秋元雄史のレビュー一覧
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ネタバレ凄かった!ライターをしていた著者が、ベネッセの学芸員として採用され、直島に現代アートを展開する経緯が克明に語られる。当初からの計画ではなく、いろいろな制約を受ける中で突破していくうちに美術館の外側にも展開し、島全体に及んでいったものだったとは。圧巻なのは最終に近い、地中美術館を生み出していくくだり。著者は途中、直島でやっていることの説明として、キュレーター中心からアーティスト中心への変化を語っていたが、地中美術館はキュレーターである著者も作品を読み込み、それに相応しい場所を創造し、ほぼ同じアーティストとして(もしくはアーティスト、建築家とがっぷり四つに組んで)生み出したものであると言えるだろう
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Posted by ブクログ
人間は、社会の成熟の中で作られた概念を通して世界を見ている。アートシンキングには、ありのままの身体感覚で接することが必要。
AIは言葉の意味がわからない「シンボルグラウンディング問題」がある。身体性がないと言葉と現実の物事を結び付けれない。身体性がフレーム問題も解決しうる。
アートに触れて感動した時、アーティストが見た世界を追体験している。
人間は、自分の認知の範囲内で世界を理解する。アートは認知が完全でない、「わかる」部分と「わからない」部分を整理して、「すべてがわかったわけではない」と考えて、「わからない部分には、自分の知らない、なにがあるのか?」と思わせてくれるため役に立つ。
デザイナー -
Posted by ブクログ
今年の夏休みに直島を訪れた際に感銘を受け、アートの島がどのように形成されたのか興味をもちこの本を手に取った。
期待通り、直島が瀬戸内の小島から現代アートの聖地と呼ばれるまでに変貌を遂げていく様子が現場のアートディレクターという立場から臨場感をもって描かれておりとても面白かった。福武さん、安藤さんやアーティストたちといった主要プレーヤーを繋ぎ、支える著者の働きがあったからこそ直島はここまで変われたのだろう。
現代アート市場の交渉現場や、タレル、デマリアなど直島に作品を展示するアーティストのリアルな姿などアートシーンの記述も興味深かった。
直島を訪れた方、これから訪れる方にぜひお薦めしたい本。 -
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デザイン思考とアート思考は異なる
デザイン思考は、自分がどうしたいかではなく、顧客のベネフィットのためにはどうすれば良いかをロジカルに考えるもの
アート思考は、「何が問題なのか」という問いから始める
自然界には線も丸も遠近法もない。人間が世界を視覚認識で、捉えるために生み出した方法にすぎない。
問いを見つけるセンスは、まずは自分の曇った眼を取り除くこと。
視覚機関は教育されやすく、文化的な影響を受けやすい
現代アートの鑑賞の基本は、感じるとともに考えろ
「今を最優先して時代をテーマにしていること」
「目の前のモノとそれが指し示す意味内容には、ある距離、あるいは断絶があり、そこに様々 -
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ネタバレ■読む前の準備
・デザイン思考がビジネスシーンに通ずる普遍的考え方であるという理解でいたが、正直、アートとデザインの明確な違いが分からなかったことから、アート思考に特化した本書を読みたいと思った。
・美術・芸術がビジネスパーソンに好まれていることから、これまで理解の無かったその教養に馴染む示唆としたかったため。
■読んだ後の理想の姿
・ビジネスシーンにおいて、何が物事の本質で何が課題なのかを見極められるようになりたい。
・また、この読書をきっかけに美術館やアート教室に通ったりし、さらにアートに関するスキルや教養を向上させていきたい。
■エッセンス
・デザイン思考は、顧客側のニーズに寄り添い -
Posted by ブクログ
あれは2000年か2001年だった。かねてから興味を持っていた直島を知人の紹介で訪問し、全くの素人ながら、現代アートの島に激しい衝撃を受けた。本書に登場した地元の菊田さんに案内してもらい、恐らく秋元氏にも会っていたのではないか。本村地区の家プロジェクトは、開館時間を過ぎていたのに、案内いただき、そこには福武夫人もいらっしゃった。最も印象に残ったのは、安藤忠雄建築でジェームズ・タレル作品の南寺である。暗闇に案内され、待つこと15分、微かな光を認識するようになると見えてくるアートに、完全に心を奪われた。そして翌日に大阪に行くと、梅田茶屋町で真っ白なスーツ姿の安藤忠雄氏に遭遇。以来、ずっと直島が自分
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Posted by ブクログ
芸術とは縁遠い自分にとっては、こういった世界に関わっている人の考えがわかる書籍はとても貴重だった。
アートは現状の価値観を壊してくれるもので大変価値があり、(裕福な人がメインにはなってしまうが)お金だけでは買えない言語では言い表せない価値があるものを通したコミュニケーションの手段なのだと思う。
近代の権力者に求められたものをつくるための芸術から、それを破壊しその時代の課題を先駆けて提示する芸術の変遷があると言った話がなるほど大変ためになった。今後美術館鑑賞する際の参考にしたい。
また今の世の中にもの申すためにつくった作品が、結局は現代の資本主義の中に飲み込まれ高値で取引されるなどのジレ