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リンチ、脅迫、放火、爆破。アメリカ南部社会を覆う、人種差別の凄まじい暴力。われわれ黒人はもう待てないのだ。人びとを直接行動による社会変革へと導いたキング牧師(1929─1968)。栄光の前半生だけでなく、差別と貧困のないアメリカを夢見た彼の後半生こそ忘れてはならない。武器をとらず非暴力で闘い抜いた苛烈な生涯をえがく。
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Posted by ブクログ
1965年ベトナム戦争北爆開始と共に多くの黒人の戦死者が出た。戦時下のアメリカは当然貧困予算は削られ増税案まで提出され、国内の貧困状況は変わらない。非暴力を唱えているキングは、ベトナム戦争は暴力のうちに入らないのかと言う世論については、確かに的を得た問いで、そんな時代的背景の中、社会保障•福祉制度も...続きを読むメディケイドによる医療扶助、メディケアの医療保険制度と部分的な国民を助けるが黒人全体社会には行き渡らない。 キングの死後、リンドン•ジョンソン大統領は、住宅売買に関わる人種差別の禁止など一歩一歩連邦政府を巻き込み改善されていった。バックグラウンドがとてもわかり勉強になった。一歩一歩現況の改善が進むことを私も願う。 •巻末の読書案内が私のような個人的な趣味で読んでいる者にとって助かります。
キング牧師の伝記は既に読んだことがある程度の知識量で読むのが望ましいと思う。少なくとも、モンゴメリ・バスボイコットとかワシントン大行進とかは、本文でももちろん説明されているが予備知識があった方がスムーズだろう。(一般的な伝記から読む場合は岩波ジュニア新書へGO!) この本は副題にあるとおり、非暴力の...続きを読む闘士としてのキング牧師に特に焦点を当てており、冒頭は、銃で武装した護衛に守られ自らも銃で護身することに疑問を感じていないキング牧師のエピソードから始まる。既に平和的な運動を指導している立場でありながらそれだけ緊迫した情勢だったということではあるが、平和ボケした日本で生まれ育った我が身にはなかなかショッキングな前振りである。 体裁は伝記であるので、基本的には生い立ちから凶弾に倒れるまでを時系列で追っていく構成ではあるが、そこからはみ出る解説がこの本のキモである。例えば、「牧師」であることが公民権運動へとつながるにあたり重要になる黒人教会の成り立ちや説教の伝統(コール&レスポンス)、当時の黒人聖職者の立場などの解説を読むと、なんとなくボヤーっとしていたことがクリアに説明されていて非常にスッキリする。そして特に重要なのが「非暴力」に関する説明である。 非暴力運動に参加する民衆は「戦術」としてのみ非暴力を受け入れるのでもよいが、その指導者は非暴力を「生き方」としなければならない、というのである。この非暴力のメカニズムをキング牧師は理解し受け入れてまさにガンジーと同じく「非暴力を生きる」指導者となり、この後しばらく目覚ましい効果を上げる。そのピークがワシントン大行進とノーベル平和賞であろう。 しかし、博士号を持つインテリであり公民権運動の指導者として頭角を表しつつあったキング牧師ですら理解していなかったことからも分かるように、非暴力という装置はその看板ほど容易なものではなくきちんと学ぶ必要があり、特に指導者レベルでは自らを犠牲にする覚悟まで試される厳しいものである。折しもアメリカにおけるベトナム戦争(=最大の暴力行為)のインパクトが増す中、彼を理解し、彼の運動に共感する人が減るのは必然だったのかもしれない。それでも彼は最後まで休むことなく走り続け、模索し続け、求められれば与え続けた。まさに不屈の闘士であるが、その原動力は神に評価されたいという強い信仰心だったのであろう。 世界に暴力が渦巻く現代を生きていると、自分たちを守るために何ができるのかと考えると無力感に陥ることもしばしばである。核の傘に入る?防衛費を増額する?それで本当に安全が買えるのであろうか。非暴力運動の利点は屈強な男性でなくとも誰でも参加できるというところである。自らが暴力を振るうのには向いていないと認識している人は、非暴力について知ることから始めるのもよいのではないだろうか。 本書は巻末に「読書案内」を備えており、普通の参考図書の列挙にとどまらず、ネットや映画も含めたリファレンスを豊富に知ることができる点も行き届いている。
