渡辺浩弐のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
脱出ゲーム系ホラーの皮をかぶった壮大なSF。中野ブロードウェイに行ってみたくなる、著者の集大成的な作品。
渡辺浩弐さんの肉声が聞こえてきそうな中野ブロードウェイの描写から始まり、ファミコンディスクシステムの『エッガーランド』やゴムベルトの話題が出て、いきなりオタク度全開の幕開けにニヤリ。
脱出ゲームの枠にボーイミーツガールからのセカイ系、という大筋は単純に好みだ。その中に、ゲーム・キッズやプラトニックチェーンに見られたような先端テクノロジーSFと各人物ごとのエピソード、歴史陰謀論的な背景、ちょっとグロいホラーテイストなど、多様な要素が詰め込まれていて、700ページ弱の旅路は読み応え十分。作者 -
Posted by ブクログ
ネタバレ作者の作品はこれが始めて。
SF的なセンスには、非常に共感できるところがあり、とても面白く読めた。
人間が溶けて、混ざって、どろどろの粘菌になるというテーマは、
大昔に読んだ「ブラッドミュージック」と同じだと思う。
本書では、現代の技術的なバックグラウンドを元に、
量子コンピュータ的な無限の計算能力と、
それを利用した汎用人工知能の実現の可能性を語っている。
量子コンピュータで何でもできるというところは、技術的な飛躍を感じるが、
人工知能が自我を獲得して、現実世界に影響を及ぼす過程は、興味深く読めた。
人工知能であろうが、「自我」の成り立ちには、生や死の概念、
根源的な欲求のようなものが