何の情報で知ったのだったか、私の好きな作家さんが何人も絶賛してたので、読んでみることにしました。
西東三鬼は俳人で、新興俳句系の句誌を創刊したりしてた。
でも、俳人になる前は歯科医師、その後貿易会社役員など経歴が面白い。
戦時中、京大俳句事件で執筆活動停止処分され、妻子を東京に置いて単身神戸に移住
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これはその神戸の頃の回顧録的な作品。
今まで、映画やドラマや小説で知っている戦争中の苦しさ、貧しさ、暗さ、悲壮感...
その重さで戦争モノは敬遠しがちな私ですが、著者の淡々としていて、ユーモアあふれる文章にぐいぐい引き込まれてしまいました。
しかも生活していたアパートとホテルの間のような止宿人たちの個性豊かな面々との交流が味わい深くて良かった。
本当にこれは戦時中の話なのかと思うほど、外国人もうろうろしてるし、のんびりした感じがあるんだよね。子どもとか出てこないし、大人の世界。
不思議な魅力にあふれてました。
で、解説が森見登美彦氏で満足度上がりました。