古池ねじのレビュー一覧
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ネタバレ村の安寧と繁栄のための人柱になる定めの双子の物語
人柱の条件が『美しい娘』なため、同じ顔だけど、生まれつき顔半分にアザのある姉は必然的に生かされる
ゆえに、父母からも村人からも『生かされるくせに』と虐待されて育つ姉、16歳で『贄になるから』と大事に育てられる妹
生まれた時から村中で虐待されて育った宵の描写が、本当に『働くことと叩かれること』しか知らなくて、憎んだり妬んだり卑屈になったりしない無垢さで、そこが素晴らしく良い……
また、殺される事が決まっている環の、死への恐怖はあってもそれが必然と受け止めている純粋さと緩やかな虐待にも泣けた
双子がそれぞれの立場で素直な描写が本当素晴らしい
そして両親はじめ村人の醜悪さが際立った
神様たちの関わり方もちゃんと筋が通っていて、個性もあって流されない
キャラクターがキャラでなく人物である、良い物語でした -
Posted by ブクログ
無骨でシュッとした職人気質のイケメン店長とかわいらしくもスパッとクールなツッコミを入れてくれる店員さんの二人で営む焼き菓子専門店「初」をめぐる連作短編。
入れ替わり立ち替わり現れる主人公の視点で繰り広げられる物語は砕け過ぎず、装飾過多にもなり過ぎずの程よい塩梅でサクサクテンポ良く進み、これぞライト文芸ジャンルの持ち味なんだろうなぁ。
皆それぞれに日々の中で答えの出ない迷いに揺らされ、そんな中、丁寧に仕立てられた焼き菓子に出会うことで「自分なりの答え」を見つけていく。
遠慮のないご近所さんの煩わしさや親世代との確執を描きながらも、物語を通して描かれるのは『程よい塩梅』でそれぞれの抱える軋轢に向き合い、寄り添う丁寧さ。
扉を開いた時に最初に現れる店主(だったはず)の初音さんからのメッセージ、一話で描かれた家族との確執が鮮やかに回収される最終話はふたりが「初」という店に辿り着いたことで得られた喜びと、そこから生まれる物語はまだ続いていくことを示唆して終わる。
世の中から押し付けられる無遠慮な押し付けに怒ってもいい、許せないことは許さなくてもそれでいい、と「おいしい焼き菓子」が手渡してくれる喜びと共に寄り添いながら生きていくことが丁寧に穏やかに描かれていました。 -
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表紙買いしましたが、お陰でいい本に会えました。
焼き菓子という小さな一口が救いになって胸に灯りを灯すようなお話が四篇、主役は移り変わるのにどれも共感できるような部分があって、響くものがありました。四話目は話の締めくくりとして店の中の人の話になりますが、その他の三話がただの客目線の話なのがいい。店員がしゃしゃり出て口を挟んで物語が進むのではなく、ただ客がこの店に出会い自分で感じるそのきっかけがこの店にあることが、このお店が本当に京都烏丸にあって私もいつか客として世界に入れるような地続き感を感じて嬉しくなる。
実際読み終えて「京都」「烏丸」「焼菓子」で検索してしまいました。残念ながら焼菓子屋初は見つからなかったけど、実在してる気がしてる。 -
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ネタバレ小説家のゆすらは物腰柔らかで優しく、料理上手な主夫の木崎さんと父の残した古民家でゆるやかな二人暮らし。
タイトルと装画の印象からはほのぼのほっこりスローライフに見えるかもしれませんが、生きていくことにひどく不器用で、喪失の悲しみに心を囚われたままのゆすらの目線で紡がれる物語には息苦しさと不穏な空気が終始漂う。
偉大な小説家である「島田仁」の娘であり、同じく小説家になった「島田ゆすら」はあくまで二世扱いからは逃れられない。
あたかも「島田仁」の作品のひとつとして筋書きを与えられたかのような人生を生きるゆすらは、物語の書き手である父を亡くし(おそらく自殺であったことがほのめかされる)、ひとり取り残された家という名の舞台に立ち尽くす。
社会から置き去りにされたかのような彼女に手を差し伸べてくれたのは、後に夫となる木崎でーー
