最後に参考文献も記されていて、大変に研究されてからこの物語を書かれたのだと伝わりました。筆者の白土夏海さんに深い尊敬と感謝を___ありがとうございました。
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以下、ネタバレを含みます
作品の感想ももちろん含みますが、個人的な雑記が多くを占めております。お時間いただける方だけ、どうかお読みくださいませ。
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御景の家に向かう途中にある橋が青銅で作られているというのも、大変に興味深いものでした。銅にスズを混ぜることで、融点が低くなり、低音でも加工できることに気がついてからは、それはそれはたくさんの器や祭具などが、我が国では作られてきました。鉄器がやってきてからは主だって珍重されなくなってしまいましたが、それでも、鉄を起こすためには大量の薪によって高温を催さなくてはならず、そのためにはやはり大量の樹木が切り倒されることになります。
日本神道の元は、縄文時代の、岩を植物で括った、ごく単純な、「畏れるべき何か」を祀ったものが原点とされています。そしてそれは時を経るにつれて、長い時間を生き続ける樹木にも、大いなる敬愛と信仰が生まれたそうで。とすれば、いくら生活を便利にしてくれる鉄であっても、無闇みだりに作り出し、森林を伐採することをよしとはしない倫理観が、当時から__あるいは今の人々にも、この日本に住むものとして、朧げながら残っているように思います。
そうして鑑みますと、御景に向かう橋が青銅で作られているというのは、樹木を、人間の利益のためだけに悪戯に切り倒したりはしないという、敬虔で、それでいて前向きな覚悟のような、力強い美しさを感じます。そこを意図して描写されたのだとすれば、夏海先生天晴れと思うばかりでございます。
ここでは詳しく述べませんが、樹木をみだりに切り倒さないことの大切さは、みどりに関わる仕事をしていない人でも、なんとなくでわかるものだと私は信じています。それにも関わらず、日本端子という、自分の会社の利益のためだけに、勝手に政策を起こし、SDGsという偽善の美辞を掲げ、自然を破壊し続ける河野一族や、それに連なる諸外国の金融資産家の思惑には、怒りと悲しみと切なさを感じます。本作でも、毒見の都合上、食べたいものも好きに食べれず、また家内政治のために好きな人にも会えずといった様子の藤矢さんの様子が描かれます。彼ら官僚、政治家、金融資産家もまた、自分ののぞみに関わりない因縁のために、他者を疑い、素直な感情を信じられず、愛を感じたことがない寂しい人が多いのだろうと思います。
藤矢さんが、雪音さんに出会って変われたように、私利私欲でしか生きられない人が、優しさを素直に謳っても、侮られず、貶められず、信じ合い、愛し合えるような日が来ることを願っています。
伊勢神道が全国民に広く周知されるようになったのは、明治の後であり、それまでは吉田神道が比較的重宝されていたと聴いたことがあります。そこを鑑みますと、本作の御景が裏の伊勢であると描写され、ちょうど一千年前、室町ごろの時代に起きた成り立ちであると説明されたのは興味深かったです。南北朝や室町といえば、皇族の存続が大変に危ぶまれた時代でした。それでも、足利義満の皇位簒奪を止める一条経嗣のような者が必ず現れ、今上陛下に至るまでの歴史はつながりました。
そうこう鑑みますと、御景のような、特別な使命を持った家柄の者は実在し、陛下の権威を守り、国民との繋がりを保ち続けた人々の、知られざる歴史というのも、あったのかもしれないなぁ・・・と、ぼんやり思わせてくれる、そんな不思議な読み心地を感じました。この辺りも、白土さんの深い研究努力があるように思えます。
そして、
「悪霊とは、人々の心の隙を狙うもの」
「人々が心を闇に委ねるよう、あらゆる手を尽くす」
といった描写は、令和現代の世界を象徴しているかのようでした。いや、あるいは、全世界のあらゆる歴史がそうだったのかもしれません。陰謀論でも都市伝説でもなんでもなく、事実として、現在の社会は、ごく少数の国際金融資本が支配していますが、その中でも権力を強烈に持っている人たちは、やはり、金とともに生きてきたユダヤ人の方々が多いのです。けれど厳密には彼らはユダヤ人ではなく、アシュケナージと呼ばれる人が多いそうで。大多数のごく一般のユダヤ人からすれば、むしろ悪意を持っていると偏見を向けられる方が困るのだろうなと慮るものがあります。
