ゴールズワージーのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
美的感覚をもつ男にとっては、この世に求めうる理想郷も、永遠につづく幸福の港もありえないのだ──それらの空しさにくらべれば、絵画や詩歌の中にとらえられた美は永遠に存在し、それを見、それを読むことによって常に同じ感嘆すべき高貴な感覚と、心地よき陶酔とを味わいうるものである。たしかに人生にも美の要素をもった、胸おどる大歓喜の瞬間があるだろう。だが、それらは太陽の前をよぎる一片の雲よりもはかないもので、芸術が美をとらえて不朽のものとするようなわけにはいかない。それらは、自然の中にあって、ひらめくとも輝く女神の金色の幻か、はるけく思いにふける妖精の一瞬のきらめきかのように、はかなく消え去るものである。