特別なきまりがある。
しかし、厨房は広々として、決して窮屈な空気ではない。
天皇家の日々の料理はどちらかと言えば質素。
セレ