海津正彦のレビュー一覧
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今や30年近くも経ったことに個人的に感慨深い1996年のエベレスト大量遭難事故。本書はアメリカのジャーナリストが参加したエベレストの商業登山で、同じく商業登山の別な隊も合わせて何人もの死者を出した事故の記録。2隊の隊長たちも亡くなったし、死者の中には日本人難波康子さんも含まれていたため当時大きいニュースに日本でもなっていた。登頂に成功した登山家たち含め8人もが一度にそれぞれの事情で亡くなっていく様は読んでいて非常に辛い。
私自身途中まで一緒のコースをこの翌年に歩いたので多くの地名に馴染みがあり感慨深く読んだ次第。最初に読んだのは医学部生時代。私は同期2人と一緒にトレッキングで、エベレスト登山 -
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1996年5月にエベレストで起きた大量遭難事故の詳細。
筆者自身が登山家であるため、山での描写が非常に詳しくリアルで、自分も作者と同じ場所にいるような気持ちになった。
悲劇が待っていることはわかって読んでいたが、先が知りたくて一気に読んでしまった。
この本を読んだらエベレストなんて絶対に登りたくない、と思うので、いや、読まなくても、簡単な山ではないことは知っているので、エベレストに登頂したいという人が数多くいることが理解できないが、読んでいる最中にインターネットで検索してみたら、今でも数多くのエベレストへの商業登山ツアーが存在することを知り驚いた。
冒険ではない登山を登山と見なさない人たちも、 -
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デスゾーン、映画エベレストと合わせて非常に読み応えがかった。
印象的だったのは、クラカワー自身のアンディへの無念
アンディ自身は実際に非常に追い込まれていて、チームとしたらクラカワーはヘルプに回れる側ではあっただろう。
また、ロブがダグに時間切れを告げられなかったのは、情、といっていいだろう。
あのシチュエーションで頂上を目前に引き返せるだろうか。
商業隊というビジネスモデル自体にどこかに無理があったのだろう。そして破綻したビジネスモデルは悲劇を招く。
恐らく、顧客が多すぎた、値段が安すぎたのは言えるだろう。
死亡率を考えると、マンツーマン、成功報酬型が現実的だった? -
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数々の登山家を魅了してやまない世界最高峰のエベレストを舞台に、登山のプロフェッショナルでなくても多額の金さえ払えばエベレスト登頂をアシストする公募登山隊の実態を取材するために登山に同行した著者が目にしたのは12人もの死者を出し、エベレストの登山史史上で最悪とも言える悲劇であった。
著者のジョン・クラカワーは自らも登山を愛好するルポライターとして、公募登山隊の実態を把握すべく、一人のメンバーとしてエベレスト登頂に参加する。夢のエベレスト登頂を目指して集まった多国籍なメンバーや、同時期に登頂する他の公募隊たちとベースキャンプなどでジョン・クラカワーは親交を深めていく幸福なシーンが前半は続く。
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1996年5月10日エベレスト大量遭難事故。
映画『エベレスト 3D』を観て以来、この件に釘付けになった私。その第一級資料と言える本書をようやく読み終えた。
ちなみに、とにかく登場人物が多いので、映画を2回観てwikiを熟読してなかったらまったく展開について行けなかったと思う。
私が最も驚くのは、この極限状態において、よくぞ皆人間性を失わずにいられたということ。自分の身に置き換えて考えずにはいられない。自分だったらどうだろうか。「こんなデスマーチが続くくらいなら、いっそ死なせてくれ」「この崖から一歩踏み出しさえすれば楽になる」「このままここにほうっておいてくれ」そう、きっと生きることを諦めて -
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1996年エベレストで起きた大量遭難死事故の現場に居合わせたルポライターが書いた実話である。
実際に何人もの人が死んでいるため、この表現は不適切ではあると思うが、とても面白い、というのが正直な感想。
ハラハラドキドキでページを捲り、結末を知っているがゆえに、死に繋がる悪手の判断をする場面では、天を仰ぐことが何度もあった。
死が目前にきている極限状態であっても、人は他人のために行動する、そのことが胸を打ち、感動する。
事実、ガイドのロブホールは、顧客(仲間)を見放して下山していれば、生きて還ってきていただろう。
だが、それを選ばなかった。
複数の隊が同じ日に頂上攻撃を行い山頂付近で渋滞し体力を -
購入済み
面白いが、図書館で十分
さすが書き物を生業にしているだけあって、とても読みやすかった。
ただ、登場人物に対するクラカワー氏の好き嫌いが読み手に非常に伝わってくる。そして、「私は悪くない、私は正しい、他の人よりもあれもこれも頑張った」という弁明的な空気を強く感じて、感情的に拒絶することがしばしばあった。プロボクサーがリング外で人を殴ってはいけないように、ペンが武器の人は他人についての文章を公表するのであれば個人的な攻撃意識は排除すべきだと思う。
でも、帰国後の章を読んで、この本はクラカワー氏の排泄物的な役割だったんだなと思った。言い方悪いけど。自分の中のどうしても残るエベレストのドロドロを出し切りたかったんだろうな -
Posted by ブクログ
エベレストで起こった遭難の悲劇の当事者として、その渦中にいた著者が、真実を丁寧に伝えるために書いた本だ。当然、そんな経緯の著書なので、批判にさらされることもあった。著者は出来るだけ登場人物に敬意を表しつつも、真実を伝えることに気を使ったろう。高度8000mを超えると、そこからは一挙手一投足に死を左右する判断をしなければならない。それも、低酸素で思考力がままならない状態でだ。エベレストを目指す人は、半分、いや半分以上がエベレストに取り憑かれた人で、登山に命をかけている感じだ。そんな人に、頂上を目前にして、危険だから引き返すべきだ、との判断を下すのは並大抵のことではない。登る勇気より、下る勇気の方