戦略的に考えてたんだなぁと思った 非暴力なら腕力いらないので大衆が動員できるし、相手が暴力ふるってきたら相手側に悪印象を植え付けることができる。 第三者の目というのを意識している。 しかし相手もバカではないから失敗を学習して対応を変えてくる。 この攻防は見ていて面白い。 最終的には諸悪の根源である経...続きを読む済的不平等の解消を目指したというのは知らなかった。 中核的な役割を担い、華々しい実績をあげており、暗殺まで時間がかかったのはむしろ意外に思えるほど。 そのうち殺されると思ってたらしいが、よくそんな心境で活動できたなと思う。 信仰は強い。
非暴力による公民権運動を追求した善の人、キング牧師の伝記です。 キング牧師の幼少期から始まり、暗殺、我々が生きる現代に至るまでが詳しく綴られています。 他の活動家と趣を異にしていた彼の思想は、白人支配層を混乱させます。 様々な苦しみを与えられてきた彼が求めるものは、暴力による淘汰ではなく非暴力による...続きを読む白人と黒人の和解です。 目的と手段において妥協せず、現実的な範囲での最高を目指す姿に感動しました。
南部黒人の迫害、バスボイコット、公民権運動、ワシントンD.C.でのl have a dream 演説と、ぼんやりとしかイメージ出来なかったキング牧師を生い立ちからその理想、運動の姿勢まで分かりやすく提示してくれています。また、その後のキングにもスポットをあててくれており、日本人として理解が出来ていな...続きを読むかった1950年代から1960年代のアメリカ
2018年にでたキングのコンパクトな評伝。最近の研究なども踏まえたものになっており、偉人伝的なものではなくて、一人の人間として、現実のなかにおいて悩み、そして成長していく姿を描いている。 キングは、学生時代から、非暴力について学んでいて、初期のモントゴメリーのバス・ボイコット運動の演説でも、すでに...続きを読む非暴力の考えは示されているわけだが、この本によると、当時のキングの非暴力の理解はそこまで深くはなかったという。 「非暴力」を理解する、説くだけでなく、そのものを生きるという挑戦。これをキングはさまざまな痛みや苦しみのなかで実践していくことになる。 それは、ワシントンの行進やノーベル平和賞受賞でおわる物語ではなく、その後、アメリカのさまざまな状況のなかで、ほんとにたくさんの苦難、行き詰まりに直面する。 そうしたなかで、非暴力の運動をたんに理念的なものとして扱うのではなく、その具体的な運動論というか、戦術論、政治的な交渉などなども描いてあって、リアリティが高い。 こうした困難さは、キングの問題意識がいわゆる公民権運動のなかにおさまらず、ベトナム戦争反対などの平和活動、そして経済的な公平性を求めるものであったことも関連する。 もしかすると、運動のフォーカスを引き続き、公民権においていれば、さらに多くの成果をだすことができたのかもしれない。 だが、それはキングの良心がゆるさない。 つまり、法律的な公正性にとどまらず、より実質的な公正性を求めていたのだ。(法的な公正性を超えるとアメリカでは自由主義との関係で分断を生み出す論点となる) この本で提示された視点をもって、もう一度、キング自身の言葉を学んでみたい。
アメリカ黒人解放運動の伝説的指導者マーティン・ルーサー・キングの評伝。一般に公民権運動のカリスマ、あるいはガンディー由来の非暴力思想の伝道者・実践者として語られがちだが、本書では晩年に尽力した反戦平和運動や反貧困運動への取り組みにも紙幅を割き、今日のアメリカ社会で流布する毒抜きされた「公式的な」キ...続きを読むング牧師像の克服を図っている。キングが実践した非暴力直接行動をラディカルで攻撃的な政治活動と位置づけ、一般に対立的に捉えられがちな「ブラック・パワー」(マルコムXらの分離主義、暴力主義)との連続面を認めている点が目新しい。単なる顕彰ではなく、アメリカ黒人差別の歴史や差別を再生産させる社会構造が理解できる叙述になっている。社会運動・政治運動の方法論を鍛える素材としても有効である。
数ヶ月前、キング牧師の孫が演説してるのを見て興味を持ち手に取った本。 キング牧師がガンジーにあれだけ感化されてたのは初めて知った。 それにしても昭和40年代、東京オリンピック前後にあれだけ激しい人種差別がアメリカにあったとは・・・。 歴史的に見ればついこないだよね。
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黒崎真
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