ばらばらになった家族に取り残され、書き手が去った後も「島田ゆすら」の役割を期待され続けるゆすらの新しい家族となり、臆することなく古くからの彼女を知る面々の懐へと、美味しいご飯とともにすっと入っていく木崎の存在は揺らぐゆすらを繫ぎ止める唯一無二の役割を果たしてくれる優しさに溢れている。
ふたりで作りあげた「家族」の再生は小説家島田ゆすらが自らの人生を「島田仁」の小説の登場人物としてではなく、「木崎ゆすら」が切り開く物語として歩むことへと続いていき、その結果が小説家としての次のステージにも繋がっていたのかな。
物語ることへの息苦しさと真摯さ、生きることの苦しさ、それでも、だからこそそこにまっすぐに向き合いながら自分の人生を、そこに寄り添ってくれる大切な人とともに生きていくことへの希望に満ちているかのような結末がとてもあたたかでした。 -
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ネタバレただのほんわか物語ではなく、文筆家であるゆすらの仕事への苦悩、同じく文筆家で偉大な父の娘とされる苦悩などがあり重くも描かれている。
出会い方から結婚までの流れがすごい。
旦那の木崎さんが作る数々のご飯が美味しそう。
なにも言わずともゆすらのことがわかり、それとなくご飯を用意したり元気づけようとしているところが素敵。
このふたりのほんわかした空気、雰囲気が、私もほっこりさせてくれた。
とにかく木崎さんが優しくて優しくて、穏やかな微笑みが目に浮かぶ。
私もこんな旦那さんが欲しいな。
表紙や内容紹介とはイメージが異なるかもしれない。
独特な文体や雰囲気があった。
それもあってか読むのに時間がかかりましたが、良い作品だと思います。 -
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「真面目。よく言われる。言葉自体の意味はともかく、自分に向けられるそれはあまりいい意味ではないことを信也は学習していた。融通が利かない、とかつまらない、とかの言い換えだ」
私も小さい頃から、真面目とよく言われましたが、信也と同様、褒められているとは思えずにいました。
それが、融通が利かないとかつまらないという意味に感じていたことが、この文を読んで、はっきりとわかり、長年もやもやしていたのが、スッキリしました。
エピローグのレンと信也のエピソードを読んで、じんわり温かな気持ちになりました。
根っから悪い人がひとりもいない、とても優しい物語でした。 -
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最近多くみられる食べ物系のお話しかと思いきや、
偉大な作家の父をもつ、1人の女性作家の苦悩のお話でした。
でもでも結婚した相手が料理やおやつを作ってくれる優しい旦那様なのです。旦那様というより執事のように私には見えてしまう。
旦那様の存在がゆすらという女性の心の安らぎ場所。
父親も母親も他界してしまい、その悲しさの為か旅に出てしまった弟、
そして同じ作家として活躍する幼馴染の崇。
彼との関係も複雑。最後にはお互い笑顔になるけど。
とにかく食べるシーン以外はゆすらの一人称というか、常に自分に問い続ける感じ。
結構面白かったので、この作家さんの作品は読んでみたいと思ったけど、電子書籍が多い模様。 -
Posted by ブクログ
親が偉大だと子どもたちは大変そう…
○○の娘(息子)というラベルを貼られてしまうから。
結婚した旦那さんはそのラベルを貼らずにそのままの自分を見てくれる。
ありのままの自分でいられる存在…
そういう存在の人と出会いたいですね。
同業者の幼馴染の登場で、何か展開に変化はあるのかな~と思いましたが、何も変わらず…
約束を守ろうとした幼馴染。
その約束は自分とのものではなく、死んだ人間とした約束…
幼馴染は生きてる自分ではなく、死んだ人間を優先した…その事実がショックだった自分…
本当に自分のことが大事だったら、生きてる自分を優先してくれるはずだと…
幼馴染も何か一言かけてれば良かったのにな…
「必ず取るから、待っててくれ」みたいな…
そうなると思っていた未来が、現実の未来になるとは限らないですからね。
緊張感のあるはりつめた空気の中にいる木崎さんが癒しの存在です。