プレヴォのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
G・プッチーニのオペラの原作。絶世の美女に一目惚れし、純愛を捧げた青年が人生を踏み外して転落していく物語。とても面白かったです。
時は18世紀前半のフランス。17歳のデ・グリューは、成績優秀で将来を有望視されていました。ある時、街で出会った修道院送りになったマノン・レスコーに一目惚れ。二人でパリに駆け落ちをします。愛に満ちた二人と思われましたが、マノンは貧乏暮らしを良しとせず、他の金持ちの男と通じていたことが発覚。一度は、父と兄によって引き離されて恋心は下火になりますが、運命のイタズラは放っておいてくれませんでした。デ・グリューが神学部の公開審査を受けるにあたり、彼の名前を見つけたマノンが神 -
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「1731年の小説なんて絶対面白くないだろうけど、まあここらで古典でも一冊読んどかんとなあ」程度で手に取ったのだが……衝撃をうけるほど面白い。それも圧倒的に。いやいやまんまとこのハチャメチャな物語に魅了されてしまった。訳者あとがきで「従来の常識では考えられないようなパッションのありさまは、読者をいまだに驚かせ、魅了し、あるいは呆れさせるだろう」とあるが、まさにこの通り。シュバリエ・デ・グリュとマノン・レスコーという300年前を生きた2人の若い愚か者のまあ魅力的なことといったらない。
ヤッバイ恋愛楽しすぎる‼これ運命だわ。でも金に困ったので友達とか親戚にたかりまーす。それでも足りないので詐欺し -
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「マノン・レスコー」アベ・プレヴォー。初出は1731年、フランス文学です。光文社古典新訳文庫、野崎歓訳、2017年。
1731年というのは、古いですね。ディケンズだってヴェルヌだって19世紀です。スタンダールも作品は19世紀。19世紀ともなると、他にも「現代にそのまま通じるエンタメ小説」はいくつもありますが、18世紀はなかなか。
…なんで、ひょっとして辛い読書かなとも微かに思ったのですが、見事に裏切られました。圧倒的に面白かった。
#お話は、はじめ18歳くらいのどうやら貴族的身分の若者デ・グリューさんが、マノン・レスコーという名前の出自不明の美少女とばったり出会うことからはじまって。
一気に -
Posted by ブクログ
1731年刊。ファム・ファタール像を示したフランス文学の古典。駆け落ちから破滅に至る悲劇的恋愛を描く。
もともとは真面目っぽい性格で、才能もあり将来に期待のもてる貴族の青少年だったのに、ひとたび恋の力に囚われると、駆け落ちから無心、犯罪、逃亡、と無茶をやらかしまくるデ・グリュ。どうしようもないなこの主人公……と呆れながらも、二転三転する展開の面白さと、恋のためにすべてを投げ出す情熱に引き込まれていく。終盤に至るころにはその純粋で激烈な愛情に感動すら覚えていた。しかし主人公の言動がわかりやすいのに対して、マノンの魅力には妖しさがつきまとう。彼女の本心に謎を感じさせるあたりも多くの読者を惹きつけ -
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ネタバレ語り手の私が観たマノンの様子は、上流の令嬢にも見え、慎み深い心の持ち主に見えたというので、その後に書かれているアメリカに送られることになるまでの行動からイメージする奔放な様子とはイメージが違い、頭の中で描く姿が定まりません。
シュヴァリエのことを愛してはいるように思えるときもあるのですが、いやいや、その行動は無いでしょう、何を考えているの?本当に愛しているの?と言いたくなる。シュヴァリエが気づいているように、単に「楽しみ」を「享楽」を求めているだけで、それは「愛」を超えているように思える。愛が根底にあれば裏切り、それも楽しみや享楽を求めた裏切りを許せるものなのか?裏切る人間に愛があるのか?本 -
Posted by ブクログ
ネタバレ悪女の話だというくらいの知識しかない状態で読み始めました。
もっと高尚な感じなのかなと思いきや、語り手のデ・グリュが正しく恋に狂っていてまったく落ち着いていないので(笑)そりゃ恋に堕ちたら冷静ではいられないよね……と勝手に納得。
マノンはもっと計算高い感じなのかと思っていましたが奔放で天真爛漫で自由でなんだか憎めない魅力があります。
弄んでやろうと思ってやっているのではなくてその時の自分の気持ちに正直なだけというか。
若さもあるんでしょうね。
計算高いという点ではデ・グリュの方が悪に染まっているような……
あなたが悪いんですよとか言いながら門番を撃ち殺したり。それに良心の呵責を感じるどこ -
Posted by ブクログ
読んでいて、これがフランス革命より前の時代の小説かと疑いたくなるほど臨場感があった。
スタンダールの恋愛論といい、デュマフィスの椿姫といい、フランス文学は恋の情熱がいかに幻想的で破滅的かを克明に表現している。
主人公のシュバリエがいかにマノンを愛しているかが、主人公の視点で終始書かれているので、いかにそれが狂気と隣り合わせかということが客観的にわかるようになっている。
世界を支配できるとしても彼女の愛さえあれば他に何もいないという境地には、恋は盲目という言葉があるとおり、多くの人が共感できるように思う。
作者は、浮気をされようともここまで友人や家族を翻弄し苦しめ、詐欺を働き、人を殺しかけ -
Posted by ブクログ
バレエの演目として名前は知っていたけど、ほとんどストーリーを知らなかったので、新訳シリーズででたからこの機会に、と読みました。
星はつけたけど、ほとんど評価不能です。
マノン・レスコーのキャラクター(性格)の見えなさ。
放蕩をつくす悪女にはなりきれず、かといって性格の良い女とは全く思えず。
デ・クリュの恋に盲目な(愚かな)男っぷりも、いささか常軌を逸してる。(頭が良く、論理的てあるから余計に)
この本の書かれた時代背景。当時の文学のことも知らないと読みきれないのかもしれない。
椿姫がこの本のだいぶ後の時代に、この本の影響を受けて書かれたということにもただ驚く。