そしてアシュケナージも、それはそれで二つ通りありまして・・・元々の意味である、白人種との混血ユダヤという人は、その通り、ごくごく普通に、白人の容姿を持つユダヤ人というだけです。けれど、ハザールマフィアと呼ばれる人を指してそう呼ぶであれば、これはだいぶ意味が変わってきます。ハザールマフィアは、驚いたことに、化学万歳のこの時代において、未だに根強く「古代悪魔偶像崇拝」を現在進行形で信じている人々だそうです。あるいは、その子孫達です。当然、その子孫達は思想洗脳されているとは思いますが、それでも悪魔を信じないという人ももちろんいると思います。けれど彼らの強烈な同調圧力によって、表立っていえないでいるという哀れもあります。ちょうど私たちが、2021年、信じられないほどの、○クチン接種をしたかどうかの同調圧力を体験したことと同じです。なかなか逆らえないものでしょう。私の場合は職場の人たちや家族が理解のある人でしたから幸いしましたが、大勢の人々は、その圧力に逆らえなかったであろうと思います。どうかみなさんの健康と幸せを祈ります。
話を戻しまして、ハザールマフィアや、彼らと色濃く通じているネオコンの人たちが、現存する悪魔偶像崇拝の本拠地と仮に定めますなら・・・「人々の心が貶められるようあらゆる手をつくす」というのは、人々に、悪魔を降ろす、悪霊を憑かせるために、本気で信じてやっている人々がいるのかもしれないなぁと思いました。
そして、そういった思惑を知っていても、表立って動くことができないのが、権力ではなく、権威として存在している陛下なので___彼の代わりに働くものこそ、まさに現代の神祇官、太政官、弾正忠、なのではないかと思います。そこを鑑みますと、なるほど、藤矢さんの戦いぶりは、なんとも弾弾正忠を思わせるものが多い気がしました。
弾正は刀で戦うのが基本ですが、あえて藤矢さんが弓を使った様子には、何か、白土さんの想いがあるのでしょうか。私にとって弓といえば、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が放った鏑矢の件が印象的です。鏑矢は、命を射止めるためではなく、音を放つための矢です。あ・・・自分で書いていて気が付きました、ひょっとすると、雪音さんを救うための「弦音」だったのでしょうか。彼女の名前に由来していると思うとなかなかに奥が深いです。雪といえば、音を吸収してしまうものです。その音が止まった世界の中では、弦の音はそれはそれは大きく響いたことでしょう。二人の縁を結ぶ糸も、弦であったと見出すこともまた、不可能ではありません。
詰まるところ、悪魔や悪霊に憑かれてしまわないように、心を明るく、日々を楽しく生きることは、実は壮大にも、世界を救うほどの力があるのだと思いました。かのウルトラマンにおいても「笑顔は世界を救う力があるんだ」という言葉がありました。天皇陛下の祈りと国民の絆の力とは、まさに、笑顔と縁結びのことであろうかと、ぼんやりとそう思えました。
うど、たらのめ、ふきのとう、などなど、季節のお野菜がたくさん見られ、それをどれも美味しそうに食べる雪音さんの様子がまた微笑ましくて、元気をもらえました。私自身、プチ健康オタクなので、こうした和の食材の可能性には驚かされるばかりで・・・つくづく、少なくとも日本人は、和食をするだけでみんな癌にもならないし、元気になれるのではないかと思います。それをこうした理屈の話ではなく、楽しそうに、美味しそうに食べる人の様子から気がつくということこそ、一番の近道であるように思います。
世界中全ての人が満たされる完璧な栄養食など存在しないのです。私たち日本人は海藻を消化吸収すること、そして魚を食べることに慣れていますが、逆に白人種・アングロサクソンの人たちはこれらに不慣れです。彼らに私たちと同じ基準で生活してもらったとしたならば、水銀、葉酸が過分となってしまうでしょう。
また、私たち日本人は、血の滴る肉を食べる習慣が長くなかったため、レバーや、鉄分の多い部位の肉を食べることに慣れていませんし、牛乳のガラクトース(乳糖)や、アルコールの代謝にも不慣れです。彼らと同じ基準で生活すれば、たちまちアルコール過分、乳糖不代謝でゲリ、骨粗鬆症、視力障害などを催してしまうでしょう。実際、そうした前例があるからこそ、少なくとも江戸時代の将軍は、シーボルトの要求に答えなかったのです。コーヒーと牛乳を日本に買わせることが、彼の任務の一つでした。(その後に明らかになりますように、日本の重要な機密を盗むことが彼の本当の目的でしたが) 詰まるところ、コーヒーによる、多すぎるカフェインも私たちの代謝には合っていないのです、本来は。コーヒー由来のカフェインは、マグネシウム、亜鉛などの吸収を妨げるので、ストレスへの対処がうまくできなくなるのです。実際、それゆえに、アングロサクソンの人々は好戦的な歴史を紡いできたことはご覧の通りです。日本もその後追いをするように、牛を食べ、小麦を食べ、コーヒーを飲み、牛乳を飲むようになった・・・のは、明治・大正、そして昭和の後の戦後の激変に影響されたためでした。そして、明治に帝大ができ、支配者とそうでないものという、日本にはそれまでなかった対立構図が出来上がってしまい、慣れていないにも関わらず、無理に好戦的な気性を演じてしまったのも、食習慣の変化が浅からず関係していたと、今にして思えます。※反・東大の思想史/尾原宏之 参照
ここまで多くの思いつきで書かせてもらいました。
あなたの貴重な時間をいただき、ありがとうございます。
あなたのこれからの日々が、楽しく、明るく、素敵なものになりますように________