三遊亭円丈のレビュー一覧
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どこかで書評を目にしてからずっと読みたかった1冊。
何だこれ、めちゃくちゃ面白いじゃないか!
『赤めだか』を読んで笑って泣いて。落語家の世界の特殊さと懐の深さと才能にずっと感動していた。
これは方向性が真逆!伝統の世界ってこんなにしがらみだらけなの?つまらないプライドや派閥が蔓延るの?
そのせいでこんなに沢山の人が泣いて苦しまなきゃいけないの?面白いのに苦しくて思わず一気読み。
全てを曝け出す覚悟と、そうしなければ自分の心が壊れそうという叫びが書かせた文章。圧巻。そもそも文章が面白いのに、何という作品。
再出版に際しての対談は、その時の熱が冷めていた。そりゃそうなんだけど。でもその対談 -
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今から40年前の昭和53年、東京の落語界を二分する
大騒動が巻き起こった。
その前に東京の落語会システムを簡単に説明。東京には上方落語にはない「真打ち制度」がある。真打ちとは文字通り「真を打つ」、つまりお客を納得させるだけの芸の持ち主を真打ちと認める制度。
この真打ち昇格が分裂騒動の端緒となる。当時の落語協会会長 柳家小さんが行った「大量真打ち」。落語ブームに乗り大所帯になった落語協会。これまでの芸の熟成を待った真打ち昇進の方法では、時間がかかり、中々真打ちが出てず、❛つっかえ状態❜が続く。その打開策として現実主義の柳家小さんは、10人をまとめて真打ちに昇進させる。
そのことに対し「粗製 -
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ネタバレ三遊亭円生がしかけた、落語協会からの分裂騒動。
その渦中にいた弟子である円丈による、事の顛末の詳しい説明。
円生に心酔していた志ん朝が分裂に最終的に加わらなかったところが、キーポイントの1つかな。人望という点では円楽、談志は彼の足元にも及ばないとのこと。
円生は師弟の信頼関係より、秘密主義を選択してしまった。ここに新協会が敗北した原点があるということだ。作戦を遂行するために、騙すには身内からという作戦もあるが、失敗した場合のリスクはかなり高いね。
「円生は三遊本流の総帥なのだ。いつも三遊派の繁栄を考えて、先を読み、次の世代に円生を継承しなければならない。その円生は、俺たちを戦争孤児に