佐々木芽生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【動機】
・捕鯨にまつわる対立の歴史・概要を知りたくて
【感想・思ったこと】
・めちゃくちゃ面白い!!!!!
・クジラの話にとどまらない。
- 捕鯨にまつわる問題と対立の概要と本質が掴める
- 鯨を軸に見る、歴史・宗教・価値観・メディア論
- なぜ人は争うのか?考えさせられる
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・「強き者」は「弱き者」の、声に耳を傾ける責任がある。
・「弱き者」は「強き者」に、声をあげる責任がある。
・声を上げなければ対話は不可能。特に相手が強者の場合なおさら。
・自分の意見を相手に伝える重要性と相手の意見に耳を傾ける重要性。
・情報は発信しなければ伝わらない。
・情報発信・メディアの威力。感情 -
Posted by ブクログ
いや、これは大変な力作にして名著。感情的になることなく、個人の偏見や思い込みに走ることなく、反捕鯨・反イルカ漁と漁民や反捕鯨と対する側の状況、主張、活動を大変に公平に取材・考察され、各テーマごとにドキュメンタリー的にまとめられていて、この問題についての理解に大変に勉強になった。
捕鯨問題は異文化理解の難しさ…そこに政治的思惑や特定の思想を旗印にしたプロパガンダ(さらにそれがまた真摯なものから実はビジネス…金儲けのためだったりと玉石混交)が入り込んで来ると尚更問題は複雑骨折化…の典型例にして縮図。海外に住み、国際ビジネスに関わる者として大変に考えさせられます。 -
Posted by ブクログ
奇妙な題名と表紙のイラストが、なんとなくユーモラスな雰囲気を醸し出しているが、いたって真面目な、そして極めて有益な本である。イルカを含む捕鯨について日本が強く非難されているのは周知のことだが、捕鯨を糾弾する側も、維持しようとする側も、それぞれの立場で鯨を大切にしていることが、本書を読むとよくわかる。
捕鯨に反対する側は、鯨、イルカをその知能の高さ、希少性から別格動物とし、特別扱いを求める。一方、日本、特に映画「ザ・コーブ」で取り上げられた和歌山県大地町にとって、鯨、イルカは、それなくしては生活できないと漁師が信じる特別な存在である。双方にとって、鯨は単なる動物ではなく、まさに「おクジラさま -
Posted by ブクログ
この本も今週末公開する映画も、映画『ザ・コーヴ』の反証ではない!
捕鯨に関わる二つの立場(正義)とその対立から、それを公平(中立)に見ることがいかに難しいかを浮き彫りにする。
著者であり、監督でもある佐々木女史の苦悩に、読んでいて共感してしまう。
相手にうまく伝わらない、受け入れてもらえない、責められる歯がゆさ……
相手の生業を「悪」として一方的に非難するのは、グローバリズムにもまた反するのではないか?
それは今、排他的な政権が支持され問題になっていることに関連する気がした。
世界を良くしようとしたアクションの“その後”それは本当に「善意」なのか?
捕鯨に留まらない、様々な問題提起をしてくれ -
Posted by ブクログ
イルカの追い込み漁の町、太地。隠し撮りでセンセーショナルに動物愛護を訴えたアカデミー賞受賞作「The Cove」。静かな海沿いの町は、それ以降365日海外NGOのカメラ、動画のアップにさらされ続けている。
「アメリカ人は自分で考える訓練を受けている。だから情報があればきちんと判断する。太地の人たちが言い分を発信しなければ一方の情報だけで判断されてしまう」。この信念のもとに双方の言い分をフェアに取り上げようとドキュメンタリー制作に奔走する著者。
「The Cove」のあまりにも恣意的な編集(時間や場所の異なるものをミスリーディングにつなげる)には同じ映像作家として強い怒りを示しつつも、日本の -
Posted by ブクログ
『ザ・コーヴ』という映画によって、自分たちの意思とは無関係に世界中で有名になってしまった、和歌山県太地町のクジラ漁が題材の作品。
世界各地でクジラを獲って生活している人々は大勢いるが、なぜ太地町が特別目の敵にされるのだろうか。その大きな理由として、獲物を沖から大量に追い込むという漁法、そして捕殺の瞬間に海水が真っ赤に染まる入り江、という残忍なビジュアルが大きく影響している。
口下手な漁師町の人々と、SNSを駆使し世界中へ発信する事に長けている、シーシェパードのような環境保護団体が諍いを起こせば、その情報の内容と拡散の仕方は火を見るより明らかなのである。生き物や環境を保護する事自体より、弱き -
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ネタバレこの著書の映画版を視聴しました。そのうえでの感想です。
わたしは関西出身で、小学生低学年の時一度くじらの竜田揚げが出ました。鯨なんて初めて食べるし、情勢なんて知らないから無知なまま食べました。なんて美味しいの!と感動しました。味を覚えてはいませんがその気持ちだけをずっと持ち、小学校で好きだった給食ランキングのベスト5には入っているほどでした。また食べたいななんて思っていたら、翌年から無くなりました。スーパーに行くと、たまに鯨の黒い肉や白くてふわふわした部位が売られていることも目にします。捕鯨反対の声があるのは知っていたけれど、ここまで過激というか批判を受けていたなんてこの映画を見るまで知り -
Posted by ブクログ
ポップな表紙とタイトルだが、中身は骨太。捕鯨問題を題材にした同名のドキュメンタリー映画の制作者による、ルポルタージュ。感情と情報不均衡がもたらす混乱と洗脳。太地町 vs アングロサクソンという圧倒的不利な構図。そして、どちらにもある正義。この問題に対する理解が浅かったことを知らされる。
反捕鯨団体の行動と、我々の反発心は共依存関係にあり、実はクジラの消費量は激減中で、このような話題が無ければ、多くの地域野菜や伝統工芸品が無くなったように、消滅していたかも、との指摘も。
しかし、どうしても腹オチしない。ウサギや鹿、カンガルーを食べてる奴らに、なんで言われなアカンのや。。。