西東三鬼のレビュー一覧

  • 神戸・続神戸(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    まず書いておかなければならないのは、俳人よりも歌人を重視したいと、要らぬ偏見を持っている。寺山のせいだ。
    情けないことだが「水枕ガバリと寒い海がある」しか聞いたことがなく、その句を聞いても、作者に注目したことがなかった。

    が、神戸の、しかもトアロードといえば足穂のだなっ! と鼻息を激しくし、いわばミーハー的に読んだのだ。反省。
    しかし足穂の生年が1900-1977。
    西東三鬼の生年が1900-1962。お、すごい、ニアミス有り得るかも……?
    ただし足穂の神戸時代はおそらく二十歳まで。
    かたや西東三鬼の神戸時代は四十代。
    合わないではないか。
    しかし、神戸のコスモポリタニズム・ダンディズム・モ

    0
    2020年01月15日
  • 神戸・続神戸(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    神戸市内の本屋で平積みになっていました。
    帯の「森見登美彦氏賞賛」につられて買いました。
    知った地名
    第二次世界大戦末から戦後まで
    とても興味深く読みました
    そうか、こんな人たちがこんなホテルでひっそりと命をつないでいたんだ
    何と「濃い」人たち!
    ひとり一人が小説の主人公のようです
    もちろん著者もすごい!
    私の母はこの頃、この近くに住んでいたんですよねえ

    ≪ ひっそりと 自由を我らに 叫びつつ ≫

    0
    2019年10月18日
  • 神戸・続神戸(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    あの時代、みんながみんな「お国のため」モードじゃなかったのだということがわかってよかった。
    どれだけ上手く騙したり煽ったりしても、全員を暗示にかけることは、絶対にできない。

    0
    2019年10月02日
  • 神戸・続神戸(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    この人の文体は、下手くそな浅田次郎と洗練されていない森見登美彦を併せたような印象なのです。でもたまらなく惹かれる。

    歯科医で俳人の著者。戦時下に東京から神戸にやってきて、移り住んだのは多国籍の長期滞在者がいる世にも怪しげなホテル。

    インテリなのにプライドをまったく感じません。しかもお人好し。ホテルを出て購入した家に人がなだれ込んでもそのまんま。便所が詰まれば糞まみれになって掃除する。

    いずれの話も飄々としていて、かつ無理に人を笑わせようとしていないから、余計に可笑しい。しかも切ない。

    彼が当時を共に過ごした人たちはみんなどうしているのか。あらためて、戦争はしちゃいけないと思う。

    0
    2019年09月16日
  • 神戸・続神戸(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    戦時中の話は戦災や貧困など悲壮感を感じずにはいられないものだが、この本はちょっと違う。かといってふざけているわけでもなく、何か重要な記録を残そうとしているのでもない。ただちょっと(かなり?)風変りな生活の背景に戦争があり、著者と登場人物との関わりが描かれている。それだけなのに面白い。
    それでいて広島のくだりはたったの1ページあまりで、圧倒的な米国との力の差を見せつけられた敗戦の現実が表現されている。
    良くも悪くも時代の男性目線。女性達の生きざまについての表現に反感を持つ人もいるかな?
    shaun martin/7 summer

    0
    2019年08月19日
  • 神戸・続神戸(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    小さい頃から通い慣れた街が、戦時中から戦後はこんな様子だったとは
    食糧もなく、自由もなく、空襲に怯える日々の中でも、外国の人たちと心は自由に生きていた著者。
    戦争の中の現実の生活。
    おもしろく描かれているけどつらいな

    0
    2024年02月25日
  • 神戸・続神戸(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    劇団太陽族「神戸世界ホテル」の原作だということで読んだ。俳人西東三鬼が書いたノンフィクション自伝小説だ。彼自身も治安維持法で京都で収監されていたそうだが、そんな暗さや怯えはなく、脳天気でありながらもその密度は濃く、戦中戦後を生きている。とっても不思議な人だ。

    0
    2021年09月19日
  • 神戸・続神戸(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    第二次大戦下、神戸トーアロードの奇妙なホテル。“東京の何もかも”から脱走した私はここに滞在した。エジプト人、白系ロシヤ人など、外国人たちが居据わり、ドイツ潜水艦の水兵が女性目当てに訪れる。死と隣り合わせながらも祝祭的だった日々。港町神戸にしか存在しなかったコスモポリタニズムが、新興俳句の鬼才の魂と化学反応を起こして生まれた、魔術のような二編。

    多少脚色はあるにせよ、すごい時代にすごい生き方をしている人たちが描かれていて、うわあという感じ。神戸という港町ならではの空気なのかもしれないけど、誰に従うこともなく、のびのびと自由に、まるで天狗のように駆け回るエネルギーあふれた登場人物たちに感嘆してば

    0
    2020年01月13日
  • 神戸・続神戸(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    筆者の暮らすホテルにまつわる人々を冷静に眺め、ユーモアを交えて淡々と。
    物語性が強いわけではないが、戦時下の神戸のふつうのーいや、ちょっと変わった暮らしぶりをサクっと描いている。
    折々、筆者の情け深いところ、優しいところに触れられる文があり読んでいて気持ち良い。
    敗戦前後の話なだけあって正直描かれる事象は暗かったり悲しかったりするのだが、なんというか全体を通して軽い。貧乏しようと人が死ねど軽い。今風に言うと、筆者が“ネアカ”が滲み出ているとおもう。
    戦時の市井の様子がわかる文章は興味深く面白い。

    0
    2019年12月21日
  • 神戸・続神戸(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    現実のお話なのが、虚構であるのか?きっと大変なはずであろう戦中の生活を描いてあるのに悲壮感はあまり漂わない。むしろ色めき、艶のある世界に見える。

    0
    2019年12月02日
  • 神戸・続神戸(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    不思議な軽みに満ちた小説。俳句雑誌に連載されたそうだが、軽みといえば漱石の「猫」も俳句雑誌ホトトギスに連載されたものだった。短詩の極地たる俳句の雑誌に散文を書くとこんなふうになってしまうのかもしれない。 いわく軽み。いわく写生。
    昭和十八年の戦時下神戸で、著者が「小谷氏」に引き合わされて一緒に釣りなどしているエピソードが個人的には興味深い。井上靖の「闘牛」のモデルといわれた辣腕のイベント仕掛け人である。数年前サトウサンペイさんから聞いたことがあるが、大丸宣伝部にいた彼を引き抜いて新聞に漫画を連載させたのが小谷氏だったそうだ。神戸という土地の不思議さを思う。

    0
    2019年10月04日