黒崎真のレビュー一覧
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1965年ベトナム戦争北爆開始と共に多くの黒人の戦死者が出た。戦時下のアメリカは当然貧困予算は削られ増税案まで提出され、国内の貧困状況は変わらない。非暴力を唱えているキングは、ベトナム戦争は暴力のうちに入らないのかと言う世論については、確かに的を得た問いで、そんな時代的背景の中、社会保障•福祉制度もメディケイドによる医療扶助、メディケアの医療保険制度と部分的な国民を助けるが黒人全体社会には行き渡らない。
キングの死後、リンドン•ジョンソン大統領は、住宅売買に関わる人種差別の禁止など一歩一歩連邦政府を巻き込み改善されていった。バックグラウンドがとてもわかり勉強になった。一歩一歩現況の改善が進むこ -
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キング牧師の伝記は既に読んだことがある程度の知識量で読むのが望ましいと思う。少なくとも、モンゴメリ・バスボイコットとかワシントン大行進とかは、本文でももちろん説明されているが予備知識があった方がスムーズだろう。(一般的な伝記から読む場合は岩波ジュニア新書へGO!)
この本は副題にあるとおり、非暴力の闘士としてのキング牧師に特に焦点を当てており、冒頭は、銃で武装した護衛に守られ自らも銃で護身することに疑問を感じていないキング牧師のエピソードから始まる。既に平和的な運動を指導している立場でありながらそれだけ緊迫した情勢だったということではあるが、平和ボケした日本で生まれ育った我が身にはなかなかショ -
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2018年にでたキングのコンパクトな評伝。最近の研究なども踏まえたものになっており、偉人伝的なものではなくて、一人の人間として、現実のなかにおいて悩み、そして成長していく姿を描いている。
キングは、学生時代から、非暴力について学んでいて、初期のモントゴメリーのバス・ボイコット運動の演説でも、すでに非暴力の考えは示されているわけだが、この本によると、当時のキングの非暴力の理解はそこまで深くはなかったという。
「非暴力」を理解する、説くだけでなく、そのものを生きるという挑戦。これをキングはさまざまな痛みや苦しみのなかで実践していくことになる。
それは、ワシントンの行進やノーベル平和賞受賞でお -
Posted by ブクログ
アメリカ黒人解放運動の伝説的指導者マーティン・ルーサー・キングの評伝。一般に公民権運動のカリスマ、あるいはガンディー由来の非暴力思想の伝道者・実践者として語られがちだが、本書では晩年に尽力した反戦平和運動や反貧困運動への取り組みにも紙幅を割き、今日のアメリカ社会で流布する毒抜きされた「公式的な」キング牧師像の克服を図っている。キングが実践した非暴力直接行動をラディカルで攻撃的な政治活動と位置づけ、一般に対立的に捉えられがちな「ブラック・パワー」(マルコムXらの分離主義、暴力主義)との連続面を認めている点が目新しい。単なる顕彰ではなく、アメリカ黒人差別の歴史や差別を再生産させる社会構造が理解で