ガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ディズニーアニメや映画、ミュージカルなどで広く知られる「美女と野獣」の原作として、前にボーモン版の短編をよみましたが、こちらの方が「元祖」であるようで、ボーモン版は本作を「子供向けに要約したもの」だということが分かりました。
なるほど、大きなあらすじに変化はありませんが、本書の方がディテールまでこだわって作られていることが良くわかります。ベルの内面的な美徳や、ベット(野獣)の特性についてなど、設定が良く考えられていて作品世界の「厚み」を感じる一方で、登場人物(種族)の「妖精」の存在が物語を複雑にしているように思いました。
キリスト教圏ならではなのでしょうか、王権と妖精(と、妖精の世界における -
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Posted by ブクログ
ディズニー作品の『美女と野獣』は幼少期から何度となく見てきて大好きな作品だったが、原作を知っておきたいと手に取った。
2種類の感情を並列的に感じた。1つは「さすが美女と野獣、ストーリー展開が面白すぎる」というもので、肯定的な感情。もう1つは逆で、それは原書ならではであるが、「ディズニー版と違ってモヤモヤさせる部分が多々あって残念」である。
モヤモヤする部分は何か。
圧倒的に気になるのは、登場人物もナレーションも、美貌や財を過剰に重視している点。
とりわけ「美貌」を褒める部分が幾度となくあり、対抗する肝心の野獣の醜ささえも、最終的にベルは克服せずに終わる。夢の中のイケメンにばかり惹かれて。 -
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Posted by ブクログ
原書タイトル『La Belle et la Bête』(la Bête:愚か者・獣)
1740年 ヴィルヌーヴ夫人によるオリジナル版。
一般的に広まっているのは子供用に書き直されたボーモン夫人版で、ディズニーアニメなどはボーモン夫人版をベースにしている。
オリジナル版の初の校訂版が2008年というから、いかに忘れ去られた存在だったかわかる。
「訳者あとがき」が興味深かった。
オリジナル版の野獣は、見た目どころか「愚か」というハンディまで負っている。才気や知的な魅力すら封印され、ただ「善良さ」のみでベル(美女)の愛を勝ち取らなければならない。
そのルーツは、17世紀の「タンドルの地図」(タンド -
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