チゴズィエ オビオマのレビュー一覧

  • ぼくらが漁師だったころ

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    最初はアフリカの馴染みのない文化、思想、そして人名や地名に困惑。
    わんぱくな4人兄弟の日常描写が狂人の予言を受けてからガラッと不穏な空気になり、あれよあれよと悪い方向に転がり落ちていく。やめてくれぇ、、、許してくれぇ、、、と思いながら読みました。
    少年たちのまっすぐさ、葛藤、未熟さに胸がギュッとなった。
    良い本を読んだなぁ。

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    2023年07月06日
  • ぼくらが漁師だったころ

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    表現力が素晴らしい。

    どんどん絶望的になって行く家族の状況に、「なんでこの本読んでるんだっけ…」と思いながらも読み進め、でも読後感は悪くなかったので良かったです…。

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    2023年03月14日
  • ぼくらが漁師だったころ

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    ★憎しみは蛭だ。人の皮膚にくっついて栄養を吸い上げ、精神から活力を奪う。人をすっかり変えて、最後の一滴の平穏を吸い尽くすまで離れない★

    ナイジェリアの作家さんということで、その国の政治状況とも関連づけられながら書かれたこの作品は、ナイジェリアの国そのものを投影しているようだった。

    登場人物の性格や人柄を虫で例えているのが、とても生々しく繊細だった。

    憎しみが心にへばりついて剥がれなくなっていき、一方で倫理観も持ち合わせており、憎しみに染まりながらも倫理観に従わんとする葛藤が絶妙で、高潔だった。

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    2023年01月23日
  • ぼくらが漁師だったころ

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    憎しみは蛭だ。人の皮膚にくっついて栄養を吸い上げ、精神から活力を奪う。

    アブルに毒を飲ませても死ななかった時
    無傷の親指を血溜まりに浸して血まみれにすることと、親指が切り傷の血で濡れることは全く違うと理解したはずだ。

    やはりアフリカ文学ってことで、考え方とかがまるで違うと感じた。そしてそれ故に読みにくい部分は確かにあった。ただ、あとがきの部分を読んで納得した。狂人であるアブルの登場は、ナイジェリアからみたイギリスであり、ここに対比が存在する。エンタメを楽しむには、それ相応の知識や経験が必要なのだと強く感じた。しかし、アフリカ文学も面白いということを発見できたのは大きな収穫。ジャンルや国に囚

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    2024年03月26日
  • 小さきものたちのオーケストラ

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    ネタバレ

    チノンソはとても心優しい人で人の為に動ける人ではあるけど物語が進むにつれて元々の気質である暴力性だったり自己犠牲的だなぁと思った。

    物語が不運すぎるのもあってか怒りや悲しみ羞などの心の描写が分かりやすい

    人の出来る限界、人に降り掛かる不運についても、鶏は何が起こっても泣いて喚く事しか出来ないと重なって、自分でどうにもならない事ってあるよねと言うのがタイトルからも内容からも感じた。

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    2022年12月11日
  • 小さきものたちのオーケストラ

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    ネタバレ

    読み進めるにつれて、気分が重くなった。

    優しさの影も形もない姿になってしまった宿り主。それが、彼女への愛と、負った苦しみの大きさを物語る。

    小さきものたちとして生まれたら、仕方のない結末なのだろうか。この後の人生で幸せを感じる出来事があることを願いたい。

    一方で、いつも復讐に燃えている宿り主は、手放すことや自分を鑑みることなしには、結局、幸せにはなれないのかもと思った。(例えば彼女と結婚出来ても何かあれば、彼女を恨み始めそう)

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    2022年05月20日
  • 小さきものたちのオーケストラ

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    最近ミステリを読まないのは意味のなさない長い人名、役職の肩書きなど単語が長文化したものの羅列に振り回されたあげく、中身もないので、ただ車酔いだけしただけのような感覚に陥るからである。
    この作家はそうとう血肉削って書いてるのだろう。たまにつるっと骨と肉が離れるチキンもあれば、反対に、ぼそぼそ骨にこびりつく(かに肉のような)のもあり、この人の文章を読んでてそういうイメージが浮かんだ。
    あらすじだけいうと身分の違う男女が「正式に」結婚するために起こした行動の結果。ちょっとねー、どうしてこんなに後半男性は受け身で意思表示しないのか不思議だった

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    2021年11月15日
  • ぼくらが漁師だったころ

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    アフリカの呪術的な要素がずっと根底にある。
    予言が的中していくおどろおどろしい雰囲気はたぶん独特のものなんだろう。
    やし酒飲みや崩れゆく絆やらがアフリカ文学の名作として知られているけど、こういった作品ももっと知られても良いと思う。

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    2022年11月12日
  • ぼくらが漁師だったころ

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    現代ナイジェリアを舞台に、家族がある狂人の予言めいた言葉から不幸に陥っていく様はあまりに痛々しいが、一方で予言めいた言葉だけでここまで・・?とも思わなくもない。

    ただ最後の絆は感動した。

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    2021年12月26日
  • 小さきものたちのオーケストラ

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    ネタバレ

    小さきものたちのオーケストラ

    著者:チゴズィエ・オビオマ
    訳者:粟飯原文子(あいはらあやこ)
    発行:2021年7月25日
    早川書房

    唯物Vs観念

    ナイジェリア出身、アフリカ文学の若手作家の第2作。英国の最高賞であるブッカー賞の最終候補作。現在はアメリカのネブラスカ大学で教鞭をとりつつ執筆。

    本作はナイジェリア南東部にいるイボ人の話。60年代後半、この地域はビアフラ共和国として分離・独立宣言をしたため、ナイジェリア内戦となり、イギリスやソ連など大国の干渉も受けた。ムスリムではなくキリスト教徒が多く、登場人物たちもキリスト教徒だが、教会へ通いつつも、イボの宇宙観や宗教が行動原理の根底にある

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    2021年11月25日
  • ぼくらが漁師だったころ

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    書評でタイトルだけを読んで選んだので、アフリカ等で消えゆく湖の漁師の話だと思って読み始めた。

    が、そんな話ではまったくなくて、1990年代のナイジェリアを舞台に、9歳の少年の視点から語られる壮絶な物語。
    ナイジェリアの裕福な家庭が、狂人の予言をきっかけに崩壊していく。
    ナイジェリアの生活とその狂乱に巻き込まれていく家族を、4人兄弟の末弟の視点から描く。
    その視点の生々しさが、ぎらぎらとぬらぬらと伝わってきた。

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    2018年01月30日